今回ご紹介する言葉は、「故事成語」の「五十歩百歩(ごじっぽひゃっぽ)」です。
言葉の意味、使い方、由来、類義語、対義語、英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「五十歩百歩」をざっくり言うと……
読み方 | 五十歩百歩(ごじっぽひゃっぽ) |
---|---|
意味 | 両者の間にほとんど違いはなく、同じようなものであること。 |
由来 | 「梁恵王章句(りょうけいおうしょうく)|孟子」 |
類義語 | ドングリの背比べ、大同小異、一寸法師の背比べ |
対義語 | 月とスッポン、雲泥の差、目糞鼻糞を笑う |
英語訳 | That’s six of one and half a dozen of the other. (一方の6つと、もう一方の半ダース(※どちらも数は6つで同じだという意味。))など |
このページの目次
「五十歩百歩」の意味をスッキリ理解!
「五十歩百歩」の意味を詳しく
「五十歩百歩(ごじっぽひゃっぽ)」とは、「違いはあるが、本質的には同じで似ているものであること」という意味を表す故事成語です。
「五十歩を以(もっ)て百歩を笑う」も同じ意味の表現です。
基本的には、「どちらも悪さの程度が違うだけで、悪いのに変わりはない」という意味で用いられます。
一方、以下のような2つの場合には用いられません。
- 優れたもの同士を比較する際には、基本的に使われない
- 比較するものの間に大きな差がある場合には使われない
また、「五十歩百歩」の読み方は「ごじっぽひゃっぽ」が正しく、「ごじゅっぽひゃっぽ」と読むことは好ましくありません。
現在では「ごじゅっぽ」と発音する人が増えているため、世間的に容認されてかけている読み方ではあります。
しかし、あくまでも正規の読み方としては「ごじっぽ」ですので気をつけましょう。
「五十歩百歩」の使い方
「五十歩百歩」は、ふたつものを比べる際に、どちらもほとんど同じで違いがないことを表現するために用いられます。
具体的には、以下のように使います。
- 夏休みの補習が決まった彼と私のテストの点数は五十歩百歩だ。
- 2人はお互いを罵っているけど、私から見たら五十歩百歩だ。
- 今期の営業成績で最下位の彼と自分は、側から見ると五十歩百歩なのだろう。
「五十歩百歩」の由来
「五十歩百歩」という故事成語の由来は、儒教の大家として有名な中国の孟子が編纂した「梁恵王章句(りょうけいおうしょうく)」にあります。
中国の戦国時代のあるとき、孟子は梁の恵王に「なぜ、自分のほうがいい政治をしているのに隣国から民が集まらないのか?」と問われます。
この質問に対して、孟子は「戦場で50歩逃げた兵士と、100歩逃げた兵士は逃げた歩数こそ違うが、どちらも逃げている点で同じである」と返します。
そして、どちらの国も「徳」ではなく「利」を重視した政治をしている点で違いはないので、人口が増えるわけもないということを説きました。
この逸話から、「五十歩百歩」は「違いがあるように見えるが、本当はとても似ていること」を表す故事成語として広まったのです。
「五十歩百歩」の類義語
五十歩百歩には以下のような類義語があります。
- ドングリの背比べ:どちらも代わり映えのしない者同士が競い合ってる様子
- 大同小異(だいどうしょうい):大きな部分は同じで細かい点だけが異なること
- 一寸法師の背比べ:どちらも似たりよったりなこと
- ドッコイドッコイ:どちらもそれほど価値がなくして大きく違わないこと
- 似たりよったり:どちらも同じくらいで大した差はないこと
このように、「五十歩百歩」の類義語には、何かと何かを比較する際に使われる言葉が多いです。
「五十歩百歩」の対義語
五十歩百歩には以下のような対義語があります。
- 月とスッポン:比較にならないほど違いが大きいこと
- 雲泥の差(うんでいのさ):非常に大きな差のこと
- 目糞鼻糞を笑う(めくそはなくそをわらう):自分の欠点には気が付かないで、他人のことをあざ笑うこと
- 提灯に釣り鐘(ちょうちんにつりがね):つりあいが取れないこと
- 鯨と鰯(くじらといわし):天地ほどの大きな差のこと
- 雪と墨(ゆきとすみ):ふたつの物事が正反対なこと
「五十歩百歩」の英語訳
五十歩百歩を英語に訳すと、次のような表現になります。
- That’s six of one and half a dozen of the other.
(一方の6つと、もう一方の半ダース(※どちらも数は6つで同じだという意味。)) - There’s hardly any difference.
(ほとんど違いがない) - There’s very little difference.
(ほんの少しの違い) - Same difference
(大差なし) - There is little [not much] to choose between them.
(ほんの少しの違いだ) - The pot calling the kettle black
(鍋がやかんを黒いと呼ぶ) - slight difference
(わずかな違い) - not much difference
(大した差がない) - nearly the same
(ほとんど同じ)
まとめ
以上、この記事では「五十歩百歩(ごじっぽひゃっぽ)」について解説しました。
読み方 | 五十歩百歩(ごじっぽひゃっぽ) |
---|---|
意味 | 両者の間にほとんど違いはなく、同じようなものであること。 |
由来 | 「梁恵王章句(りょうけいおうしょうく)|孟子」 |
類義語 | ドングリの背比べ、大同小異、一寸法師の背比べ |
対義語 | 月とスッポン、雲泥の差、目糞鼻糞を笑う |
英語訳 | That’s six of one and half a dozen of the other. (一方の6つと、もう一方の半ダース(※どちらも数は6つで同じだという意味。))など |
2つのものを比較する際に「どちらも優れたものではない」「極端な差がない」ならば、「五十歩百歩(ごじっぽひゃっぽ)」の出番です。
使う機会があるならば、積極的に活用していくことをおすすめします。