「夏炉冬扇」の意味とは?読み方は?類義語・対義語から例文まで解説

言葉

夏炉冬扇とは「季節外れや時期外れで、役に立たないもの」という意味です。

ただ単に、「役に立たないもの」という意味で使ってる人も多いのではないでしょうか。

「季節や時期が外れている」という部分を含まないと、誤用になってしまうのです。

この記事では夏炉冬扇の意味や使い方を詳しく解説します。

「夏炉冬扇」の意味

夏炉冬扇かろとうせん

季節外れや時期外れで、役に立たないもの

夏炉冬扇は、以下のように成り立っています。

  • :季節の夏
  • :火をつけて暖をとる場所
    火鉢、暖炉など
  • :季節の冬
  • :風を起こす道具
    扇(おうぎ)、うちわなど

夏には「火をつけて暖をとる場所」は不要ですし、冬には「風を起こす道具」は必要ありません。

つまり、夏炉冬扇は「季節や時期が外れているため、役に立たないもの」を表します。

そこから転じて、以下のような意味ももちます。

  • 今となっては役に立たない人物
  • 寵愛(ちょうあい)を失った女性
  • 恋人に捨てられた女性

ただし、現代では、上記の意味ではほとんど使いません。

「夏炉冬扇」の表記

夏炉冬扇は以下のように表記することもあります。

  • 冬扇夏炉(とうせんかろ)
  • 夏鑪冬扇(かろとうせん)

鑪は、火鉢やいろりを表します。

「夏炉冬扇」の使い方

夏炉冬扇は、名詞として使います。

例文を見てみましょう。

例文
  1. こんなに暑いのに、こたつをまだ片付けないとは、まさに夏炉冬扇だ。
  2. 調味料の賞味期限が切れていたため、夏炉冬扇となってしまった。
  3. やっと手に入れたゲーム機も、新しいものが発売されてからは、もはや夏炉冬扇だ。
「単に役立たずなもの」として使うのは誤り

夏炉冬扇は、「単に役に立たずなもの」という意味ではなく、「季節や時期が外れているため、役に立たないもの」という意味です。

例えば、「どうせ使わないのに、健康グッズを買うのは夏炉冬扇だ。」という文があるとします。

これは、「季節や時期が外れている」という意味を含んでいないため、誤用です。

「夏炉冬扇」の語源

夏炉冬扇の語源は、『論衡(ろんこう)』の中の「逢遇(ほうぐう)」です

これは、中国後漢時代の思想家である王充(おうじゅう)が自分の思想を書いたものです。

この文章の中に、以下のような一節があります。

作無益之能 納無補之説 以 以
(役に立たない才能やつまらない意見を皇帝に言うことは、夏にいろりに勧め、冬にうちわを差し上げるようなものだ。)

この文章の一部である夏鑪冬扇が、「季節外れや時期外れで、役に立たないもの」という意味になりました。

「夏炉冬扇」の類義語

夏炉冬扇には多くの類義語がありますが、以下の2パターンに分けることができます。

  1. 四字熟語
  2. 四字熟語ではないもの

それぞれ見ていきましょう。

類義語①四字熟語

  • 六菖十菊(りくしょうじゅうぎく)
    時期が遅れて役に立たないこと
  • 牛溲馬勃(ぎゅうしゅうばぼつ)
    つまらないもの。役に立たないもの
  • 牛糞馬涎(ぎゅうふんばせん)
    つまらないもの。役に立たないもの
  • 泥車瓦狗(でいしゃがこう)
    役に立たないもの
  • 陶犬瓦鶏(とうけんがけい)
    形ばかり立派で、実際には役に立たないもの
  • 屋上架屋(おくじょうかおく)
    無駄なことを繰り返すこと
  • 牀上施牀(しょうじょうししょう)
    無駄なことを繰り返すこと
  • 対牛弾琴(たいぎゅうだんきん)
    何の効果もなく無駄なこと
  • 対驢撫琴(たいろぶきん)
    何の効果もなく無駄なこと
  • 屠竜之技(とりょうのわざ、とりょうのぎ)
    ①立派な学問を学んでも、実際に役に立たなくては無意味であること
    ②優れてはいるが、学んでも役に立たない無駄な技術のこと
  • 画蛇添足(がだてんそく)
    余計なものをつけ足すこと

