「脚色」の意味とは?競馬が由来?読み方から英語mで例文付きで解説

言葉

脚色とは「小説などを舞台などで上演できるように脚本にすること」「事実を面白くするために飾り立てること」という意味です。

脚色に2つの意味があることを知らなかった人も多いのではないでしょうか。

何気なく使っているかもしれませんが、間違った使い方をしたくないですよね。

そこで、この記事では脚色の意味や使い方を詳しく説明します。

☆「脚色」をざっくり言うと……

読み方脚色(きゃくしょく)
意味小説などを舞台などで上演できるように脚本にすること
事実を面白くするために飾り立てること
語源古代中国で使われていた言葉
類義語劇化
修飾
粉飾 など
英語訳dramatize
(戯曲化する。劇的に描く。大袈裟に言う)
exaggerate
(大袈裟に言う)
embellish
(飾り立てる)

「脚色」の意味

脚色きゃくしょく

  1. 小説などを舞台などで上演できるように脚本にすること
  2. 事実を面白くするために飾り立てること

脚色は以下の語から成り立っています。


  • 物の下で全体を支えるもの

  • 表に現れて何らかの感じをあらわすもの

つまり、脚本は「物の下で全体を支えるものを、表に現して何らかの感じをあらわすこと」を表します。

脚色の2つの意味を、それぞれ詳しく見ていきましょう。

意味①小説などを舞台などで上演できるように脚本にすること

脚色は、小説や実際にあった事件などを、舞台・映画・ドラマなどにするために台本を作ることを表します。

脚色するためには、以下のようなものを用意する必要があります。

  • 舞台装置
    演劇を上演する時の空間
  • 台詞
    演劇の中で登場人物が発する言葉
  • ト書き(とがき)
    登場人物の動きの説明や、音楽や効果音を書いた文章

意味②事実を面白くするために飾り立てること

脚色は、事実を面白く伝えるために飾り立てることも表します。

①の「小説などを舞台などで上演できるように脚本にすること」という意味から転じて、②の「事実を面白くするために飾り立てること」という意味ももつようになりました。

主に、②の意味で使われます。

「脚色」の読み方

一般的に、脚色は「きゃくしょく」と読みます。

ただし、「きゃくしき」と読むこともあります。

脚色を「あしいろ」「きゃくいろ」と読むのは誤用ですので注意しましょう。

脚色(あしいろ)は競馬用語

脚色を「あしいろ」と読むと、競馬用語で「馬の走りっぷり」という意味になります。

脚色(あしいろ)は以下のように使います。

  • 脚色が良い
    元気に速く走っている様子
  • 脚色が悪い
    疲れて速く走れない様子
  • 脚色一杯
    疲れて速く走れない様子

脚色一杯は、疲れている人に対して「今日は忙しかったから脚色一杯だね。」のように使うこともできます。

「脚色」の使い方

脚色は以下のような言い回しでよく使われます。

  • (話を)脚色する
  • (話が)脚色された
  • (話に)脚色を施す(ほどこす)
  • (話に)脚色を加える
  • (話に)脚色を入れる

脚色の例文を、2つの意味に分けて見ていきましょう。

使い方①「小説などを舞台などで上演できるように脚本にすること」の意味で使う

「小説などを舞台などで上演できるように脚本にすること」の意味の例文には以下のようなものがあります。

  1. 実際に起きた事件を脚色したドラマが放送される。
  2. 小説として世界じゅうのひとによまれているばかりでなく、芝居に脚色されて、日本でもカチューシャとよばれる女主人公の運命は、ひとびとの心にきざまれている。
    [出典:宮本百合子『動物愛護デー』]
  3. しかし、そんな作者、もしくは脚色家は、極めて少数であったらしく思われる。
    [出典:夢野久作『能とは何か』]

❸の脚色家は、原作を元に脚本を書く人を表します。

使い方②「事実を面白くするために飾り立てること」の意味で使う

「事実を面白くするために飾り立てること」の意味の例文には以下のようなものがあります。

  1. 彼の話は、どこか脚色が施されているに違いない。
  2. 週刊誌の記者は事実に脚色を加えた記事を書いた。
  3. バラエティ番組では、多少の脚色を入れた話のほうがウケが良い。

