「克己復礼」の意味とは?使い方から英語や対義語や類義語まで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「克己復礼(こっきふくれい)」です。

言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「克己復礼」をざっくり言うと……

読み方克己復礼(こっきふくれい)
意味自分の欲を抑えて、規範に沿って礼儀正しく行動すること
由来『論語』の「顔淵篇」
類義語無欲無私、無欲恬淡、温良恭倹など
対義語私利私欲、我利私欲、眼中無人など
英語訳denying oneself and following manners of society(自分を律して、社会の規範に従う)

「克己復礼」の意味をスッキリ理解!

克己復礼(こっきふくれい):自分の欲を抑え、規範に沿って礼儀正しく行動すること

「克己復礼」の意味を詳しく

「克己復礼」は、「克己」と「複礼」の2つの熟語から成り立っています。

「克己」とは「自分に打ち勝つこと」です。つまり、個人的な欲望を抑えることを指します。また、「複礼」は、「社会的なルールを守ること」や「相手に敬意をはらうこと」を表します。

したがって、「克己復礼」の意味は「自分の欲を抑え、規範に沿って礼儀正しく行動すること」となります。

「克己復礼」の使い方

  1. 私はお腹が空いているため、本当は今すぐにでも休憩したい。しかし、克己復礼の精神で、上司の仕事を手伝うことにした。
  2. 克己復礼を重んじる人物は、周囲から愛される。

「克己復礼」の由来

中国に『論語』という書物があります。儒教の教えについてまとめられた本で、創始者の孔子が亡くなったあと、弟子たちが編纂(へんさん)しました。

「克己復礼」の由来は、『論語』のなかの「顔淵(がんえん)篇」にあります。以下、エピソードの内容を解説します。

 

儒教で重要視されていた概念の1つに、「仁(じん)」というものがありました。ある日、弟子の顔淵が、孔子に「仁とは何なのですか」と尋ねます。

すると、孔子は、「克己復礼為仁」と答えました。

この文は、「己(おのれ)に克ちて(かちて)礼に復る(かえる)を仁と為す」と書き下すことができます。意味は、「自分自身の欲望を克服して、礼儀正しくすることに立ち戻る姿勢こそが、仁である」となります。

 

このように、「克己復礼」は、孔子の言葉からうまれたのです。

「克己復礼」の類義語

「克己復礼」には以下のような類義語があります。

  • 無欲無私(むよくむし):自分の欲望にこだわらないこと
  • 無欲恬淡(むよくてんたん):多くのことを欲しがらないこと
  • 恬淡寡欲(てんたんかよく):欲望が強すぎないこと
  • 虚静恬淡(きょせいてんたん):欲望がなく、精神的に落ち着いていること
  • 温良恭倹(おんりょうきょうけん):穏やかで、礼儀正しいこと
  • 爾雅温文(じがおんぶん):穏やかで、礼儀正しいこと

すでに解説したとおり、「克己復礼」は「個人の欲望を抑え、ルールを守って礼儀正しく行動する」という意味をもちます。

このことをふまえると、「無欲無私」「無欲恬淡」「恬淡寡欲」の意味は、「克己復礼」の意味のうち「個人の欲望を抑える」という部分と共通していますね。

一方、「虚静恬淡」「温良恭倹」「爾雅温文」の意味は、「克己復礼」の意味のなかでも「礼儀正しく行動する」という部分と共通しています。

ですから、「克己復礼」を上記の類義語のいずれかに言い換える際には、「克己復礼の意味のうち、どの部分に重点をおいて表現するのか」という点を考えましょう。

 

なお、「爾雅温文」は「温文爾雅」と表記されることもあります。

「克己復礼」の対義語

「克己復礼」には以下のような対義語があります。

  • 私利私欲(しりしよく):自分の欲望や利益を優先させること
  • 我利私欲(がりしよく):自分の欲望や利益を優先させること
  • 無礼千万(ぶれいせんばん):礼儀に欠けていて、非常に態度が悪いこと
  • 我田引水(がでんいんすい):他人への思いやりをもたず、自分勝手にふるまうこと
  • 眼中無人(がんちゅうむじん):他人への思いやりをもたず、自分勝手にふるまうこと
  • 傍若無人(ぼうじゃくぶじん):自分勝手に行動すること
  • 気随気儘(きずいきまま):自分勝手に行動すること

上記の四字熟語は、すべて「自分の欲望を第一に考えること」や「礼儀に反すること」を表していますね。ですから、「克己復礼」の対義語といえます。

「克己復礼」の英語訳

「克己復礼」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • denying oneself and following manners of society
    (自分を律して、社会の規範に従う)

まとめ

以上、この記事では「克己復礼」について解説しました。

読み方克己復礼(こっきふくれい)
意味自分の欲を抑えて、規範に沿って礼儀正しく行動すること
由来『論語』の「顔淵篇」
類義語無欲無私、無欲恬淡、温良恭倹など
対義語私利私欲、我利私欲、眼中無人など
英語訳denying oneself and following manners of society(自分を律して、社会の規範に従う)

自分の欲望や利益ばかりを追求していると、周囲に迷惑がかかります。他人に思いやりをもち、ルールを重んじることが大切ですね。