今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「誠心誠意(せいしんせいい)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
「誠心誠意」の意味をスッキリ理解!
「誠心誠意」の意味を詳しく

誠心誠意は、「誠心」と「誠意」の二つの語を合わせた語です。
「誠心」と「誠意」のどちらにも含まれる「誠」は、「まことに」「本当に」という意味を表します。
「誠心」とは「噓偽りのない心」という意味です。また、「誠意」とは「打算的な考えを持たず、真面目に物事を行う心」という意味です。
つまり、誠心誠意は、ほとんど同じ意味である二つの語を重ねて「噓偽りなく、まごころを込めて真面目に物事を行うこと」という意味を表します。また、「誠意」の前に「誠心」がつくことによって、「正直な心」という意味が強調されているのです。
ちなみに、「誠心誠意」の「心」を「信」と書いたり、「誠心」を「精神」と書いたりするのは誤りです。誤った表記をしないように注意しましょう。
「誠心誠意」の使い方
- 一日も早く戦力となれるよう、誠心誠意、努力して参ります。
- ご迷惑をおかけ致しましたこと、誠心誠意お詫び申し上げます。
- お客様のお役に立てるよう、誠心誠意尽力(じんりょく)致します。
誠心誠意は、副詞として形容詞や動詞を修飾することがほとんどです。また、ビジネスシーンなど公的な場でよく使われます。
①では、挨拶の際に決意表明をするために使われています。②では、謝罪の気持ちを示すために使われています。③は、営業や接客業などでよく見られるアピール表現です。
「誠心誠意」を用いた文を作るときには、どのような用法であっても「何に対して、誠心誠意、何をするのか」という点を明らかにすることが重要です。
なお、「誠心誠意、心を込めて」という表現は、「心を込める」という意味が重複してしまうため誤りです。
「誠心誠意」の類義語
誠心誠意には以下のような類義語があります。
- 誠意誠心(せいいせいしん):噓偽りなく、まごころを込めて物事を行うこと
- 一生懸命(いっしょうけんめい):命がけで物事を行うさま
- 虚心坦懐(きょしんたんかい):わだかまりがなく、素直な心境で物事を行うこと
- 粉骨砕身(ふんこつさいしん):力の限り努力すること
- 碧血丹心(へきけつたんしん):このうえない真心。また、このうえない忠誠心のこと
- 一寸丹心(いっすんのたんしん):偽りのない真心
- 一心一意(いっしんいちい):一つのことに心を注ぐこと
- 一心不乱(いっしんふらん):一つのことに心を集中して、他のことに心を奪われないさま
- 一意専心(いちいせんしん):他のことを考えず、一つのことに集中すること
「虚心坦懐」の「虚心」は、心に先入観やわだかまりがなく、ありのままを素直に受け入れることのできる心の状態のことです。また、「坦懐」は、わだかまりがなくさっぱりとした心境のことです。
「粉骨砕身」は、骨を粉にし、身を砕くほど努力するという意味からうまれた四字熟語です。「砕身粉骨(さいしんふんこつ)」ともいいます。
「碧血丹心」の「碧血」とは、忠誠心を表します。周の時代、敬王(けいおう)に仕えた萇弘(ちょうこう)が、罪をなすりつけられ自殺してしまいます。しかし三年後、その時に流れた血が美しく青い宝石と変化したとされています。このことから、忠誠を貫いて死んだ者の血は、三年経つと青い宝石になるという伝説がうまれました。
また、「碧血丹心」と「一寸丹心」に含まれる「丹心」とは、真心のことです。「一寸丹心」は、「ほんの少しの真心」というように自分の真心をへりくだって言う四字熟語です。「丹心一寸(たんしんいっすん)」ともいいます。
「誠心誠意」の対義語
誠心誠意には以下のような対義語があります。
- 軽佻浮薄(けいちょうふはく):考えや行動などが軽はずみで、浮ついて(うわついて)いるさま
- 曲学阿世(きょくがくあせい):道理を曲げて、世間に気に入られるような言動をすること
「軽佻浮薄」の「軽佻」とは、落ち着きがなく、よく考えないで言動することです。「浮薄」とは、浮ついて軽々しいさまのことです。
「曲学阿世」の「曲学」は、「道理を曲げた正しくない学問」という意味です。「阿世」とは、「世間に気に入られようとする」という意味です。
「誠心誠意」の英語訳
誠心誠意を英語に訳すと、次のような表現になります。
- wholeheartedly
(心を込めて) - devotedly
(ひたむきに。まごころを込めて) - in all sincerity
(誠心誠意) - from the bottom of one’s heart
(心より)
誠心誠意を表す英語訳はたくさんあります。時と場合によって、使い分けましょう。
まとめ
以上、この記事では「誠心誠意」について解説しました。
読み方 | 誠心誠意(せいしんせいい) |
---|---|
意味 | 噓偽りなく、まごころを込めて物事を行うこと |
類義語 | 一生懸命、虚心坦懐、粉骨砕身など |
対義語 | 軽佻浮薄、曲学阿世など |
英語訳 | wholeheartedly(心を込めて),from the bottom of one’s heart(心より)など |
誠心誠意は、挨拶や謝罪などで、より強く気持ちを伝えるために使われる四字熟語です。
しかし、言葉を飾るだけではなく、実行に移したときにこそ、相手に思いが届くでしょう。