今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「厚顔無恥(こうがんむち)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「厚顔無恥」をざっくり言うと……
読み方 | 厚顔無恥(こうがんむち) |
---|---|
意味 | 図々しくて、恥知らずの人。またはそのような態度 |
由来 | 『詩経』 |
類義語 | 得手勝手、寡廉鮮恥、面張牛皮、頑鈍無恥、我田引水など |
対義語 | 遠慮会釈、越畔之思、小心謹慎など |
英語訳 | shameless(恥知らずな)、brazen and unscrupulous(厚かましくて不道徳)、thick-skinned(皮膚の厚い、批判や侮辱に対して鈍感・無神経)など |
このページの目次
「厚顔無恥」の意味をスッキリ理解!
「厚顔無恥」の意味を詳しく
「厚顔無恥」とは、図々しくて、恥知らずな人やそのような態度のことを指す四字熟語です。
「図々しい」とは、簡単に言うと「他人に迷惑や手間をかけても平気でいるさま」という意味でです。
「恥知らず」は「普通の人なら恥ずかしいと思うようなことを平然とする」という意味です。
「厚顔無恥」を構成する熟語には以下のような意味があります。
- 厚顔:図々しくて恥知らずなこと
- 無恥:恥を知らないこと
「厚顔無恥」は「恥知らず」という意味の言葉を重ねて意味を強調した四字熟語なのです。
「厚顔無知」と書くのは誤用なので注意が必要です。
「無知」は「知識がないこと」という意味です。
「厚顔無恥」の使い方
- あの人は、散々会社に迷惑をかけておきながら、謝りもせずにバカンスに出かけた。厚顔無恥とはまさにこのことだ。
- 人の迷惑を考えない自己中心的である厚顔無恥な人間になってはいけない。
- 初対面で金を無心するなんて、彼は厚顔無恥も甚だしい。
例文を見ればわかるように、「厚顔無恥」は基本的に良い意味では使われませんね。
❷の例文のように、「厚顔無恥な○○」という形で使われることが多いです。
「厚顔無恥」の意味をより強調したい時には、❸の例文のように「厚顔無恥も甚だしい」という表現を用います。
「厚顔無恥」の由来
「厚顔無恥」のうち、「厚顔」の由来は、中国最古の詩集である『詩経(しきょう)』です。
『詩経』の中に収められている詩の中に、以下のような文章が登場します。
「巧言如簧、顔之厚矣」
これは現代語訳すると「言葉巧みに場を切り抜け、外面をよく見せ内面の恥を隠す」という意味です。
これが「厚顔」という熟語として平安時代に日本に入ってきて、「内面が醜い人」という意味で用いられるようになりました。
また、「厚顔無恥は中国南北朝時代の詩集『文選(もんぜん)』の「北山移文(ほくざんいぶん)」にある以下のような文章も由来だとされています。
「豈可使芳杜厚顏、薜荔無恥」
これは現代語訳すると「(節操がない人間を鍾山に立ち入らせるのは)色はきれいなものの味が悪い草を恥知らずな草だと言ったり、香りは良いもののほかの木に巻き付く草を恥知らずな草だと言うようなものだ」という意味になります。
「厚顔無恥」の類義語
「厚顔無恥」には以下のような類義語があります。
- 得手勝手(えてかって):他人の都合は考えず、自分のことばかり考えて行動すること
- 寡廉鮮恥(かれんせんち):心に悪意があって、恥知らずな人
- 面張牛皮(めんちょうぎゅうひ):非常に厚かましいことの人や態度のたとえ
- 頑鈍無恥(がんどんむち):信念がなく、恥知らずなこと
- 我田引水(がでんいんすい):他人のことを考えず、自分の利益のことだけを考えて行動すること
- 傍若無人(ぼうじゃくぶじん):周囲のことを考えず勝手に振る舞うこと
- 勝手気儘(かってきまま):他人のことを気にせず、自分がしたいように行動すること
- 傲岸不遜(ごうがんふそん):おごりたかぶって人を見下すこと
- 独断専行(どくだんせんこう):自分だけの判断で勝手に行動すること
- 鉄面皮(てつめんぴ):恥知らずで厚かましいこと
- 破廉恥(はれんち):恥を恥とも思わず平気でいること
- 不遜(ふそん):思い上がった態度のこと
- 不埒(ふらち):道理に外れた行動をすること
- 恥知らず:恥を恥とも思わず平気でいること
- 図々しい:他人への迷惑を気にしない態度や行動
- 厚かましい:行動が図々しく遠慮がない
- 分別がない:物事について充分に考えてない軽はずみな行動
- 面の皮が厚い:ずうずうしい
「厚顔無恥」の対義語
「厚顔無恥」には以下のような対義語があります。
- 遠慮会釈(えんりょえしゃく):他人のことを考え、控えめな態度をとること
- 越畔之思(えっぱんのおもい):自分の領分を守り、他人の領域を侵さないように心がけること
- 小心謹慎(しょうしんきんしん):言葉や行動が落ち着いていて控えめなこと
- 平身低頭(へいしんていとう):ひたすら恐縮すること
- 温厚篤実(おんこうとくじつ):情に厚く、誠実なこと
- 温柔敦厚(おんじゅうとんこう):人柄が温かく優しく、真心がこもっていること
- 謙虚(けんきょ):控えめでつつましいこと
- 謙遜(けんそん):へりくだって控えめな態度をとること
- 慎(つつ)ましい:遠慮深くて控えめなこと
- しおらしい:控えめで従順なこと
- いじらしい:あわれで同情したくなる感じ
「厚顔無恥」の英語訳
「厚顔無恥」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- shameless
(恥知らず) - brazen and unscrupulous
(厚かましくて不道徳) - thick-skinned
(皮膚が厚いこと。また、批判や侮辱に対して鈍感・無神経であること) - impudent
(厚かましい) - effrontery
(ずうずうしさ) - brazen
(厚かましい) - unabashed
(恥じないこと)
「厚顔無恥」になりたい人が増えている?
「厚顔無恥」はネガティブな意味の言葉ですが、「厚顔無恥になりたい」という人が増えているようです。
そのような人は「周りの目を気にしないで自分のしたいことをしたい」と考えているようですね。
ただ、これを「厚顔無恥になりたい」と表現するとやや相手に意味が伝わりにくいかもしれません。
「周りの目を気にせず生きたい」などの表現を使ったほうが自然です。
まとめ
以上、この記事では「厚顔無恥」について解説しました。
読み方 | 厚顔無恥(こうがんむち) |
---|---|
意味 | 図々しくて、恥知らずの人。またはそのような態度 |
由来 | 『詩経』 |
類義語 | 得手勝手、寡廉鮮恥、面張牛皮、頑鈍無恥、我田引水など |
対義語 | 遠慮会釈、越畔之思、小心謹慎など |
英語訳 | shameless(恥知らずな)、brazen and unscrupulous(厚かましくて不道徳)、thick-skinned(皮膚の厚い、批判や侮辱に対して鈍感・無神経)など |
使い方のところでも触れたように、「厚顔無恥」とは基本的には良い意味で用いられることはありません。
図々しく恥知らずな「厚顔無恥」にならないようにしましょう。