「是々非々」の意味とは?使い方から由来や反対語まで文例付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「是々非々(ぜぜひひ)」です。

言葉の意味、使い方、由来、類義語、似た言葉、対義語、英語訳、中国語「是是非非」についてわかりやすく解説します。

「是々非々」の意味をスッキリ理解!

是々非々(ぜぜひひ):物事に対して、公平公正に判断をすること

「是々非々」の意味を詳しく

「是々非々」の意味は、物事に対して、公平公正に判断をすることことです。

立場や相手との関係性、その場の空気感などに流されず、良いことははっきりと良いといい、悪いことははっきりと悪いとする姿勢を表します。

「是」と「非」は、それぞれ以下の意味を表します。

  • :良いこと、正しいこと
  • :良くないこと、間違ったこと

「是」と「非」は反対の意味の言葉なのです。

これらは「是非も無い」「非を認める」など、日常的に使用する他の言葉でも使われています。

「是々非々」は事の善悪に対して、客観的に適切な判断を下すという事なのです。

「是々非々」は「是是非非」と書くこともあります。

「是々非々」の使い方

「是々非々」は日常生活ではあまり使われません。主に、政治やビジネスのシーンで用いられます。

  1. 職場では是々非々な空気があったほうが身が引き締まる。
  2. あの政治家は是々非々で話し合うつもりだ。
  3. 厳粛(げんしゅく)な司法の場では、是々非々の態度を貫くことが求められる。
例文①は、「物事に対して公平公正に判断しようとする空気感」がよい緊張感を生むという意味です。

例文②は、公平公正に話し合うというニュアンスで使われています。

話し合うこと以外にも、以下のような動作もよく「是々非々で」と表現します。

  • 是々非々で臨む
  • 是々非々を貫く

例文③の「是々非々の態度」とは、「正しいことは正しい、悪いことは悪いとする態度」のことです。「態度」以外にも、是々非々には下記の名詞が続きます。

  • 是々非々の態度/姿勢
  • 是々非々の立場
  • 是々非々の対応/対処

「是々非々主義」とは

「是々非々」の考え方は、人の行動の軸にもなり得ます。

物事を公平公正に判断し、善悪の意識をはっきりと持つ姿勢を「是々非々主義」と言います。

「是々非々」の由来

「是々非々」は、古代中国の思想家である荀子(じゅんし)の言葉にその由来を持ちます。

荀子は、自身の著作で以下の言葉を残しています。

「是を是とし、非を非とすることを智とし、是を非、非を是とすることを愚と言う」

つまり「正しいこと」(是)を正しいとして、「間違っていること」(非)を間違っているとするのは賢いことであり、正しいことを間違いに、間違いを正しいことにしてしまうのは愚かなことである、と言っているのです。

この荀子の言葉が由来となって、「是々非々」という四字熟語が生まれました。

「是々非々」の類義語

是々非々には以下のような類義語があります。

  • 公平無私(こうへいむし):公平であり、私的な事情を挟まないこと
  • 公明正大(こうめいせいだい):私情を挟まず、公正に何かを行うこと
  • 厳正中立(げんせいちゅうりつ):公正を守り、中立の態度を貫くこと
  • 心地光明(しんちこうめい):清く正しく、少しも私心が無いこと
  • 無私無偏(むしむへん):個人的な感情に流されず、公正公平に物事を判断すること
  • 不偏不党(ふへんふとう):公正・中立な立場をとること
  • 中立:特定の思想や立場を取らず、中間に立つこと
「正しいこと」「私心が無いこと」「公正公平なこと」といった意味を持つの言葉が「是々非々」の類義語となります。

「公明正大」などは、日常的にも耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。

なお、「物事の善と悪」という意味を持つ言葉は、以下のようなものがあります。

  • 是非善悪(ぜひぜんあく):物事の正と不正、よしあしのこと
  • 理非曲直(りひきょくちょく):道理にかなっていることと外れていること
  • 是非曲直(ぜひきょくちょく):物事の善と悪、正と不正のこと

