今回ご紹介する言葉は、故事成語の「後顧の憂い」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「後顧の憂い」をざっくり言うと……
読み方 | 後顧の憂い(こうこのうれい) |
---|---|
意味 | あとあとの心配 |
由来 | 『魏書 李沖伝(ぎしょ りちゅうでん)』の中の文章 |
類義語 | 懸念、危惧、心残り、気がかり |
対義語 | 安堵、確信 |
英語訳 | anxiety about one’s future(将来への不安) |
このページの目次
「後顧の憂い」の意味をスッキリ理解!
「後顧の憂い」の意味を詳しく
「後顧の憂い」とは、あとあとの心配のことです。
将来に何か悪い事態が予測されるときに、そのことを不安に思ったり、心配したりする気持ちを表します。
この「あとあと」とは、何年も先の将来を表すこともあれば、数時間後や数日後のことを表すこともあります。
「後顧の憂い」は、少し古風な言い回しですが、小説などで使われることがあります。
「後顧の憂い」の使い方
後顧の憂い」は、以下のような形で使われることが多いです。
- 後顧の憂いなく
- 後顧の憂いを断つ
それぞれの意味と例文を見ていきましょう。
「後顧の憂いなく」の意味
「後顧の憂い」は、「後顧の憂いなく」のように否定形で使われることが非常に多いです。
この場合は、「あとあとの心配をしないこと」という意味になります。
上の例文は、「頼りになる人がいるので、あとあとの心配はせずに済みます」という意味の文章です。
また、「後顧の憂いがない」「後顧の憂いのない」などの形で使われることもあります。
「後顧の憂いを断つ」の意味
「後顧の憂いを断つ」とは、「あとあとの心配をなくすこと」を表す表現です。
事前の準備や対策などを行うことによって、心配になりそうなことをなくしておくことを表します。「後顧の憂いがない」とは違い、自らが行動して対策をすることを意味します。
「後顧の憂いを絶つ」という表記は間違いなので、注意しましょう。
「後顧の憂い」の由来
「後顧の憂い」の由来は『魏書 李沖伝(ぎしょ りちゅうでん)』にあります。
『魏書』の中に、「我をして、境を出だし、後顧の憂い無からしむ」という文章があります。現代語訳すると、「私が国外に出る際に、あとあとの心配を無くしてくれた」となります。
以下のようなエピソードの中に登場するセリフです。
北魏(ほくぎ)という国を孝文帝(こうぶんてい)が支配していました。孝文帝の部下には、李中(りちゅう)という人物がいました。
李中は、城を移す遷都(せんと)の際などにも活躍しており、孝文帝から非常に厚い信頼を受けていました。
李中の死に際に、孝文帝が彼に感謝の気持ちを述べます。孝文帝は、「お前(りちゅう)は、私が自分の国の外へ出る時にも、心配事がないように色々と手配をしてくれた」と言いました。
「後顧の憂い」の類義語
「後顧の憂い」には以下のような類義語があります。
「後顧の憂い」の対義語
「後顧の憂い」には以下のような対義語があります。
- 安堵(あんど):物事がうまく行って安心すること
- 確信:信じて疑わないこと
「後顧の憂い」の英語訳
「後顧の憂い」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- anxiety about one’s future
(将来への不安)
まとめ
以上、この記事では「後顧の憂い」について解説しました。
読み方 | 後顧の憂い(こうこのうれい) |
---|---|
意味 | あとあとの心配 |
由来 | 『魏書 李沖伝(ぎしょ りちゅうでん)』の中の文章 |
類義語 | 懸念、危惧、心残り、気がかり |
対義語 | 安堵、確信 |
英語訳 | anxiety about one’s future(将来への不安) |
「後顧の憂い」は、あまり聞きなれない言葉だったと思います。この機会に、意味や使い方をしっかりと理解しておきましょう。