ことわざ「雀百まで踊り忘れず」の意味と使い方:例文付き

言葉

「雀百まで踊り忘れず」とは「幼いころに身についた悪い習慣は、一生直らない」という意味です。

「雀が踊りを忘れない」ことが、なぜ「悪い習慣が直らない」という意味に繋がるのか、わからないという方が多いのではないでしょうか。

そこで、この記事では、「雀百まで踊り忘れず」の意味や使い方、由来などについて詳しく解説します。

「雀百まで踊り忘れず」の意味

雀百すずめひゃくまでおどわすれず

幼いころに身についた悪い習慣は、一生直らない

「雀百まで踊り忘れず」とは、「幼少期に身についた悪いくせは、歳を重ねても改善されない」という意味です。

このことわざに含まれる語を細かく分解すると、それぞれ以下のような意味を表しています。


  • 鳥のスズメ
  • 百まで
    100歳まで
  • 踊り
    リズミカルに飛び跳ねる
  • 忘れず
    忘れない

上記をもとに考えると、「雀百まで踊り忘れず」は、「スズメは100歳まで、リズミカルに飛び跳ねることを忘れない」と言い換えることができます。

スズメは歩くときにヒョコヒョコと飛び跳ねますが、この習性は子どもの頃から死ぬまで変わりません。

そのため、「雀百まで踊り忘れず」は「幼いころの習慣は、年を取っても変わらない」という意味になっているのです。

 

なお、「雀百まで踊り忘れず」は悪い習慣のみに対して使い、良い習慣に対しては使いません

「雀百まで踊り忘れず」にネガティブなニュアンスがあるのは、もともと「踊り」という語のメージから、以下のような “浮ついた人” に対して使われていたからです。

  • 飲酒や博打(ばくち)などの習慣をやめられない人
  • 浮気の癖がいつまでも抜けない人

なお、現在「雀百まで踊り忘れず」は、上記のような人だけでなく、悪い習慣が直らない人の全般に対して用います。

「雀百まで踊り忘れず」の使い方

「雀百まで踊り忘れず」は、主に以下のような言い回しで使います。

使い方
  • 雀百まで踊り忘れずだ。
  • 雀百まで踊り忘れずというから〜。
  • 雀百まで踊り忘れずというのは本当で〜。

具体的な例文を見てみましょう。

例文
  1. 私は猫背なのだが、幼少期の頃の写真を見たところ、背中を丸めている姿が写っていた。まさに雀百まで踊り忘れずだ。
  2. 雀百まで踊り忘れずというから、大人になってからマナーに困ることがないよう、幼い娘には正しい箸の持ち方をしっかり教えている。
  3. 雀百まで踊り忘れずというのは本当で、彼は物心ついたころから、やるべきことを後回しにしがちな性格だった。
ポジティブな意味合いでは使わない

すでに解説したとおり、「雀百まで踊り忘れず」は、「悪い癖が直らない」というネガティブな意味合いで使います。

そのため、「良い習慣がずっと続いている」という意味合いで使うことはできませんから、気をつけましょう。

× 彼は小さな頃から早寝早起きを欠かさない。まさに雀百まで踊り忘れずだ。

「雀百まで踊り忘れず」の由来

「雀百まで踊り忘れず」の由来は、「上方(かみがた)いろはかるた」にあります。

「いろはかるた」とはことわざが札に書かれている古典的なかるたですが、使われていることわざは、地域によって異なります。

「す」の札に「雀百まで踊り忘れず」が書かれているのが、関西の「上方いろはかるた」なのです。

なお、もともと「雀百まで踊り忘れ “ぬ” 」ということわざは存在していましたが、「上方いろはかるた」の表記がきっかけで、「雀百まで踊り忘れず」のほうが広く使われるようになりました。

『鷹筑波集』にも編纂されている

「雀百まで踊り忘れず」は、『鷹筑波集(たかつくばしゅう)』にも編纂されています。

『鷹筑波集』は、1642年(寛永19年)に作られた俳句集です。

西武(さいむ)という人物によって編纂されました。

『鷹筑波集』には、300名以上の俳人の作品が掲載されています。

「雀百まで踊り忘れず」の類義語

「雀百まで踊り忘れず」の類義語は、2つのパターンに分かれます。

類義語のパターン
  1. 悪い意味合いのみを表すもの
  2. 良い意味合い・悪い意味合いの両方を表すもの

以下、1つずつ解説します。

類義語①悪い意味合いのみを表すもの

以下の類義語は、悪い意味合いのみを表す言葉です。

  • 産屋の風邪は一生つく
    (うぶやのかぜはいっしょうつく)
    幼いころに身についた癖は一生直らないということ
  • 産屋の癖は八十までなおらぬ
    幼いころに身についた癖は年老いても直らないということ
  • 噛む馬はしまいまで噛む
    悪い癖は死ぬまで直らないということ
  • 頭禿げても浮気はやまず
    (あたまはげてもびょうきはやまず)
    年をとっても浮気癖が直らないこと
  • 痩せは治るが人癖(ひとくせ)は治らぬ
    痩せているのは治るが、悪い癖はなかなか改善されないということ
  • 病は治るが癖は治らぬ
    病気は治るが、悪い癖はなかなか改善されないということ

