布石(ふせき)の意味は?「布石を打つ」の使い方や伏線との違いは?

言葉

布石とは「囲碁において、序盤で要所に石を置くこと」「将来のために備えをすること」という意味です。

布石を何気なく使っていても、伏線との違いがわからないという人も多いのではないでしょうか。

また、なぜ布と石という漢字を使うのか不思議ですよね。

そこで、この記事では布石の意味や使い方、類義語や対義語に加えて、伏線との違いも詳しく解説します。

「布石」の意味

布石ふせき

  1. 囲碁において、序盤で要所に石を置くこと
    例:勝利への布石を打つ。
  2. 将来のために備えをすること
    例:株を退職後の資金の布石とする。

布石は元々、囲碁用語で①の「序盤のうちに大事なところへ碁石を配置すること」を表します。

そこから転じて、②の「将来に起こることへの備えをする」という意味ももつようになりました。

布石は「ぬのいし」とは読まない

布石を「ぬのいし」と読むと、「道に沿ってすえつけられた敷石」という意味になります。


「布石」の使い方

布石の使い方を、よくある言い回しと一緒に見ていきましょう。

  • 布石
    前部長と仲良くなったことが、吹奏楽部の次期部長になるための布石となった。
  • 布石を打つ
    プロの棋士が、勝利への布石を打つ
  • 布石とする
    株を退職後の資金の布石とする
  • 布石として
    新規事業の布石として商品のモニターを募集する。

上記の例文では「布石を打つ」以外、「将来のために備えをすること」の意味で使っています。

布石に悪い意味はない

布石や「布石を打つ」という表現には、悪い意味はありません。

「布石」の誤用

布石の誤った言い回しには以下のようなものがあります。

  • 布石を置く
    「一目置く」と混同したものとされる
  • 布石を張る
    「伏線を張る」と混同したものとされる
  • 布石を踏む
    「定石を踏む」と混同したものとされる
  • 布石を投じる
    「一石を投じる」と混同したものとされる
  • 布石を敷く
  • 布石を作る
  • 布石を残す
  • 布石がある

「布石」の語源

布石は、元々は囲碁で使われる用語でした

布石は以下の語から成り立っています。

  • :配置すること
  • :碁石

囲碁の勝負で優位になるためには、序盤でいかに有効な場所へ碁石を置けるかがとても重要です。

そのため、「要所へ碁石を配置すること」を布石というようになりました。

転じて、現在では、将来に備えて有効な策を行うことを広く指して「布石」と表現します。

「布石」の類義語

布石の類義語を2つの意味に分けて見ていきましょう。

  1. 囲碁において、序盤で要所に石を置くこと
  2. 将来のために備えをすること

①「囲碁において、序盤で要所に石を置くこと」という意味の類義語

「囲碁において、序盤で要所に石を置くこと」という意味の類義語には以下のようなものがあります。

  • 捨て石
    ①道端などに転がっている石
    ②日本庭園で、風情を感じさせるために所々に置く石
    ③橋を支える脚などを造る時、水の勢いを弱めるために水中に投げ入れる石
    ④囲碁で、自分が有利になるために相手に取らせる石
    ⑤鉱山や炭鉱で、捨てられるような価値のない石
    ⑥将来のために、その場では無用と思える物事を行うこと
    ⑦大きな目的を達成するために見捨ててしまう物事
  • 先手(せんて)
    ①他の誰よりも早く行動すること。それによって有利になること
    ②将棋や囲碁で、先に攻撃する方

②「将来のために備えをすること」という意味の類義語

「将来のために備えをすること」という意味の類義語には以下のようなものがあります。

  • 伏線(ふくせん)
    ①小説などで、後の展開に関する物事を事前にほのめかしておくもの
    ②将来の準備として、前もって密かに用意しておくもの
  • 示唆(しさ)
    それとなく教えること
  • お膳立て(おぜんだて)
    ①料理を並べること
    ②ある物事にすぐに取り掛かれるようにすること
  • 準備
    ある物事にすぐに取り掛かれるようにすること
  • 下準備
    前もってしておく準備
  • 手筈(てはず)
    あらかじめ予定されている物事の段取り
  • 予防策
    好ましくない事態の発生を前もって防ぐために立てる策
  • 防止策
    ある事件や問題を避けたり、起こさないようにしたりするための手段
  • 善後策(ぜんごさく)
    後始末をうまくつけるための方法
  • 対策
    相手の態度や物事の状況に応じて取る手段
  • 対処
    ある物事に対して適切な処置をとること

「布石」と「伏線」の違い

布石と伏線は「備えを明示しているか」が異なります

布石は、将来のために何かを行っていることを明示し、計画を説明する時に使います。

一方、伏線はあくまでも暗示に過ぎず、さりげなく予告する時に使います。

区別できる?「布石」と「伏線」の違い

「布石」の対義語

布石には以下のような対義語があります。

  • 準備不足
    ある物事にすぐに取り掛かれれない状況
  • 取り急ぎ
    とりあえず急いで
  • 取り敢えず(とりあえず)
    ①他のことはさしおいて、まず第一に
    ②すぐに
  • 行き当たりばったり
    無計画にその場の成り行きに任せて行動すること
  • 場当たり的(ばあたりてき)
    無計画にその時の思いつきで行動すること

「布石」の英語訳

布石を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • preparation
    (準備)
  • prepare
    (準備する)
  • lay the foundations
    (地盤を築く)

「布石」以外の囲碁が由来の語

布石は囲碁が由来となった言葉です。

囲碁が由来となった語には、他にも以下のようなものがあります。

  • 定石(じょうせき)
    ①囲碁で、昔から研究され最善とされる定番の石の打ち方
    ②物事をする時に最善とされる方法
  • 駄目(だめ)
    ①囲碁で、両者の境目にあってどちらの所有にもならない目
    ②効果がないこと
  • 八百長(やおちょう)
    ①勝負事において、前もって勝敗を決めておき上辺だけ真剣に勝負すること
    ②共謀して物事を行うこと
  • 一目置く(いちもくおく)
    相手の能力を認めること

八百長は、江戸時代、相撲会所に出入りしていた長兵衛という八百屋(通称・八百長)が、ある相撲の年寄と囲碁をする時に、いつも一勝一敗になるように手加減していたことから、「前もって勝敗を打ち合わせておき、上辺だけ真剣に勝負すること」という意味になりました。

「一目置く」は、囲碁で弱い者が先にひとつ石を置いて勝負を始めることから、「相手より自分が弱いことを認める」という意味になりました。

「布石」のまとめ

以上、この記事では布石について解説しました。

読み方布石(ふせき)
意味①囲碁において、序盤で要所に石を置くこと
②将来のために備えをすること
誤用布石を置く
布石を踏む
布石を投じる など
語源囲碁用語から生まれた
類義語捨て石
伏線
示唆 など
対義語準備不足
取り急ぎ
取り敢えず など
英語訳preparation
(準備)
prepare
(準備する)
lay the foundations
(地盤を築く)
囲碁が由来の語定石
駄目
八百長 など

布石は、囲碁用語が転じて一般的にも使われるようになった熟語です。

使いこなせるようになると、囲碁が身近に感じられるでしょう。

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間山智賀
間山智賀
自称、誤字キラー。 Web記事でも誤字脱字を見逃しません。言葉が大好きです。 大学では言葉遊びについて研究していました。マイブームは日本語ラップを聴くこと。