ことわざ「犬も歩けば棒に当たる」の意味と使い方:例文付き

言葉

今回ご紹介する言葉は、ことわざの「犬も歩けば棒に当たる」です。

言葉の意味や使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

「犬も歩けば棒に当たる」の意味をスッキリ理解!

犬も歩けば棒に当たる:何か行動を起こすことで思いがけない幸運に出会うということ

「犬も歩けば棒に当たる」の意味を詳しく


「犬も歩けば棒に当たる」は、以下のように、2つの真逆の意味を持つことわざです。

  1. 余計なことをすると、思いがけない災難に出会うということ
  2. 何か行動を起こすことで、思いがけない幸運に出会うということ

元々は、➀の意味で使用されていたことわざでしたが、現在では➁の意味で用いられることが多いです。

「犬も歩けば棒に会う」と表記されることもあります。

それでは2つの意味について詳しく見ていきましょう。

意味①:余計なことをすると、思いがけない災難に出会うということ

「犬も歩けば棒に当たる」には「余計なことをすると、思いがけない災難に出会うということ」という意味があります。

どうしても人間は、じっとしていればよい状況で、出しゃばったり、余計なことをしてしまうことがあります。

そのような時に、思ってもいなかった災難がその人の身に降り注ぐというのが➀の意味です。

 

たとえば、じっとしていればお小遣いを貰えたのに、余計にしつこくねだったがために、貰えなくなってしまう場合があります。

このように、➀の意味は、「余計な行動への戒め」として使われます。

意味②:何か行動を起こすことで、思いがけない幸運に出会うということ

「犬も歩けば棒に当たる」には「何か行動を起こすことで、思いがけない幸運に出会うということ」という意味があります。

自分から何かしらの行動を起こすことは、現代においては「良いこと」として捉えられることが多いです。

そのように、自分から積極的に行動を起こすことで、思ってもいなかった幸運に巡り合うことができるというのが➁の意味です。

 

たとえば、会社で何か問題が発生した時に、とにかく外に足を運んでいたら、他社の人の助けを借りることができた場面が挙げられます。

このように、➁の意味は、「何かしら行動を起こすことの大切さ」を表す教訓として使われます。

この意味の「犬も歩けば棒に当たる」は積極的に行動している人への励ましとして使われることもあります。

「反射神経の良い犬でも、歩いている際に棒に当たってしまうこともある」という意味は間違い

「犬も歩けば棒に当たる」を「反射神経の良い犬でも、歩いている際に棒に当たってしまうこともある」という意味でとらえるのは間違いです。

得意な人も失敗することがあるという意味の「猿も木から落ちる」と混同してしまっているのです。

「犬も歩けば棒に当たる」の使い方

  1. 犬も歩けば棒に当たると言うように、変に意見を言うと何かしら悪いことが起きるからやめておこう。
  2. 就職活動中は犬も歩けば棒に当たるという言葉を信じて、とにかく色々なところに足を運んでいた。
  3. 今日は会社が休みだったが、街に出歩いてみたら、ファンの歌手に会うことができた。まさに犬も歩けば棒に当たるだ。

➀の例文では、「何か余計なことをすると思いがけない不運に出会う」という意味で「犬も歩けば棒に当たる」が使われています。

➁と➂の例文では、「何かしら行動を起こすことで思いがけない幸運に出会う」という意味で「犬も歩けば棒に当たる」が使われています。

繰り返しにはなりますが、現在はこちらの意味で使われることが一般的です。

ちなみに、「何かしら行動を起こすことで思いがけない幸運に出会う」という意味は「才能がない者でも」というニュアンスを含むので使い方には注意が必要です。

「犬も歩けば棒に当たる」の由来

「犬も歩けば棒に当たる」は江戸時代から存在したことわざです。江戸時代に江戸で広まった「江戸いろはかるた」の第1句にあたります。

 

江戸時代は、現代のように犬を鎖(くさり)などで繋(つな)いでおくという習慣が無く、野犬が非常に多い時代でした。

犬はいたずらをするなどの理由で、棒で叩かれることも多く、単に歩いているだけで、災難な目に遭うことがありました。

このことから「犬も歩けば棒に当たる」は生まれました。

 