「是々非々」に似た言葉

「是々非々」と似た言葉として、「是非」と「是が非でも」が挙げられます。

「是非」の意味

「是非」には、2通りの意味があります。

  1. 正しいか正しくないか、良いか悪いか
  2. 是であっても非であっても

意味①:正しいか正しくないか、良いか悪いか

1つ目は、名詞として使われる場合の意味です。「正しいか正しくないか、良いか悪いか」を表し、簡単に言えば物事の良し悪しという意味です

例文
  • 彼の一連の行動の是非について検討する。
  • 担当の委員会が行った対応の初動について、その是非が問われた。

意味②:是であっても非であっても

2つ目は、「是非とも」と同じ意味で、副詞として使われる場合の意味です。

「是であっても非であっても」は、「どんな状況でも」というニュアンスを表します。そこから転じ「必ず」「絶対に」という意味合いを表しています。

例文
  • お誘いいただきありがとうございます。是非参加いたします。
  • こちらの件、是非ご検討頂ければと存じます。
「是非」には、「物事に対して、公平公正に判断をすること」という意味はありません。

「是非(ぜひ)」とは?意味や使い方を例文付きでわかりやすく解説

「是が非でも」の意味

「是が非でも」とは、「物事の善悪によらず」「何が何でも」という意味です。

「どうしても」という強い気持ちや思いを表します。

例文
  • “限定” と言われると、是が非でも欲しくなる。
  • 是が非でも実現させたい夢がある。

「是々非々」の対義語

是々非々には以下のような対義語があります。

  • 専断偏頗(せんだんへんば):正しいと思い込み、考えが偏っている様子
  • 不正不公(ふせいふこう):正しくない上に、平等では無く不公平なこと
  • 唯々諾々(いいだくだく):物事のよしあしに関わらず、何でも言いなりになって従うさま
  • 百依百順(ひゃくいひゃくじゅん)/百順百依:何でも人の言いなりになること
  • 日和見(ひよりみ):有利な方に付こうとして形勢を伺うこと
「不公平である」「偏っている」という意味を持つ言葉が対義語として挙げられます。

つまり、客観的な判断ではなく誰かの意思に従うことを表す「唯々諾々」「百依百順」なども対義語になります。

【関連語】「忖度」とは

  • 忖度:他人の心を推し量ること、そうして相手に配慮すること

忖度も「是々非々」と対の意味を持っています。

意味を見ると忖度は良いことのように思われますが、誰かの思いや意図に沿うことになりますので、公平公正に判断をすることではありません。

誰かに忖度した結果の行動は、日和見な行動になりかねないということです。

「是々非々」の英語訳

是々非々を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • do what is right
    (正しいことをする)
  • just and fair
    (公平・公正な)
  • unbiassed
    (公正な)
明確に日本語の「是々非々」に相当する表現は存在しません。この理由は、文化の違いにあります。

英語圏では自分自身で物事の判断をつけるのが当たり前ですから、わざわざ「正しい判断をする」という表現を作る必要がなかったのです。

英語圏の方に「是々非々」の意味を説明すれば、きっとそんなことは当たり前だと言われてしまいます。日本よりも「個人」を大切にする英語圏らしいですね。

あえてニュアンスとして近い表現を挙げるならば、 “do what is right” (正しいことをする)などの表現が挙げられます。

例文
She has an unbiassed view.(彼女の意見は公平だ。)

中国語「是是非非」

中国語の場合、「是々非々」は「是是非非」と書きます。

  • 是是非非:是非がはっきりしていること

上記のように、中国語「是是非非」と日本語の「是々非々」は意味が異なります。

「公平に是非の判断をすること」ではなく、物事の是非がはっきりしていることを言います。違いを覚えておきましょう。

まとめ

以上、この記事では「是々非々」について解説しました。

読み方是々非々(ぜぜひひ)
意味物事に対して、公正公平に判断すること。
由来中国の荀子の言葉から。
類義語公平無私、公明正大、厳正中立など
対義語専断偏頗、不正不公など
英語訳“do what is right” (正しいことをする)

テレビを見ていると、政治や経済、犯罪報道のニュースなどで「是々非々」という言葉を聞くことがあるかもしれません。

日常生活で使うことはあまり無いかもしれませんが、覚えておけば少ない言葉で多くの情報を相手に伝えることができます。四字熟語の良いところですね。

人は周りに流されやすい生き物です。正しくないと思っていることでも、周りの人間が賛同していると、自分に嘘をつき間違った判断をしてしまうことがあります。そんな中で是々非々な態度を貫くのはとても勇気のいることです。

しかし自分を騙し続けるのは苦痛です。勇気を持って物事の是非を判断できるようになれば、人生をより正直に、楽しく送ることができるでしょう。