「六菖十菊」を詳しく

六菖十菊は、「時期が遅れて役に立たないこと」という意味です

六菖十菊は、以下のように成り立っています。


  • 端午(たんご)の節句である5月5日に1日遅れることのたとえ

  • 植物のショウブ
    ※端午(たんご)の節句に必要

  • 重陽(ちょうよう)の節句である9月9日に1日遅れることのたとえ

  • 植物のキク
    ※重陽(ちょうよう)の節句に必要

ショウブもキクも、それぞれの節句に一日でも遅れると、役に立たなくなってしまいます。

そのため、六菖十菊は「時期に過ぎてしまい、役に立たないこと」を表します。

類義語②四字熟語ではないもの

  • 寒に帷子、土用に布子(かんにかたびら、どようにぬのこ)
    季節外れで役に立たないこと
  • 喧嘩過ぎての棒乳切り(けんかすぎてのぼうちぎり)
    時機に遅れて、役に立たないこと
  • 喧嘩果てての乳切木(ちぎりぎ)
    時機に遅れて、役に立たないこと
  • 蛇足(だそく)
    余計なもの
  • 月夜に提灯(つきよにちょうちん)
    不要で、無駄なこと
  • 月夜に提灯夏火鉢(なつひばち)
    不要で、無駄なこと
  • 無用の長物(むようのちょうぶつ)
    あっても邪魔になるだけで、役に立たないもの
  • 昼行燈/昼行灯(ひるあんどん)
    昼間に点灯している行灯のように、ぼんやりしている人

「夏炉冬扇」の対義語

夏炉冬扇には以下のような対義語があります。

「夏炉冬扇」の英語訳

夏炉冬扇を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • summer fires and winter fans
    (夏の炎と冬のうちわ)
  • useless things
    (役に立たないもの)
  • a white elephant
    (厄介なもの。持て余してしまうもの)

“a white elephant” は、直訳すると白い象です。

以下のようなエピソードが由来になっています。

昔、タイの王様は、自分の嫌いな家臣や地位を失わせたい相手に、白い象を贈っていました。

なぜなら、タイにおいて白い象は神聖な生き物であるものの、実際には何の役にも立たないからです。

また、象を育てるためには大量の餌が必要であるため、餌代がかかるだけになってしまうのです。

そのため、 “a white elephant” は「厄介で持て余してしまうもの」を表します。

関連:「夏」「冬」がつく語

夏炉冬扇のように、夏と冬がつく四字熟語は他にもあります。

  • 「夏」がつく語
  • 「冬」がつく語

それぞれ見ていきましょう。

「夏」がつく語

  • 夏雲奇峰(かうんきほう)
    夏の入道雲がつくるめずらしい峰
  • 夏下冬上(かかとうじょう)
    炭火を起こす時、夏は炭の下に火種を置いて、冬は炭の上に火種を置くと、よく火がおこるということ
  • 夏候拾芥(かこうしゅうかい)
    学問をおさめるのことは大切であること
  • 夏癸殷辛(かきいんしん)
    自分の欲のために人を苦しめる人
  • 夏虫疑氷(かちゅうぎひょう)
    世間知らずで物事をよく知らない人
  • 九夏三伏(きゅうかさんぷく)
    夏の最も暑い時期

「冬」がつく語

  • 冬夏青青(とうかせいせい)
    どんな時も変わらない固い信念
  • 冬日之温(とうじつのおん)
    君主から家臣への恩恵が優しくあたたかいこと
  • 曼倩三冬(まんせいさんとう)
    優れた才能を持つ人は、短期間で教養を身につけることができる

「夏炉冬扇」のまとめ

以上、この記事では夏炉冬扇について解説しました。

読み方夏炉冬扇(かろとうせん)
意味季節外れや時期外れで、役に立たないもの
語源『論衡』の「逢遇」
類義語六菖十菊
牛溲馬勃
寒に帷子、土用に布子 など
対義語時期尚早
英語訳summer fires and winter fans
(夏の炎と冬のうちわ)
useless things
(役に立たないもの)
a white elephant
(厄介なもの。持て余してしまうもの)
「夏」「冬」がつく語夏雲奇峰
夏下冬上
冬夏青青 など

夏炉冬扇の意味は「役に立たないもの」ですが、意味を知ることは役に立ちますよね。

夏炉冬扇であるかどうか、正しく見極める力を身につけていきましょう。