今回ご紹介する言葉は、熟語の「矜持(きょうじ)」です。
言葉の意味・使い方・語源・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
「矜持」の意味をスッキリ理解!
「矜持」の意味を詳しく
「矜持」とは、「自分の能力を優れたものとして誇る気持ち」という意味です。簡単な言葉に言い換えれば、「誇り」「プライド」といえます。
「矜持」の正しい読みは「きょうじ」です。しかし、「矜」を正しく読めずに「きんじ」と読む人が多いようです。その結果、「きんじ」も「慣用読み」として認められるようになりました。
あくまで、「きょうじ」が正しい読み方であることは覚えておきましょう。
「矜持」の使い方
「矜持」の使い方の例として、以下のような文が挙げられます。
- 彼の仕事に対する態度には、職人としての矜持が見られた。
- 彼女には、自分のことは自分で決めるという矜持があった。
- その場から逃げることは、侍としての矜持が許さなかった
上記の例文のように、「矜持」は「~としての矜持」という形で使われるのが一般的です。また、「持つ」「保つ」などの動詞と共によく用いられます。
①の例文では、職人として仕事への向き合い方にこだわりがあるさまを「矜持」で表しています。「矜持」を用いると、「プライド」などの一般的な言葉を使うよりも表現に重みが出ます。そのため、横綱や政治家などにも好んで用いられています。
②では、他人に言われたものでなく、自分自身で定めた生き方に対して誇りを持つことを「矜持」で表現しています。
③の例文では、「侍であれば困難から逃げない」というプライドによって逃げなかったことを「矜持が許さない」という言い回しで表しています。
「矜持」の語源
「矜持」という熟語は、用いられている漢字に注目すると、語源からその意味をより理解しやすくなります。
まず、「矜」を構成している漢字の「矛」とは「武器」のことです。昔の侍たちは、この「矛」を所有することを「誇り」としたとされています。ここから「矜」は、訓読みで「ほこる」と読むことができ、「自負する」「誇る」という意味があります。
次に「持」は、文字通り「身に付ける」「もつ」という意味です。
これら2つの意味の漢字を合わせて、「矜持」は「自負する気持ちを持つこと」という意味を持っているのです。
「矜持」の類義語
矜持には以下のような類義語があります。
- 自負:自分の才能・知識・業績などに自信と誇りを持つこと
- 自任(じにん):自分の能力などが、それにふさわしいと思うこと
これらの熟語は、「自分の能力などをすぐれたものとして誇ること」という意味を表しているという点で「矜持」と共通しています。ですが、ニュアンスはそれぞれ異なっています。
まず「自負」には、他の人がどう思っているかは関係なく、自分自身を優れていると信じることという意味合いがあります。そのため、「自負」が表すのは少々「独りよがり」なプライドです。
次に「自任」とは、あることに対して自分の能力などがふさわしいと思うことです。例えば、「この役割は自分にしかできないと自任する」というように用います。
それぞれのニュアンスを理解して、上手く使い分けましょう。
「矜持」の英語訳
矜持を英語に訳すと、次のような表現になります。
- pride
(誇り) - dignity
(威厳)
「矜持」の意味を英語で表すには、pride や dignity を用いましょう。
例えば、「~としての矜持を保つ」は英語で “keep one’s pride as ~” と表現することができます。one’s の部分には、my や his など主語に合わせた代名詞の所有格を入れます。
まとめ
以上、この記事では「矜持」について解説しました。
読み方 | 矜持(きょうじ) |
---|---|
意味 | 自分の能力を優れたものとして誇る気持ち |
語源 | 「自負する」「身に付ける」という漢字の意味から |
類義語 | 自負、自任 |
英語訳 | pride(誇り)、dignity(威厳) |
矜持を持つというのは素晴らしいことです。しかし、周囲に流されたり、矜持を傷つけられたりすることもあるでしょう。そういう時は、なぜ自分がそのような矜持を持っているのかを思い返してみると良いでしょう。