「エタノール」と「アルコール」の違いとは?消毒作用についても解説

違いのギモン

大人になると多くの人はお酒を飲みますよね。そして、お酒を飲むことを「アルコールを飲む」と表現することもあると思います。

ところで、「アルコール」と似た言葉として「エタノール」があげられます。これら2つの言葉を同じ意味だと思っている人も多いのではないでしょうか。

しかし、「エタノール」と「アルコール」は違う意味の言葉だったんです。

そこで、今回は「エタノール」と「アルコール」の違いについて解説していきたいと思います。

結論:エタノールはアルコールの一種

「エタノール」はエチルアルコールの国際化学命名法での呼び名です。そして、「エタノール」は「アルコール」の一種です。

一方、「アルコール」は「エタノール」を含めたアルコール類の総称のことです。

「エタノール」とは

エタノールはエチルアルコールの国際化学命名法での呼び名で、アルコールの一種です。ちなみに、日本語では酒精(しゅせい)と呼ばれています。

そして、アルコール類の中では唯一、飲んでもあまり害になりません。ただ、もちろん飲みすぎると毒になってしまいます。

ちなみに、お酒に入ってるアルコールがエタノールです。

ここからはエタノールの性質、原料、種類について詳しく見ていきましょう。

エタノールの性質

エタノールの性質として一番大きいのは、やはり消毒作用でしょう。エタノールには細菌を殺す性質があるため、消毒用としてよく使われます。

その上、水にも油にも混ざりやすいという性質があるため、幅広い色々な汚れを除去する能力が高いです。特に、キッチンなどの油汚れを除去する時にエタノールは有効でしょう。カビ対策をする時にも役立ちます。

ちなみに、100%のエタノールは速く蒸発してしまい効果が弱く、エタノールの濃度が80%くらいのものが一番、汚れを落とす能力が高いです。

また、これはあまり知られていませんが、エタノールにもアレルギーがあります。これは消毒液を使った時の発疹やかゆみ、化粧品による肌荒れなどで発覚することが多いですが、それがアレルギーだと判断しにくく、あまり有名でもないため、見過ごされがちです。

 

また、エタノールは蒸発してすぐに乾いてしまう、揮発性の高い液体です。

そして、燃えるため燃料として使われることがあるでしょう。

ちなみに、燃えた時には青白く見えにくい色の炎になります。また、燃えても悪臭やすすを出しません。

ちなみに、凝固点は―114℃なので、かなり低い温度にならないと個体になりません。

エタノールの原料

エタノールには2種類の原料があります。

発酵エタノール

発酵エタノールは糖質とでんぷん質で作られたエタノールです。

ちなみに、糖質の原料は糖蜜やさとうきびであることが多いでしょう。

また、でんぷん質の原料はトウモロコシやさつまいもなどであることが多いでしょう。

合成エタノール

合成エタノールとは石油から得ることができるエチレンを原料とするエタノールのことです。

エタノールの種類

消毒用エタノール

消毒用エタノールは文字通り、消毒を行うためのエタノールでドラッグストアなどに売っていることが多いでしょう。

そして、肌に直接使用するものについては医薬品の指定を受けていることも多いです。

ちなみに、消毒用のエタノールはエタノールと水だけでできているものと、他のアルコール類も含まれているものに分けられます。

 

まず、エタノールと水だけでできているものは一応飲むことができるので、酒税がかかり、少し値段が高めです。

なぜなら、酒税がかかる条件はアルコール濃度が1%以上であり、かつ飲むことができるというものだからです。

ただ、消毒用のエタノールを飲むと食道や胃などが荒れてしまうので、あまりおすすめはできません。

 

次に、エタノールと水だけでなく、他のアルコール類が入っているものは飲むことができないので、酒税はかかりません。

ちなみに、含まれているアルコール類はイソプレパノールであることが多いでしょう。

そして、これが入っているものは消毒用エタノールIPとして発売されていることが多いです。

ちなみに、このタイプの消毒用エタノールは傷口などには使うことができないので注意が必要です。

手指消毒用エタノール

手指消毒用エタノールの代表としては手ピカジェルがあげられます。

エタノールは蒸発する時に肌の油を奪ってしまうので頻繁に使用すると肌が荒れてしまいます。しかし手指消毒用のエタノールにはそれを予防するための保湿成分が入っています。

ちなみに、これは医薬品ではないため多少の不純物が含まれていると考えられますが、日常で手指に使う分には問題ないでしょう。

無水エタノール

無水エタノールとは、水が含まれていないタイプの純粋なエタノールです。

これは精密機械など、水に触れるとよくないものの洗浄に使われます。エタノールはすぐに蒸発するため、精密機械への影響がないのです。

また、自家製の化粧水を作る時にも使われます。

これは飲用不可ではないため酒税がかかり、なおかつ純度の高いエタノールであるため、値段はかなり高いです。

キッチンなどの掃除用エタノール

これは肌などに使うものではないため、純度の基準が厳しくなく、お手頃な価格で手に入れることができます。

ちなみに、エタノールの濃度が80%の時、一番消毒の効果が高いので、掃除用エタノールを買う際にはエタノール濃度が80%に近いものを買うのがおすすめです。

そして、このタイプのエタノールに他の用途はありません。

「アルコール」とは

アルコールは広い意味ではエタノールを含むアルコール類の総称のことです。

そして、アルコール類にはエタノールのほか、メタノールやイソプレパノールなどが含まれます。

ただ、一般的にはエタノールを指していることも多いです。

ここからはメタノールとイソプレパノールの詳細について解説していきたいと思います。

メタノール

メタノールとはアルコールの一種で、メチルアルコールと呼ばれることもあります。

これは体に害があるため他の用途には適していません。

そして、毒物劇薬取締法で劇物として指定されています。純粋なメタノールだと30g~100gほどが致死量になります。

ただ、この量を超えなければいいというわけではありません。メタノールは神経に作用するので致死量に達していなくても失明したり、嘔吐したりする危険性があるのです。

 

そして、メタノールはランプの原料として用いられることが多いでしょう。

イソプレパノール

イソプレパノールはアルコールの一種で、強力な消毒剤などに用いられます。

まとめ

以上、この記事では、「エタノール」と「アルコール」の違いについて解説しました。

  • エタノール:アルコールの一種
  • アルコール:アルコール類の総称

お酒を飲んでいる時、私たちが摂取しているのは「エタノール」だったんですね。これをアルコールと呼んでも問題ありませんが、「実はエタノールなんだよ」と友達に自慢してみるのもいいかもしれません。

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和佐 崇史
文章を書くこと、読むことが大好きな大学生です。中学2年生で漢検2級を取得するなど、言葉については詳しい自信があります。Webライターとしてはこれまで累計1,000記事以上を執筆してきました。