「脚色」を使った表現

「脚色」を使った語には、誤用だとされやすいものがあります。

  • 話に脚色を加える
    本来は誤用だが一般的に使われている
  • 話を脚色する
    正確には誤用だと言い切れない
  • 話を着色する
    誤用

それぞれ見ていきましょう。

「話に脚色を加える」の意味

「話に脚色を加える」は、本来は誤用ですが一般的に使われている表現です

脚色は「事実を面白くするために飾りを加えること」という意味です。

そのため、「話に脚色を加える」は、「飾りを加えることを加える」という重複表現になります。

本来は誤用ですが、一般的に広く使われています。

「話を脚色する」の意味

「話を脚色する」は誤用だとされやすいですが、正確には誤用だと言い切ることはできません

脚色は「事実を面白くするために飾りを加えること」という意味です。

そのため、「話を脚色する」は、「Aという話を脚色することで新しくBという話を作る」という意味になります。

「話を着色する」の意味

「話を着色する」は、誤用です

着色は「物に色をつけること」という意味です。

話に色をつけることは物理的に不可能ですので、「話を着色する」は誤用です。

「脚色」の語源

脚色の語源は、古代中国で使われていた言葉です

脚色の意味は以下のように変化しました。

脚色の意味
  1. 古代中国
    身分証明書や履歴書のような書類
  2. 元・明以後
    ①劇の脚本を書くこと
    ②劇の役柄
  3. 近世以降
    事実を面白くするために飾り立てること

古代中国では、役人になるために出生地などがわかる書類を提出する必要がありました。

この身分証明書や履歴書のような書類を、脚色と呼んでいました。

元・明以降、意味が転じて、脚色は「劇の脚本を書くこと」や「劇の役柄」を表すようになりました。

近世以降にさらに転じて、脚色は「事実を面白くするために飾り立てること」という意味で使われるようになったのです。

「脚色」の類義語

脚色の類義語を2つの意味ごとに見ていきましょう。

「脚色」の意味
  1. 小説などを舞台などで上演できるように脚本にすること
  2. 事実を面白くするために飾り立てること

類義語①「小説などを舞台などで上演できるように脚本にすること」という意味

「小説などを舞台などで上演できるように脚本にすること」という意味の類義語には以下のようなものがあります。

  • 劇化(げきか)
    小説などを舞台などで上演できるように脚本にすること
  • 改作(かいさく)
    作品を作りかえること
  • アダプテーション
    小説などを映画にするために脚本を書くこと

類義語②「事実を面白くするために飾り立てること」という意味

「事実を面白くするために飾り立てること」という意味の類義語には以下のようなものがあります。

  • 修飾
    よく見せるために上部を飾ること
  • 粉飾(ふんしょく)/扮飾
    よく見せるために上部を飾ること
  • 潤色(じゅんしょく)
    上部を飾ったり事実を誇張したりして面白くすること
  • 誇張(こちょう)
    実際よりも大袈裟に表現すること
  • 演出
    物事を表現する時に効果的に見せること
  • 話を膨らませる
    話の内容を現実よりも大袈裟にして表現すること
  • 話を盛る
    話の内容を現実よりも大袈裟にして表現すること
  • 話を誇張する
    話の内容を現実よりも大袈裟にして表現すること
  • 話を針小棒大(しんしょうぼうだい)に言う
    話の内容を現実よりも大袈裟にして表現すること
  • 話に尾鰭(おひれ)をつける
    話の内容を現実よりも大袈裟にして表現すること
  • 加工
    手を加えること
  • 修正
    よくない点を改めること
  • 色付け
    新しい面白みや意味などを付け加えること
  • 味付け
    味をつけること
  • アレンジ
    新しく編成すること
  • リミックス
    複数の既存曲を編集して新しい楽曲を生み出すこと

「脚色」の英語訳

脚色を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • dramatize
    (戯曲化する。劇的に描く。大袈裟に言う)
  • exaggerate
    (大袈裟に言う)
  • embellish
    (飾り立てる)

「脚色」のまとめ

以上、この記事では脚色について解説しました。

読み方脚色(きゃくしょく)
意味小説などを舞台などで上演できるように脚本にすること
事実を面白くするために飾り立てること
語源古代中国で使われていた言葉
類義語劇化
修飾
粉飾 など
英語訳dramatize
(戯曲化する。劇的に描く。大袈裟に言う)
exaggerate
(大袈裟に言う)
embellish
(飾り立てる)

脚色は古代中国で使われていた言葉の意味が変化して、現在使われている意味になりました。

意味が2つあるため、文脈から判断したり、自分でも使い分けたりして、使いこなせると良いですね。

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まや
自称、誤字キラー。 Web記事でも誤字脱字を見逃しません。言葉が大好きです。 大学では言葉遊びについて研究していました。マイブームは日本語ラップを聴くこと。