今回ご紹介する言葉は、熟語の「矜持(きょうじ)」です。
言葉の意味・「矜持」と「矜恃」の違い・使い方・語源・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「矜持」をざっくり言うと……
読み方 | 矜持(きょうじ) |
---|---|
意味 | 自分の能力を優れたものとして誇る気持ち |
語源 | 「自負する」「身に付ける」という漢字の意味から |
類義語 | 自負、自任など |
対義語 | 忸怩、卑屈 |
英語訳 | pride(誇り)、dignity(威厳)など |
このページの目次
「矜持」の意味をスッキリ理解!
「矜持」の意味を詳しく
「矜持」は「自分の能力を優れたものとして誇る気持ち」という意味です。
簡単な言葉に言い換えれば、「誇り」「プライド」といえます。
「矜持」は自己の尊厳と密接に関わるものであり、相手との比較で揺らぐようなものではありません。
そして、誇りを持った上で、「自分を抑制する」というニュアンスがあります。
「矜持」はいたずらに周りに見せつけるものではなく、自分の中にしっかりと持っているものなのです。
「矜持」の読み方
「矜持」の正しい読みは「きょうじ」です。
しかし、「きんじ」と間違えて読む人が多かったことから、現在では「矜持」も慣用読みとして認められています。
慣用読みとは、正しい読み方ではないものの、一般的に広まった読み方のことです。
「矜持」と「矜恃」の違い
「矜持」には「矜恃」という、よく似た熟語があります。
「矜持」の「持」と「矜恃」の「恃」が違いますよね。
「矜恃」は「自信と誇りを持って、堂々と振る舞うさま」という意味です。
「矜持」と「矜恃」は意味もよく似ているわけですが、以下のような違いがあります。
- 矜持:誇りを持っている上、自制心もある
- 矜恃:誇りを持っていて、堂々と振る舞う
「自制心があるかどうか」が異なるのです。
ただ、ほとんどの人はこの違いを知らないので、実生活では特に区別せずに使っても問題ありません。
多くの辞書でも同じ意味の熟語として扱っています。
「矜持」の使い方
「矜持」の使い方の例として、以下のような文が挙げられます。
- 彼の仕事に対する態度には、職人としての矜持が見られた。
- 彼女には、自分のことは自分で決めるという矜持があった。
- その場から逃げることは、侍としての矜持が許さなかった
上記の例文からもわかるとおり、矜持は以下のような言い回しで用いられることが多いです。
- 〇〇としての矜持
- 矜持がある
- 矜持が許さない
①の例文では、職人として仕事への向き合い方にこだわりがあるさまを「矜持」で表しています。
「矜持」を用いると、「プライド」などの一般的な言葉を使うよりも表現に重みが出ます。
②では、他人に言われたものでなく、自分自身で定めた生き方に対して誇りを持つことを「矜持」で表現しています。
③の例文では、「侍であれば困難から逃げない」というプライドによって逃げなかったことを「矜持が許さない」という言い回しで表しています。
「矜持」の語源
「矜持」という熟語は、用いられている漢字に注目すると、語源からその意味をより理解しやすくなります。
「矜持」の漢字の意味はそれぞれ以下のとおりです。
- 矜:誇り
- 持:身につける・持つ
これらの漢字の意味どおり、「矜持」は「誇りを持っていること」を表します。
ちなみに、「矜」を構成している漢字の「矛」とは「武器」のことです。
昔の侍たちは、この「矛」を所有することを「誇り」としたとされています。
ここから「矜」に「自負する」「誇る」という意味が生まれました。
「矜持」の類義語
矜持には以下のような類義語があります。
- 自負(じふ):自分の才能・知識・業績などに自信と誇りを持つこと
- 自任(じにん):自分の能力などが、それにふさわしいと思うこと
- 誇り(ほこり):名誉に感じること
- 尊厳(そんげん):気高く威厳があること
- 自尊心(じそんしん):自分を尊重する気持ちのこと
- プライド:誇りのこと
これらの熟語は、「自分の能力などをすぐれたものとして誇ること」という意味を表しているという点で「矜持」と共通しています。
ですが、ニュアンスはそれぞれ異なっています。
「自負」のニュアンス
「自負」には、他の人がどう思っているかは関係なく、自分自身を優れていると信じることという意味合いがあります。
そのため、「自負」が表すのは少々「独りよがり」なプライドです。
「自任」のニュアンス
「自任」とは、あることに対して自分の能力などがふさわしいと思うことです。
たとえば、「この役割は自分にしかできないと自任する」というように用います。
「矜持」の対義語
「矜持」には以下のような対義語があります。
「矜持」の英語訳
矜持を英語に訳すと、次のような表現になります。
- pride
(誇り) - dignity
(威厳) - self-esteem
(自尊心) - self-confidence
(自信)
「矜持」の意味を英語で表すには、 “pride” や “dignity” を用いましょう。
例えば、「~としての矜持を保つ」は英語で “keep one’s pride as ~” と表現することができます。
one’s の部分には、my や his など主語に合わせた代名詞の所有格を入れます。
まとめ
以上、この記事では「矜持」について解説しました。
読み方 | 矜持(きょうじ) |
---|---|
意味 | 自分の能力を優れたものとして誇る気持ち |
語源 | 「自負する」「身に付ける」という漢字の意味から |
類義語 | 自負、自任など |
対義語 | 忸怩、卑屈 |
英語訳 | pride(誇り)、dignity(威厳)など |
「矜持」を持つというのは素晴らしいことです。
しかし、周囲に流されたり、「矜持」を傷つけられたりすることもあるでしょう。
そういう時は、なぜ自分がそのような「矜持」を持っているのかを思い返してみると良いでしょう。