故事成語「後顧の憂い」の意味と使い方:例文付き

言葉

今回ご紹介する言葉は、故事成語の「後顧の憂い」です。

言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

「後顧の憂い」の意味をスッキリ理解!

後顧の憂い(こうこのうれい):あとあとの心配

「後顧の憂い」の意味を詳しく

「後顧の憂い」とは、あとあとの心配のことです。

将来に何か悪い事態が予測されるときに、そのことを不安に思ったり、心配したりする気持ちを表します。

この「あとあと」とは、何年も先の将来を表すこともあれば、数時間後や数日後のことを表すこともあります。

「後顧の憂い」は、少し古風な言い回しですが、小説などで使われることがあります。

「後顧の憂い」の使い方

後顧の憂い」は、以下のような形で使われることが多いです。

  • 後顧の憂いなく
  • 後顧の憂いを断つ

それぞれの意味と例文を見ていきましょう。

「後顧の憂いなく」の意味

「後顧の憂い」は、「後顧の憂いなく」のように否定形で使われることが非常に多いです。

この場合は、「あとあとの心配をしないこと」という意味になります。

例文
頼りになる君たちのおかげで、後顧の憂いなくここを離れることができます。

上の例文は、「頼りになる人がいるので、あとあとの心配はせずに済みます」という意味の文章です。

また、「後顧の憂いがない」「後顧の憂いのない」などの形で使われることもあります。

例文
後顧の憂いがないように、言いたいことは今のうちに伝えておきます。

「後顧の憂いを断つ」の意味

「後顧の憂いを断つ」とは、「あとあとの心配をなくすこと」を表す表現です。

事前の準備や対策などを行うことによって、心配になりそうなことをなくしておくことを表します。「後顧の憂いがない」とは違い、自らが行動して対策をすることを意味します。

例文
後顧の憂いを断った彼女の顔つきは、自信に満ちていた。

「後顧の憂いを絶つ」という表記は間違いなので、注意しましょう。

「後顧の憂い」の由来

「後顧の憂い」の由来は『魏書 李沖伝(ぎしょ りちゅうでん)』にあります。

『魏書』の中に、「我をして、境を出だし、後顧の憂い無からしむ」という文章があります。現代語訳すると、「私が国外に出る際に、あとあとの心配を無くしてくれた」となります。

以下のようなエピソードの中に登場するセリフです。

北魏(ほくぎ)という国を孝文帝(こうぶんてい)が支配していました。孝文帝の部下には、李中(りちゅう)という人物がいました。

李中は、城を移す遷都(せんと)の際などにも活躍しており、孝文帝から非常に厚い信頼を受けていました。

李中の死に際に、孝文帝が彼に感謝の気持ちを述べます。孝文帝は、「お前(りちゅう)は、私が自分の国の外へ出る時にも、心配事がないように色々と手配をしてくれた」と言いました。

「後顧の憂い」の類義語

「後顧の憂い」には以下のような類義語があります。

  • 懸念(けねん):気にかかって不安がること・心配
  • 危惧(きぐ):悪い結果になりはしないかと心配しおそれること
  • 憂慮(ゆうりょ):悪い結果になりはしないかと心配しおそれること
  • 心残り:あとに不満や物足りなさ、心配などが残ること
  • 気がかり:気になって心配すること

「後顧の憂い」の対義語

「後顧の憂い」には以下のような対義語があります。

  • 安堵(あんど):物事がうまく行って安心すること
  • 確信:信じて疑わないこと

「後顧の憂い」の英語訳

「後顧の憂い」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • anxiety about one’s future
    (将来への不安)

まとめ

以上、この記事では「後顧の憂い」について解説しました。

読み方後顧の憂い(こうこのうれい)
意味あとあとの心配
由来『魏書 李沖伝(ぎしょ りちゅうでん)』の中の文章
類義語懸念、危惧、心残り、気がかり
対義語安堵、確信
英語訳anxiety about one’s future(将来への不安)

「後顧の憂い」は、あまり聞きなれない言葉だったと思います。この機会に、意味や使い方をしっかりと理解しておきましょう。