四字熟語「君子豹変(くんしひょうへん)」の意味と使い方:例文付き

言葉

君子豹変とは「優れた人は、すぐに間違いを正す」「意見や態度が急に変わること」という意味です。

君子豹変は、人が急に態度を変えることを非難する言葉だと思っていませんか?

元々は異なる意味ですので、正しい意味も知っておきたいですよね。

この記事では、君子豹変の意味や使い方に加えて、他の間違った意味が定着した語についても、わかりやすく解説します。

「君子豹変」の意味

君子豹変くんしひょうへん

  1. 優れた人は、すぐに間違いを正す
  2. 意見や態度が急に変わること

君子豹変は元々、①「優れた人が間違いを犯した時は、速やかに間違いを正すことができる」という意味です。

しかし、現代では主に②「意見や態度が急に変わること」の意味で使います。

つまり、元々はポジティブな意味でしたが、ネガティブな意味で使われることが多くなったのです。

ここからは「君子」と「豹変」に分けて、それぞれの意味を詳しく解説します。

「君子」の意味

君子くんし

  1. 教養が豊かで、人格も優れた立派な人
  2. 組織の中で高い地位にいる人
  3. 蘭・竹・菊・梅のこと

君子豹変では、①の意味で使われています。

古くから、組織を取りまとめる地位にいる人は、①の意味の「君子」でなければならないと考えられていたため、②の意味ももつようになりました。

③は4つの草木を優れたものとしてまとめたもので、「四君子(しくんし)」ともいいます。

「豹変」の意味

豹変ひょうへん

人の態度や行いががらりと変わること

動物の豹の毛は、季節が変わると模様が美しく生え変わります。

そのため、「豹変」は「人の態度や行いが急にすっかり変わること」を表すのです。

元々は良い方向に変わることを表しましたが、現在では良くない方向に変わることを表すほうが多いです。

「豹変(ひょうへん)」とは?意味や使い方を例文付きで解説

「君子豹変」の使い方

君子豹変は以下のような言い回しで使います。

  • 君子豹変のごとく〜。
  • 君子豹変の〇〇

〇〇には名詞が入ります。

君子豹変の例文を、意味ごとに見ていきましょう。

意味①「優れた人は、すぐに間違いを正す」の例文

「優れた人は、すぐに間違いを正す」の例文には以下のようなものがあります。

例文
  1. 彼女は君子豹変のごとく、自分の過ちは素直に認めて直している。
  2. 君子豹変できるようにならないと、立派な人間とは言えない。
  3. 私は、自分が悪いと思っても素直に謝れないことがあるため、君子豹変の心が必要だ。

意味②「意見や態度が急に変わること」の例文

「意見や態度が急に変わること」の例文には以下のようなものがあります。

例文
  1. 政治家は、不正や汚職が発覚すると、ほとんどの人が君子豹変し、逃げるように辞職してしまう。
  2. 彼はカンニングの証拠を突きつけられると、君子豹変して、開き直った。
  3. 優しかった彼女が君子豹変し、冷たい目で僕を見ていた。

「君子豹変」の語源

君子豹変の語源は、古代中国の書物『易経(えききょう)』に収録されている「革卦(かくか)」という章の一文です

「革卦(かくか)」の中に、以下のような文章があります。

君子は豹変す、小人(しょうじん)は面(おもて)を革(あらた)む
(立派な人は自分の過ちを認めてはっきりと態度を直すものだが、普通の人は見かけを直すだけだ。)

この言葉が君子豹変となり、「優れた人は、すぐに間違いを正す」という意味になりました。

『易経』とは?

『易経』は、儒教という学問で重視される書物・中国五経(ごきょう)のひとつです。

占いの知恵や、人生の課題の解決方法が書かれています。

「君子豹変」の類義語

君子豹変には以下のような類義語があります。

  • 君子は豹変す
    優れた人は、すぐに間違いを正す
  • 大人虎変(たいじんこへん)
    ①優れた賢者が、時の流れに合わせて日々自分を変えていくこと
    ②優れた統治者によって、より良い制度に改められること
  • 大人(たいじん)は虎変す
    ①優れた賢者が、時の流れに合わせて日々自分を変えていくこと
    ②優れた統治者によって、より良い制度に改められること
  • 大賢虎変(たいけんこへん)
    ①優れた賢者が、時の流れに合わせて日々自分を変えていくこと
    ②優れた統治者によって、より良い制度に改められること
  • 朝令暮改(ちょうれいぼかい)
    ①命令や方針などが絶えず変更されること
    ②そのために当てにできないさま