また、「当たる」という言葉には、「幸運と結びつく」というイメージがあります。

このことは、「宝くじが当たる」と言うことからも分かると思います。

「当たる」のプラスのイメージと、「積極性」を尊重する時代背景が相まって、「何か行動を起こすことで、思いがけない幸運に出会うということ」という意味で頻繁に使われるようになりました。

「犬も歩けば棒に当たる」の類義語

「犬も歩けば棒に当たる」には意味別に以下のような類義語があります。

「思いがけない災難に遭う」の意味の類義語
  • 歩く足には泥(どろ)が付く:何か物事を行うと、それに伴って煩(わずら)わしいことが起こるということ
  • 歩く足には棒当たる:何か物事を行うと、それに伴って煩わしいことが起こるということ
  • 藪(やぶ)をつついて蛇(へび)を出す: 必要の無いことをしたがために災難に遭うこと
  • たまに出る子は風に遭(あ)う:普段しないようなことをすると、失敗するということ
  • 触らぬ神に祟(たた)りなし:その物事にかかわりさえしなければ災いを招くことはない
「思いがけない幸運に出会う」の意味の類義語
  • 思い立ったが吉日(きちじつ):何か物事を始めようと思ったら、日を選ばずすぐに行動した方が良いということ
  • 怪我(けが)の功名(こうみょう):失敗や過失、あるいは何気なくしたことが、思いがけず良い結果になるということ
  • 流れに棹(さお)さす:物事が順調に進む様子
  • 棚からぼたもち:思いがけない幸運を得ること

「犬も歩けば棒に当たる」の対義語

「犬も歩けば棒に当たる」は、2つの意味を持つ言葉であるため、使用する場面によって対義語は変わります。

また、2つの意味は真逆の意味であるため、前述した類義語がそれぞれ対義語にもなります。

それぞれの意味の対義語は以下のとおりです。

「思いがけない災難に遭う」の意味の対義語
  • 思い立ったが吉日:何か物事を始めようと思ったら、日を選ばずすぐに行動した方が良いということ
  • 怪我の功名 :失敗や過失、あるいは何気なくしたことが、思いがけず良い結果になるということ
「思いがけない幸運に出会う」の意味の対義語
  • 歩く足には泥が付く :何か物事を行うと、それに伴って煩わしいことが起こるということ
  • 歩く足には棒当たる:何か物事を行うと、それに伴って煩わしいことが起こるということ
  • 藪をつついて蛇を出す:必要の無いことをしたがために災難に遭うこと
  • たまに出る子は風に遭う :普段しないようなことをすると、失敗するということ

「犬も歩けば棒に当たる」の英語訳

「犬も歩けば棒に当たる」を英語に訳すと、意味別に次のような表現になります。

「思いがけない災難に遭う」の意味の英語訳
  • The beast that goes always never wants blows.
    (歩き回る獣はいつも叩かれる。)
「思いがけない幸運に出会う」の意味の英語訳
  • The dog that trots about finds a bone.
    (歩き回る犬はいつも骨を見つけられる。)
  • A flying crow always catches something.
    (飛んでいるカラスはいつも何かを捕まえる。)
  • Nothing ventured, nothing gained
    (危険を冒さなければ何も得られない)
  • Nothing will ever change if you do nothing
    (何もしなければ何も変わらない)
  • The waiking dog finds a done.
    (犬も歩けば骨を見つける)

まとめ

以上、この記事では「犬も歩けば棒に当たる」について解説しました。

意味①余計なことをすると思いがけない災難に出会うということ
②何か行動を起こすことで思いがけない幸運に出会うということ
由来江戸時代は野犬が多く、犬は棒で叩かれることが多かったため
類義語歩く足には泥が付く、思い立ったが吉日など
対義語思い立ったが吉日、歩く足には泥が付くなど
英語訳The beast that goes always never wants blows. (歩き回る獣はいつも叩かれる。)・The dog that trots about finds a bone.( 歩き回る犬はいつも骨を見つけられる。)など

「犬も歩けば棒に当たる」の意味や使い方など理解することはできたでしょうか。

反対の二つの意味を持つ、非常に珍しいことわざということもあり、類義語や対義語は特に複雑な関係にあります。

しかし、現在では「何か行動を起こすことで、思いがけない幸運に出会う」という意味で使われることがほとんどです。

したがって、そちらの意味を基本として覚えて、実はそれとは真逆の意味もある珍しいことわざであると覚えておくと良いでしょう。