フェーズとは「出来事や計画を、時系列や状態の変化に応じて区切った段階」という意味です。
フェーズは日常的にも使われる言葉ですが、医療やラグビーでの特別な意味を知っている人はなかなかいないと思います。
この記事では、フェーズの分野ごとの意味や語源を詳しく解説します。
☆「フェーズ」をざっくり言うと……
英語表記 | フェーズ(phasis) |
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意味 | 出来事や計画を、時系列や状態の変化に応じて区切った段階 |
語源 | 「状況」という意味のギリシア語 “phasis” |
類義語 | 段階 局面など |
「フェーズ」の意味
出来事や計画を、時系列や状態の変化に応じて区切った段階
例:次のフェーズに進もう。
フェーズは「段階、局面」という意味で使われます。
その中でも分刻みの短い時間ではなく、少し長めの期間の段階や局面を指します。
フェーズが表す具体的な時期は定められていないので、数日から、年単位に渡る長さを表すこともあります。
フェーズは、語源となった英単語をカタカナ語として表記したものなので「フェイズ」と表記する場合もあります。
意味はまったく同じですが、フェイズの方が英語の発音に近いです。
「フェーズ」が表すもの
フェーズは、以下のようなものを「時系列や状態の変化に応じて区切ったそれぞれの段階」という意味で用いられます。
- 現象
- 活動
- 計画
- 事業
主に、事業やプロジェクトを構成する工程のひとつひとつを表します。
つまり、時系列ではなく、状況が変化するタイミングで区切ることが一般的です。
「フェーズ」の分野ごとの意味
フェーズは、以下のようにさまざまな分野で使用されます。
- ビジネス
- ラグビー
- 医療
- 建設
- 防災
それぞれの分野におけるフェーズの意味を詳しく解説します。
分野➀:ビジネス
ビジネスにおけるフェーズは、「物事が変化する過程の一区切り」という意味合いで使います。
「出来事や計画を、時系列や状態の変化に応じて区切った段階」という意味と特に違いはありません。
プロジェクトや事業の中の段階を区切って表す際に使われるのです。
分野➁:ラグビー
ラグビーにおけるフェーズとは、「攻撃した回数」のことです。
ゲームが止まった後に再開されて、攻撃を行い、密集ができて再びゲームが止まるまでがフェーズの一回分です。
一回目のフェーズから「ファーストフェーズ」「セカンドフェーズ」のようにカウントしていきます。
分野➂:医療
医療におけるフェーズの意味は、以下のように使われます。
- 治験の段階
- パンデミックの警戒段階
意味➀:治験の段階
新薬の開発に際して、必要な実験の段階をフェーズと言います。
新しい医薬品を開発する際には、段階的に実験を行う必要があります。
最初は動物実験から始め、徐々に人への投与を始めて、医薬品の安全性を確かめるのです。
意味➁:パンデミックの警戒段階
パンデミックの警戒段階をフェーズと言うこともあります。
インフルエンザや新型コロナウイルスをはじめとする感染症の警戒段階のことです。
分野➃:建設
建設分野におけるフェーズは、建築物の完成までの工程を区切った段階を表します。
設計から実際の建設まで、さまざまな段階を含む考え方です。
分野➄:防災
防災分野で使われる「フェーズフリー」という言葉は「平常時でも災害時でも利用可能であること」を表します。
たとえば、以下のように使われます。
- フェーズフリー食品
普段の食事として美味しく食べることができ、災害時には温めなくても手軽に栄養補給として食べられる食品
「フェーズ」の使い方
フェーズは以下のような表現で使います。
- フェーズが変わる
- フェーズが進行する
- 最初のフェーズ
実際の例文を見ていきましょう。
- 事業のフェーズが変わりつつある。
- 今回の感染症が次のフェーズになったら、外出が難しくなるよ。
- ラグビーでは、フェーズごとの気持ちの切り替えが大切だ。
- 建設現場は、フェーズが進行しているのが目に見えるので楽しい。
➁のフェーズは、「パンデミックの危険度を区切った段階」という意味で使われています。
➂のフェーズは、「ラグビーにおける攻撃の1ターン」という意味で使われています。
➃のフェーズは、「建築物の完成までの工程を区切った段階」という意味で使われています。
フェーズは難しいカタカナ語で、ビジネスで多く使われる言葉です。
そのため、私生活の場面であまり頻繁に使用すると、相手に不快感を与える可能性もあるので注意しましょう。
「フェーズ」の語源
フェーズの語源は、「状況」という意味のギリシア語 “phasis” です。
“phasis” は以下のように構成されています。
- phaino
見せる - -sis
こと
これが英語の “phase” に派生しました。
これをカタカナ語として表記したのがフェーズです。
“phase” には、カタカナ語と同じ以下のような意味を持ちます。
- 局面
- 段階
“phase” は「ph」という略語で表される場合があります。
第一段階を「ph1」、第二段階を「ph2」などと表記します。
「フェーズ」の類義語
フェーズには以下のような類義語があります。
- 段階
物事の状態が進む過程のひとくぎり - 局面
物事の成り行き - 工程
工作や工事などの仕事を進めていく順序・段階 - 時期
時間の区切り - 階級
身分や職業による区別 - 位置
人やものがある所 - 立場
人などが置かれた地位や条件 - 位
身分などによる区別 - チャプター
文章や映像などの区切り - ターム
期間
「フェーズ」と「ステージ」「ステップ」の違い
フェーズとステージ、ステップには以下のような違いがあります。
- フェーズ
中期的な段階 - ステージ
長期的な段階 - ステップ
短期的な段階
3つの言葉は、それぞれどの程度の期間における段階を表すかによって使い分けができるのです。
ただし、それぞれが明確にどれくらいの期間の段階を表す役割を持っているのかという定義は存在しません。
ステージがもっとも長期的で、ステップがもっとも短期的なものを表すとだけ覚えておけば問題ありません。
「フェーズ」と「ステップ」の違い
また、上記のような「期間」以外にもステップとフェーズに違いがあります。
- フェーズ
単純に段階を表す - ステップ
上昇の意味を含む
つまり、ステップには「どんどんと上昇していく」「良い方向に進んでいく」というニュアンスも含まれているのです。
それに対して、フェーズは状況が悪化することを表すこともありますし、フラットに状況の変化のみで区切っている場合もあります。
「フェーズ」の関連語
- フェーズゲート
次のフェーズに移行してもよいかどうかを判断する基準のこと - フェーズドアレイ
波と位相に関する物理的な原理
「フェーズ」のまとめ
以上、この記事ではフェーズについて解説しました。
英語表記 | フェーズ(phasis) |
---|---|
意味 | 出来事や計画を、時系列や状態の変化に応じて区切った段階 |
語源 | 「状況」という意味のギリシア語 “phasis” |
類義語 | 段階 局面など |
フェーズは複数の分野で使われる言葉だということがわかりましたね。