今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「毀誉褒貶(きよほうへん)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・対義語・英語訳について分かりやすく解説します。
☆「毀誉褒貶」をざっくり言うと……
読み方 | 毀誉褒貶(きよほうへん) |
---|---|
意味 | 悪口を言ったり、ほめるたりすること。世間の評判。 |
類義語 | 賛否両論、甲論乙駁、良し悪しなど |
対義語 | 衆口一致、満場一致、全会一致など |
英語訳 | praise or[and] censure[blame](ほめたり、けなしたり)、various criticisms(様々な批判)など |
「毀誉褒貶」の意味をスッキリ理解!
「毀誉褒貶」の意味を詳しく
「毀誉褒貶」は「悪口を言ったり、ほめたりすること」や「さまざまな評判がある状態」を表す四字熟語です。
人や物事を評価する時に用いられることが多い言葉です。
根拠のある批評よりも、不確かな批評に用いられる場合が多いです。
「毀誉褒貶」の読み方
「毀誉褒貶」は「きよほうへん」と読みます。
「毀誉褒貶」の漢字の意味
「毀誉褒貶」を構成する漢字には以下のような意味があります。
- 毀:悪口を言うこと
- 誉:ほめること
- 褒:ほめること
- 貶:悪口を言うこと
「毀誉褒貶」は「ほめる」という意味の漢字と「悪口を言う」という意味の漢字を2つずつ組み合わせた言葉なのです。
「毀誉」と「褒貶」の違い
「毀誉」と「褒貶」はまったく同じ意味というわけではなく、以下のような違いがあります。
- 毀誉:名誉をたたえたり、傷つけたりすること
- 褒貶:良い評価を与えたり、悪い評価を与えたりすること
「毀誉褒貶」は「人を褒めたり悪口を言ったりする人」を指す言葉ではないので注意が必要です。
「毀誉褒貶」はあくまで人からの評価が分かれる人物や物事のことを表します。
「毀誉褒貶」の使い方
「毀誉褒貶」は以下のような言い回しで用いられることが多いです。
- 毀誉褒貶を顧みない
- 毀誉褒貶相半ばする
- 毀誉褒貶が多い
- 毀誉褒貶が(の)激しい
「毀誉褒貶」は基本的に名詞として用いられるのです。
それぞれの言い回しでの「毀誉褒貶」の意味について例文と一緒に見ていきましょう。
使い方①:毀誉褒貶を顧みない
「毀誉褒貶を顧(かえり)みない」は「他人からの評価を気にしない様子」という意味の言い回しです。
- 彼は毀誉褒貶を顧みない直接的な言葉を使いがちなので、部下からは尊敬されていない。
- 自由に生きるコツは毀誉褒貶を顧みないことです。
- 人気が出るほど、ひどい言葉をかけられることも増えるが、彼女は毀誉褒貶を顧みない。
❶の例文では「毀誉褒貶を試みない」が「自己中心的だ」というネガティブな意味で用いられています。
❷の例文では「毀誉褒貶を顧みない」が「人に意見に流されず主体的」というポジティブな意味で用いられています。
使い方②:毀誉褒貶相半ばする
「毀誉褒貶相半(あいなか)ばする」は「良い評判も悪い評判のどちらもある」という意味の言葉です。
「毀誉褒貶相半ばする人物」と言った場合には、「評判が分かれる人物」ということになります。
たとえば、「毎日長時間残業をしている人」は「毎日頑張っている人」と良い評価を受けることもありますが、「残業しなければいけないほど仕事が遅い人」と悪い評価をされることもあります。
- 彼は「優しい」「ずる賢い」など、毀誉褒貶相半ばする人物だ。
- その会社は長時間労働を強いられるが、大きく成長できるため毀誉褒貶相半ばする会社だ。
- 彼はとても才能はあるが女癖が悪い。そのため彼の評価は毀誉褒貶相半ば(あいなかば)する。
使い方③:毀誉褒貶が多い
「毀誉褒貶が多い」は「良い評判も悪い評判も多い」という意味です。
