今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「千変万化(せんぺんばんか)」です。
「千変万化」の意味・由来・例文・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「千変万化」をざっくり言うと……
読み方 | 千変万化(せんぺんばんか) |
---|---|
意味 | 状況が様々に変わること |
由来 | 『列子』の「周穆王」というエピソード |
類義語 | 変幻自在、動揺流転、千姿万態など |
対義語 | 千篇一律、一本調子、千古不易など |
英語訳 | innumerable changes, endless changesなど |
このページの目次
「千変万化」の意味をスッキリ理解
「千変万化」の意味を詳しく
「千変万化」は「状況が次々と多様に変わる」という意味です。
「千変万化」の漢字を分解すると以下のような意味になります。
- 千:数が多いこと
- 変:変わること
- 万:数が多いこと
- 化:変わること
「千」「万」は「数が多いこと」、「変」と「化」は「変わること」を表すのです。
したがって、「千変万化」は、変化の数が非常に多いことを示しています。
「千変万化」の読み方
「千変万化」の読み方は以下のとおりです。
正しい読み方 | せんぺんばんか |
---|---|
別の読み方 | せんべんばんか |
せんへんばんけ | |
間違った読み方 | せんへんばんか |
せんへんまんか | |
せんへんばんけ |
ちなみに、「せんへんばんけ」と読むのはかなりまれなので、伝わらないことがほとんどでしょう。
「千変万華」は当て字
「千変万化」は当て字で「千変万華」と書くことがあります。
「千変万華」は「物事が華やかに次々と変化すること」というニュアンスを表したい時に用いられます。
「千変万化」の由来
「千変万化」の由来は古代中国の書物である『列子(れっし)』の「周穆王(しゅうぼくおう)」というエピソードです。
周という国に、穆(ぼく)という名前の王様がいました。
ある日、穆王は、偃師(えんし)という人物に出会います。この人物は、まるで魔法使いであるかのように、様々なことができる優秀な男性でした。
偃師は、穆王のために自作の人形を持ってきました。
人形には心臓や肝臓、腎臓が入っているため、人間のように動くことができたのです。口元に手を当てると歌い、足を触ると踊り出しました。
この目まぐるしく変わる人形の様子が、「千変万化」という言葉で表されたのです。
「千変万化」の例文
「千変万化」は、以下の3つの場面で使われます。
- 変化しているという事実のみを示す場合
- 変化に良い印象をもっていることを示す場合
- 変化に悪い印象をもっていることを示す場合
以下、ひとつずつ解説します。
変化している事実のみを示す場合
「千変万化」は以下の例文のように、変化している事実のみを表す場合があります。
上記の文は、ここ数年の世界の状況が目まぐるしく変わっていることを表す文ですね。
世界の状況変化には、「技術の進歩で便利な道具が増えた」というような喜ばしいことも、「戦争が起きた」というような悲しいことも含まれますね。
つまり、この文は、その変化の良し悪しに関係なく、単に「状況が様々に変わっている」という事実のみを示していることがわかります。
変化に良い印象をもっていることを示す場合
「千変万化」は以下の例文のように、変化に良い印象を持っていることを示す場合に用いられることもあります。
オーロラは、時間とともに色や動きが変化するからこそ、美しいですね。
ですから、この文での「千変万化」は、変化することにポジティブな印象をもっていることがわかります。
変化に悪い印象をもっていることを示す場合
「千変万化」は以下の例文のように、変化に悪い印象を持っている時に用いられることもあります。
上記の例文は主張の内容が時と場合によって変わってしまうと、聞き手に信用してもらえないということを示していますね。
つまり、この文では、「千変万化」という四字熟語をネガティブな意味合いで用いていることがわかります。
「千変万化」の類義語
「千変万化」には、以下のような類義語があります。
- 変幻自在(へんげんじざい):思うがままに、現れたり消えたりすること
- 動揺流転(どうようるてん):揺れ動き、絶え間なく変化すること
- 千姿万態(せんしばんたい):さまざまに姿や形が変わること
- 有為転変(ういてんぺん):この世の物事は常に変化すること
- 生生流転(せいせいるてん):万物が常に変化し続けること
- 諸行無常(しょぎょうむじょう):万物が常に変化してとどまることがないこと
- 万物流転(ばんぶつるてん):この世すべてのものは常に変化するということ
- 流転無窮(るてんむきゅう):様々に変化して留まらないこと
- 二転三転(にてんさんてん):物事の内容が何度も変わること
- 千変万幻(せんぺんばんげん):局面がさまざまに変化して留まることがないこと
- 栄枯盛衰(えいこせいすい):世の中には盛んなこともあれば衰えることもあるということ
- 目まぐるしい変化
- 多種多様な変化
- 頻繁な変化
「千変万化」と「変幻自在」の違い
「変幻自在」は「思うがままに現れたり消えたりすること」という意味です。
「千変万化」と「変幻自在」には以下のような違いがあります。
- 千変万化:「変化」を客観的に表現する言葉
- 変幻自在:「変化」を主観的に表現する言葉
「千変万化」は何かがさまざまに変化する様子を外から観察していることを表します。
一方、「変幻自在」は自分の思いのままに何かをさまざまに変化させる様子を表すのです。
そのため、「彼は変幻自在に人形を操った」とは言いますが、「彼は千変万化に人形を操った」とは言いません。
「千変万化」の対義語
「千変万化」には、以下のような対義語があります。
- 千篇一律(せんぺんいちりつ):物事に変化がなく、面白さに欠けること
- 一本調子(いっぽんちょうし):単純で変化がないこと
- 千古不易(せんこふえき):永遠に変わらないこと。「万古不易(ばんこふえき)」ともいう
- 常住不断(じょうじゅうふだん):途切れずにずっと続くこと
- 永久不変(えいきゅうふへん):いつまでも果てしなく続いて変わらないこと
- 永永無窮(えいえいむきゅう):いつまでも永遠に続くこと
- 一定不変(いっていふへん):何があっても変わらないこと
- 恒久不変(こうきゅうふへん):いつまでも変わらないこと
全てずっと状況が変わらないことを指していますね。
つまり、次々と状況が変わることを指す「千変万化」と正反対の意味をもっていることがわかります。
「千変万化」の英語訳
「千変万化」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- innumerable changes
(無数の変化) - endless changes
(数えきれない変化) - infinite variety
(無限の変化) - ever-changing
(変化し続ける) - constantly changing
(絶えず変化する) - shifting
(変化する)
どちらも、変化のバリエーションが様々であることを表していますから、「千変万化」の英訳であることがわかりますね。
「千変万化」の中国語訳
「千変万化」を中国語に訳すと、次のような表現になります。
(状況が次々と変わること)
しかし、「変」という字はよく見ると簡体字の「变」ですから、中国語で書く際は気をつけましょう。
まとめ
以上、この記事では「千変万化」について解説しました。
読み方 | 千変万化(せんぺんばんか) |
---|---|
意味 | 状況が様々に変わること |
由来 | 『列子』の「周穆王」というエピソード |
類義語 | 変幻自在、動揺流転、千姿万態など |
対義語 | 千篇一律、一本調子、千古不易など |
英語訳 | innumerable changes, endless changesなど |
生活のなかで、刻一刻と様々に変化するものはたくさんあります。
したがって、「千変万化」という言葉で表される物事も多いといえますね。
由来や英語訳、類語などもふまえて、この四字熟語を使いこなせるようになりましょう。