今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「竜頭蛇尾(りゅうとうだび)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳について分かりやすく解説します。
☆「竜頭蛇尾」をざっくり言うと……
読み方 | 竜頭蛇尾(りゅうとうだび) |
---|---|
意味 | はじめは勢いがいいが、終わりになると衰えること |
由来 | 『景徳伝灯録』の21巻 |
類義語 | 有頭無尾、大山鳴動など |
対義語 | 有終完美、初志貫徹など |
英語訳 | anticlimax(竜頭蛇尾) |
このページの目次
「竜頭蛇尾」の意味をスッキリ理解!
「竜頭蛇尾」の意味を詳しく
「竜頭蛇尾」は、「はじめは盛んで勢いがいいが、終わりは衰えて振るわなくなる」という意味です。
「竜」は「りょう」とも読みます。
「頭は竜のように立派だが、尾は蛇のようで期待はずれだ」という意味合いで使われます。
「竜頭蛇尾」の使い方
- 彼は、「自分に任せろ」と散々言っていたのに、竜頭蛇尾だったのか。
- チャンスをつかんでも、竜頭蛇尾ではいけません。最後までモチベーションを保ちましょう。
他にも「竜頭蛇尾」には以下のような言い回しがあります。
- 竜頭蛇尾に終わる
- 竜頭蛇尾な○○
「竜頭蛇尾に終わる」の使い方
「竜頭蛇尾」の使い方で多く見られるのが、「竜頭蛇尾に終わる」という使い方です。
上記の例文は、「最初は勢いがあるパーティーが、終わりに勢いがなくなると予想していた」という意味です。
「竜頭蛇尾な○○」
「竜頭蛇尾な〇〇」「竜頭蛇尾の〇〇」など形容詞的に用いられることもあります。
たとえば「竜頭蛇尾な試合」や「竜頭蛇尾なドラマ」などの使い方をします。
上記の例文は、「期待していた映画が最初は勢いが良かったのに、最後は勢いがなくなって面白くなかった」というニュアンスです。
「竜頭蛇尾」の由来
「竜頭蛇尾」は、中国の『景徳伝灯録(けいとうでんとうろく)』に由来します。
『景徳伝灯録』とは、宋の時代に書かれた仏書のことです。その21巻に、次のように書かれています。
惜しむべし竜頭翻(かえ)って蛇尾と成る
陳尊者(ちんそんじゃ)という僧が、旅の途中で出会ったお坊さんと議論をしました。
このお坊さんは、最初は威勢よく話していました。しかし陳尊者は、「頭は竜のようだが、尾は蛇のようだろう」と考え、彼に少し難しい質問をしました。
すると、お坊さんはそれまでの勢いをなくしてしまいました。
案の定、「竜頭蛇尾」であったというこの話から、「竜頭蛇尾」ができたと言われています。
仏教において、竜は悟りを開く際に守護する神とされていました。
そのため、「竜のようだ」というのはつまり、「悟りを開いている」ということを意味しました。
上記の僧とお坊さんの話のように、もともとは「一見すると悟りを開いているようだが、実際は見掛け倒しだ」といった文脈で使われていました。
しかし、現在では「はじめは盛んで勢いがいいが、終わりは衰えて振るわなくなる」という部分だけが残っています。
「竜頭蛇尾」の類義語
竜頭蛇尾には以下のような類義語があります。
- 有頭無尾(ゆうとうむび):始めだけはあるが、終わりがないこと
- 大山鳴動(たいざんめいどう):騒ぎだけ大きく、結果は小さいこと
- 虎頭蛇尾(ことうだび):はじめは勢いが盛んだが、終わりまで続かないこと
- 羊頭狗肉(ようとうくにく):実質や内容が見かけと一致しないこと
- 尻切れとんぼ:物事が途中で切れて、完結しないことのたとえ
- 頭でっかち尻つぼみ:はじめは勢いがよく、終わりがだらしないこと
- 退潮:勢いが衰えること
「竜頭蛇尾」の対義語
竜頭蛇尾には以下のような対義語があります。
- 有終完美(ゆうしゅうかんび):最後まで立派にやり遂げること
- 初志貫徹(しょしかんてつ):最初から最後まで志をつらぬくこと
- 終始一貫(しゅうしいっかん):態度などを始めから終わりまでつらぬき通すこと
- 徹頭徹尾(てっとうてつび):最初から最後まで
- 大器晩成(たいきばんせい):真の大物というものは、遅れてから頭角を現すものだ
- 始めは処女の如く後は脱兎の如し:弱々しく見せかけ油断させた後、素早く攻撃すること
「竜頭蛇尾」の英語訳
竜頭蛇尾を英語に訳すと、次のような表現になります。
- anticlimax
(竜頭蛇尾) - a bright beginning and a dull ending
(明るい始まりとさえない終わり) - a strong beginning and a weak ending
(勢いのある始まりと弱々しい終わり) - start big and end small
(大きく始まり、小さく終わる) - go up like a rocket and coming down like a stick
(ロケットのように飛び出しても棒のように落ちる)
“anticlimax” とは、「あっけない結末」を意味します。可算名詞なので、単数のaや複数形のsと共に使いましょう。 “The battle ended in an anticlimax.(その戦いは竜頭蛇尾で終わった)” のように使います。
“a bright beginning and a dull ending” と、 “a strong beginning and a weak ending” は、どちらも2つのものの対比がされています。
“bright” と “dull” は、正確には対義語ではありませんが、ここでは “bright” は「派手」に近い意味で使われています。 “dull” は、「つまらない」や「さえない」という意味です。
まとめ
以上、この記事では「竜頭蛇尾」について解説しました。
読み方 | 竜頭蛇尾(りゅうとうだび) |
---|---|
意味 | はじめは勢いがいいが、終わりになると衰えること |
由来 | 『景徳伝灯録』の21巻 |
類義語 | 有頭無尾、大山鳴動など |
対義語 | 有終完美、初志貫徹など |
英語訳 | anticlimax(竜頭蛇尾) |
「竜頭蛇尾」は、最後までやりきることの重要さを物語っています。
ビジネスなど重要な場だけでなく、日常生活においても大切なことです。
ぜひこの四字熟語を覚え、念頭に置きましょう。