- A社の製品は毀誉褒貶が多いことで知られている。
- あのコンビの漫才は変わっているから毀誉褒貶が多いけど、君はハマると思うよ。
使い方④:毀誉褒貶が(の)激しい
「毀誉褒貶が激しい」「毀誉褒貶の激しい」は「世間からの評価が強く分かれる人や物事のこと」です。
「毀誉褒貶が多く」なくても、極めて良い評価をする人と極めて悪い評価をする人がいれば「毀誉褒貶が激しい」と言えます。
- 毀誉褒貶が激しい人物は時に炎上することがある。
- 毀誉褒貶の激しいサービスを契約してしまったため、少し不安だ。
- 毀誉褒貶の激しい人が言うことはどうも信じることができない。
「毀誉褒貶」のその他の使い方の例文
- 世の中をうまく生きのびていくには、毀誉褒貶に惑わされてはならない。
- 毀誉褒貶にとらわれていては、自分の人生を生きることはできない。
- 有名人になるほど、毀誉褒貶は避けられない。
「毀誉褒貶」の類義語
毀誉褒貶には以下のような類義語があります。
- 賛否両論(さんぴりょうろん):賛成と反対のどちらの意見もあること
- 甲論乙駁(こうろんおつばく):さまざまな意見が出てまとまらないこと
- 良し悪し(よしあし):良い点と悪い点
- 毀誉(きよ):悪口を言うこととほめること
- 褒貶(ほうへん):ほめることとけなすこと
- 是非(ぜひ):良いことと悪いこと
- 可否(かひ):賛成と反対
- 正否(せいひ):正しいことと正しくないこと
- 雲翻雨覆(うんぽんうふく):人情が変わりやすいことのたとえ
- 翻雲覆雨(ほんうんふくう):人情が変わりやすいことのたとえ
- 覆雨翻雲(ふくうほんうん):人情が変わりやすいことのたとえ
「賛否両論」と「毀誉褒貶」の違い
「賛否両論」とは「賛成の意見も反対の意見もあること」という意味です。
「毀誉褒貶」と「賛否両論」には以下のような違いがあります。
- 毀誉褒貶:「良い」「悪い」どちらの意見もある
- 賛否両論:「賛成」「反対」どちらの意見もある
「毀誉褒貶」と「賛否両論」では「良いか悪いか」「賛成か反対か」が異なるのです。
この2つは似ているようで異なるもので、「賛成だが悪いこと」「反対だが良いこと」もあります。
たとえば、世の中には心の中で罪悪感を持ちながら人の犯罪に協力する場合は犯罪に「賛成」しているが、やっていることは「悪い」ことだと思っています。
「毀誉褒貶」の対義語
「毀誉褒貶」には以下のような対義語があります。
- 衆口一致(しゅうこういっち):多くの人と意見や評判が合っていること
- 満場一致(まんじょういっち):その場の全員の意見がひとつになること
- 全会一致(ぜんかいいっち):ある集団で反対者をひとりも出さずに意見をまとめて採用すること
- 異口同音(いくどうおん):多くの人の意見が一致すること
- 諸説紛々(しょせつふんふん):さまざまな意見が入り乱れて真相がつかめないこと
「毀誉褒貶」の英語訳
毀誉褒貶を英語に訳すと、次のような表現になります。
- praise or[and] censure[blame]
(ほめたり、けなしたり) - various criticisms
(様々な批判) - various reputation
(さまざまな評判) - pros and cons
(賛成と反対)
まとめ
以上、この記事では「毀誉褒貶」について解説しました。
読み方 | 毀誉褒貶(きよほうへん) |
---|---|
意味 | 悪口を言ったり、ほめるたりすること。世間の評判。 |
類義語 | 賛否両論、甲論乙駁、良し悪しなど |
対義語 | 衆口一致、満場一致、全会一致など |
英語訳 | praise or[and] censure[blame](ほめたり、けなしたり)、various criticisms(様々な批判)など |
毀誉褒貶を顧みずに、自分を信じて生きていきたいものですね。