今回ご紹介する言葉は、ことわざの「石の上にも三年」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「石の上にも三年」をざっくり言うと……
読み方 | 石の上にも三年 |
---|---|
意味 | がまん強く辛抱して続ければ、いつかは成し遂げられるということ |
由来 | 中国の達磨大使の逸話が語源とする説と、インドのバリシバ尊者の逸話が語源とする説の2つがある |
類義語 | 雨垂れ石を穿つ、愚公山を移す、塵も積もれば山となるなどなど |
対義語 | 一寸の光陰軽んずべからず、時は金なりなど |
英語訳 | Perseverance will win in the end.(辛抱強さは最後に勝つ)など |
このページの目次
「石の上にも三年」の意味をスッキリ理解!
「石の上にも三年」の意味を詳しく
「石の上にも三年」は、がまん強く辛抱して続ければ、いつかは成し遂げられるということを意味することわざです。
「石の上にも三年」には「石の上にも三年居れば、暖まる」という続きがあります。
冷たい石の上でも、長く座っていれば暖まってくることから、辛抱強く続けていれば、成し遂げることができるという意味になりました。
ものごとを継続することにくじけそうになったときに、背中を押してくれる言葉です。
「石の上にも三年」の注意点
「石の上にも三年」には以下のような2つの注意点があります。
- 「三年」は長い期間のたとえ
- 「辛くても辛抱し続ける必要がある」という意味はない
それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。
注意点①:「三年」は長い期間のたとえ
「石の上にも三年」の「三年」は長い期間のたとえであり、具体的な年数として「3年」を現しているわけではありません。
頑張って努力をする期間は、「長い」と感じられるものであれば、「3年」とは限らないのです。
そのため、上司が転職を引き留める時によく使う「石の上にも三年とも言うから、3年は頑張りなさい」という表現は誤用と言えます。
注意点②:「辛くても辛抱し続ける必要がある」という意味はない
「石の上にも三年」に「辛くても辛抱し続ける必要がある」という意味はありません。
「石の上にも三年」は「がまん強く続ければ、いつかは報われる」というポジティブな意味のことわざです。
そのため、同じく上司が転職を引き留める時によく使う「石の上にも三年とも言うから、今は辛くても我慢しなさい」という表現は誤用と言えます。
「石の上にも三年」の使い方
- まだ始めたばかりの仕事をやめるなんてもったいない。石の上にも三年と言うではないか。
- すぐに成功することなんてほとんどないんだ。石の上にも三年だよ。やれるだけやってみよう。
- 石の上にも三年という言葉を信じて、夢を諦めずに努力した。
- 私の姉は長い下積みを経て、メジャーデビューを果たした。石の上にも三年だ。
上記の例文のように、「石の上にも三年」は以下のような言い回しで用いられることが多いです。
- 石の上にも三年だ
- 石の上にも三年の◯◯
- 石の上にも三年というように
- 石の上にも三年という言葉通り
①と②の例文では、相手を鼓舞(こぶ)する言葉として、「石の上にも三年」が使われています。
一方、③と④の例文では、努力を重ねた人の強い信念を表す言葉として「石の上にも三年」が用いられています。
「石の上にも三年」の由来
「石の上にも三年」の由来としては、以下の2つの説が有力です。
- 中国の達磨(だるま)大使が語源だとする説
- 古代インドのバリシバ尊者が語源だとする説
どちらの話にも共通するのは、目標を成し遂げるために、長い間辛い修行を行ったということです。
それぞれの説について詳しく見ていきましょう。
中国の達磨(だるま)大使が語源だとする説
中国の禅宗(ぜんしゅう)を開いた、達磨大使という人物がいました。
達磨大使は、壁に向かって無言のまま、9年間の修行に励みました。
9年間もの月日を、たったひとりで座り続けて過ごしたのです。そして9年間の末、悟りを開くことができました。
しかし、達磨大使は、この修行によって脚が腐ってしまったと言われています。
この長年の修行を重ねて悟りを開いた達磨大使の逸話が、「石の上にも三年」の語源だとされています。