「君子豹変」の対義語

君子豹変には以下のような対義語があります。

  • 頑固一徹(がんこいってつ)
    非常にかたくなで、一度決めたら自分の考えや態度を絶対に変えようとしないさま
  • 首尾一貫(しゅびいっかん)
    最初から最後まで理論や筋が一緒のこと

「頑固一徹」を詳しく

頑固一徹は、「自分の考え方や態度などを絶対に変えずに、最後まで意思を貫ぬき押し通すさま」を表します。

頑固一徹は、以下の2語から成り立っています。

  • 頑固
    かたくなで意地を張ること
  • 一徹
    思い込んだらあくまで通そうとする我の強いこと

頑固一徹は、戦国時代の武将・稲葉一鉄(いなばいってつ)が由来だとされます。

稲葉一鉄は、姉川の戦いにおいて最も功績をあげたとして、織田信長から「自分の名前の一字である “長” を与える」と言われます。

しかし、稲葉一鉄は「最も功績をあげたのは徳川家康であるため、家康にお与えください」と断ります。

この稲葉一鉄の自身の考えを曲げない姿勢から、「鉄」が「徹」に転じて、頑固一徹という言葉が生まれたとされています。

「小人革面」という対義語はない

君子豹変の語源は「君子は豹変す、小人は面を革む」ですが、小人革面のみで使われることはありません。

「君子豹変」の英語訳

君子豹変を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • A wise man changes his mind, a fool never.
    (賢者は考えを変えるが、愚者は決して変えない)
  • The wise man adapts himself to any conditions.
    (賢い人はどんな状況にも適応する)
  • The true man is found in his place anywhere.
    (賢い人は、どこにいても自分の居場所を見つけることができる。)
  • change
    (変化する)

関連:「君子」がつく語

君子豹変と同じく、「君子」がつく語には以下のようなものがあります。

関連:間違った意味が定着した語

君子豹変は、間違った意味が定着した語です。

元々の意味と異なる間違った意味が定着した語には、以下のようなものがあります。

  • 情けは人のためならず
    (正)人に情けをかけておくと、巡り巡って結局は自分のためになる
    (誤)人に情けをかけて助けてやることは、結局はその人のためにならない
  • 犬も歩けば棒に当たる
    (正)余計なことをすると、思いがけない災難に遭う
    (誤)何か行動を起こすことで、思いがけない幸運に出会う

「情けは人のためならず」を詳しく

「情けは人のためならず」には、2つの意味があります。

  1. 人に情けをかけておくと、巡り巡って結局は自分のためになる
  2. 人に情けをかけて助けてやることは、結局はその人のためにならない

本来は、①の「相手の助けになるから、人に情けをかける」という意味です。

そのため、②の「相手の助けになるから、人に情けをかける」という意味は、本来は誤用です

しかし、現代では②の意味で使う人が増えています。

誤用の意味が広まっていることは、平成22年度に実施された「国語に関する世論調査」の結果からも明らかです。

  1. 回答者の45.8%
    「人に情けをかけておくと、巡り巡って結局は自分のためになる」と回答
  2. 回答者の45.7%
    「人に情けをかけて助けてやることは、結局はその人のためにならない」と回答

上記の通り、正しい意味で回答した人と、誤用の意味で回答した人の割合がほとんど同じになっています。

「犬も歩けば棒に当たる」を詳しく

「犬も歩けば棒に当たる」は、元々はネガティブな意味ですが、ポジティブな意味で使われることもあります

本来は、「でしゃばると思わぬ災難に遭う」というネガティブな意味です。

しかし、現代では②の「じっとしていないで行動を起こせば幸運に出会える」というポジティブな意味でも使われています。

「君子豹変」のまとめ

以上、この記事では君子豹変について解説しました。

読み方君子豹変(くんしひょうへん)
意味優れた人は、すぐに間違いを正す
意見や態度が急に変わること
語源『易経』の「革卦」より「君子豹変小人革面」
類義語君子は豹変す
大人虎変
大人は虎変す など
対義語頑固一徹
首尾一貫
英語訳A wise man changes his mind, a fool never.
(賢者は考えを変えるが、愚者は決して変えない)
The wise man adapts himself to any conditions.
(賢い人はどんな状況にも適応する) など
「君子」がつく語聖人君子
梁上の君子
君子はこれを己に求め小人はこれを人に求む
間違った意味が定着した語情けは人のためならず
犬も歩けば棒に当たる

君子豹変は、意味を誤解されやすい言葉ですが、「豹変」という文字だけでなく、「君子」という部分にも注目すると、正しい意味が覚えやすいでしょう。

また、間違った意味だとしても、新しい意味として定着することもあります。

そんな時に柔軟に対応することができれば、まさに本来の意味の君子豹変ですね。