上記の言葉は、「雀百まで踊り忘れず」と同じく、ネガティブな文脈のみで使います。

「産屋の風邪は一生つく」の意味を詳しく

「産屋の風邪は一生つく」とは、「幼いころに身についた癖は一生直らない」という意味です。

産屋とは、出産のために使う部屋のことです。

つまり、産屋は赤ちゃんが産まれる場所を指します。

そのため、「生まれた場所で引いた風邪が一生治らないこと」が、「幼いころの癖が直らないこと」」のたとえになっているのです。

「産屋の癖は八十までなおらぬ」の意味を詳しく

「産屋の癖は八十までなおらぬ」も、「産屋の風邪は一生つく」と同じく、「幼いころに身についた癖は一生直らない」という意味です。

「生まれた場所での癖は、80歳になっても直らないこと」が、「幼いころの癖が直らないこと」のたとえになっているのです。

「噛む馬はしまいまで噛む」の意味を詳しく

「噛む馬はしまいまで噛む」は、「悪い癖は死ぬまで直らない」という意味です。

人を噛んでしまう癖のある馬は、一生その癖が抜けません。

この道理が、「悪い癖が直らないこと」のたとえになっているのです。

「頭禿げても浮気はやまず」の意味を詳しく

「頭禿げても浮気はやまず」は、「年をとっても浮気癖が直らない」という意味です。

頭が禿げることが、年老いた状態のたとえになっています。

類義語②良い意味合い・悪い意味合いの両方を表すもの

以下の類義語は、良い意味合い・悪い意味合いの両方を表す言葉です。

  • 三つ子の魂百まで
    (みつごのたましいひゃくまで)
    幼い頃の性格は、年をとっても変わらないこと
  • 漆剥げても生地は剥げぬ
    (うるしはげてもきじははげぬ)
    人や物の本質や性格は死ぬまで変わらないこと
  • 子供は大人の父親
    大人の原型は幼少期につくられること

上記2つの言葉は、単に「昔から特徴が変わっていない」ことのみを表します。

そのため、ポジティブな文脈でも、ネガティブな文脈でも使うことができます。

しがたって、これらの言葉は、ネガティブな文脈で使う場合のみ、「雀百まで踊り忘れず」の類義語となるのです。

「雀百まで踊り忘れず」の対義語

「雀百まで踊り忘れず」には以下のような対義語があります。

  • 昔取った杵柄
    (むかしとったきねづか)

    ①若い頃に身につけた能力
    ②若い頃に身につけた能力が衰えないこと

「昔取った杵柄」は、「若い頃の能力が、歳を重ねても保たれている」という意味であるため、“良い意味での変わらなさ” を表します。

そのため、“悪い意味の変わらなさ” を表す「雀百まで踊り忘れず」の対義語といえます。

「雀百まで踊り忘れず」の英語訳

「雀百まで踊り忘れず」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • What is learned in the cradle is carried to the tomb.
    (ゆりかごの中で覚えたことは、墓場まで覚えている。)
  • What is learned in the cradle is carried to the grave.
    (ゆりかごの中で覚えたことは、墓場まで覚えている。)
「雀百まで踊り忘れず」を英語に直訳するのはNG

「雀百まで踊り忘れず」をそのまま英語に訳すと、“Sparrows do not forget dance until hundred.” となります。

しかし、この英語表現では、英語圏の人々に「幼いころの悪いくせは直らない」という意味は伝わらないため、注意しましょう。

補足:「雀」がつく言葉


「雀百まで踊り忘れず」のほかにも、「雀」という言葉を用いたことわざや故事成語、四字熟語はたくさんあります。

参考までに覚えておきましょう。

  • 門前雀羅を張る
    (もんぜんじゃくらをはる)

    訪れる人が誰もおらず、さびれていること
    ※雀羅:スズメを捕まえるための網
  • 燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや
    (えんじゃくいずくんぞこうこくのこころざしをしらんや)

    小物には大物の気持ちが分からないということ
    ※燕雀:小さな鳥
  • 欣喜雀躍
    (きんきじゃくやく)

    踊り上がるほど非常に喜ぶこと
  • 雀の涙
    (すずめのなみだ)

    ごく僅かなもの
  • 雀の糠喜び
    (すずめのぬかよろこび)

    一時的に大喜びすること
  • 勧学院の雀は蒙求を囀る
    (かんがくいんのすずめはもうぎゅうをさえずる)

    見慣れたり聞き慣れたりしていることは、自然に身につく
  • 雀、海に入って蛤となる
    (すずめ、うみにはいってはまぐりとなる)

    思いがけない変化があること
  • 雀の千声鶴の一声
    (すずめのせんこえつるのひとこえ)

    つまらない者よりも、すぐれた者の一声のほうが勝っている
    鶴の一声」ともいう

「雀百まで踊り忘れず」のまとめ

以上、この記事では「雀百まで踊り忘れず」について解説しました。

読み方雀百まで踊り忘れず(すずめひゃくまでおどりわすれず)
意味幼いころに身についた悪い習慣は、一生直らない
由来上方いろはかるた
類義語産屋の風邪は一生つく
産屋の癖は八十までなおらぬ
三つ子の魂百まで など
対義語昔取った杵柄
英語訳What is learned in the cradle is carried to the tomb.
(ゆりかごの中で覚えたことは、墓場まで覚えている。)
What is learned in the cradle is carried to the grave.
(ゆりかごの中で覚えたことは、墓場まで覚えている。)

「雀百まで踊り忘れず」の意味からは、昔からの習慣を直すことはとても難しいことがわかります。

改善のためにできることを少しずつ始めたり、自分の良い部分を伸ばしたりしてみましょう。