ちなみに、日本でよく見かける「だるま」は、この達磨大使が座禅(ざぜん)している形に似せて作られたものです。
古代インドのバリシバ尊者が語源だとする説
古代インドに、バリシバ尊者(そんしゃ)という人物がいました。
尊者とは、仏教において、知識や行徳(ぎょうとく)がそなわった、尊敬すべき僧のことです。
行徳とは、仏教の修行によって備わっていく徳のことです。
バリシバ尊者は、80歳を超えてから修行をはじめました。
そして、バリシバ尊者は石の上で三年間、横になって眠ることなく座り続けるという修行をやり遂げました。
この逸話が、「石の上にも三年」の語源だとされています。
「石の上にも三年」の類義語
「石の上にも三年」には以下のような類義語があります。
- 雨垂(あまだ)れ石を穿(うが)つ:努力すれば、やがて成功するということ
- 愚公山(ぐこうやま)を移す:どんなに困難なことでも努力を続ければ、やがて成功するということ
- 継続は力なり:あらゆることにおいて継続することは困難であり、それを続けていれば自分の力になっていくということ
- 待てば海路(かいろ)の日和あり:今は状況が悪くても、焦らず待ち続ければ、やがて幸運がやってくるということ
- 待てば甘露(かんろ)の日和あり:焦らず根気よく待っていればそのうち良いことがあるということ
- 辛抱する木に金がなる:辛抱強くこつこつ努力すれば、やがて幸運も財産も手に入れられるということ
- 塵(ちり)も積もれば山となる:小さなことでも少しずつ積み上げていけば、大きな成果となって現れるということ
- 茨(いばら)の中にも三年の辛抱:つらいこともじっと我慢していれば、そのうち幸運が訪れるということ
- 牛の歩みも千里(せんり):何事も努力を続ければ、大きな成功を収めることができるということ
- 果報(かほう)は寝て待て:幸運は焦らず待つのが良い
- 転石苔(てんせきこけ)を生(しょう)ぜず:活発に活動している人は時代に取り残されない
- 雨の後は上天気(じょうてんき):揉め事や喧嘩の後には良い関係になることが多いということ
- 火の中にも三年:我慢強いたとえ
- 嵐の後には凪が来る:あせらず待てば幸運が訪れるものだということ
「石の上にも三年」の対義語
「石の上にも三年」には以下のような対義語があります。
- 一寸(いっすん)の光陰(こういん)軽(かろ)んずべからず:どんなに些細(ささい)な時間であっても、無駄にしてはいけないということ
- 時は金なり:時間は金銭を同じくらい大切なものだということ
それに対して、上で挙げた二つのことわざは、「時間は大切だ」ということを強調したことわざです。
よって、「石の上にも三年」とは反対の意味にあることわざであると言えます。
「石の上にも三年」の英語訳
「石の上にも三年」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- Everything comes to him who waits.
(待ち続ける者のもとにあらゆるものがやって来る) - Perseverance will win in the end.
(辛抱強さは最後に勝つ) - Slow and steady wins the race.
(ゆっくり着実にやれば競争に勝つ) - Perseverance prevails.
(粘り強い) - Little and often fills the purse.
(継続は力なり)
まとめ
以上、この記事では「石の上にも三年」について解説しました。
読み方 | 石の上にも三年 |
---|---|
意味 | がまん強く辛抱して続ければ、いつかは成し遂げられるということ |
由来 | 中国の達磨大使の逸話が語源とする説と、インドのバリシバ尊者の逸話が語源とする説の2つがある |
類義語 | 雨垂れ石を穿つ、愚公山を移す、塵も積もれば山となるなどなど |
対義語 | 一寸の光陰軽んずべからず、時は金なりなど |
英語訳 | Perseverance will win in the end.(辛抱強さは最後に勝つ)など |
何事も我慢して続けることは過酷です。しかし、続けなければ成功を得ることはできません。
もう報われないだろうと見切って諦めてしまっては、今まで積み上げてきたものも無駄になってしまいます。
ことわざ「石の上にも三年」が私たちに教えてくれるように、多少つらくても続けることが成功につながるのかもしれません。