誠心誠意とは「噓偽りなく、まごころを込めて物事を行うこと」という意味です。
誠心誠意はビジネスシーンでよく使うため、使い方を間違えて失礼な印象を与えたくないですよね。
座右の銘や歌詞としても使われているため、意味をしっかり理解したい人も多いのではないでしょうか。
この記事では、誠心誠意の意味や使い方を詳しく解説します。
このページの目次
「誠心誠意」の意味
噓偽りなく、まごころを込めて物事を行うこと
誠心誠意は、以下の2語から成り立っています。
- 誠心
偽りのない心 - 誠意
欲をもたずに、正直に物事に関わる心
それぞれの意味を詳しく見ていきましょう。
「誠心」の意味
誠心は、「偽りのない心」という意味です。
それぞれの漢字には以下のような意味があります。
- 誠
嘘や偽りでないこと - 心
意識
つまり、嘘や偽りを持たない心そのものを表します。
「誠意」の意味
誠意は、「欲をもたずに、正直に物事に関わる心」という意味です。
それぞれの漢字には以下のような意味があります。
- 誠
嘘や偽りでないこと - 意
心で思っていること
つまり、自分の欲のための嘘ではなく、本心から思っていることを表します。
したがって、誠心誠意は、ほとんど同じ意味である2つの語を重ねることで、「損得を考えず、この上ない真心を込めて、熱心に物事を行うことや、その気持ち」を表します。
順番を入れ替えて、誠意誠心(せいいせいしん)ということもあります。
誠心を、精神や誠信と間違えないように注意しましょう。
「誠心誠意」の使い方
誠心誠意は、ビジネスシーンでよく使います。
誠心誠意は以下のような言い回しで使います。
- 誠心誠意を込める
- 誠心誠意で接する
- 誠心誠意努める
- 誠心誠意努力する
- 誠心誠意尽力する
- 誠心誠意遂行する
- 誠心誠意励む
- 誠心誠意頑張る
- 誠心誠意取り組む
- 誠心誠意事にあたる
- 誠心誠意生きる
誠心誠意は以下のような場面で使います。
- 挨拶する時
- 謝罪する時
- 座右の銘
- 歌詞
誠心誠意を使う時には、どの場面であっても「何に対して、誠心誠意、何をするのか」を明らかにすることが重要です。
それぞれの場面での使い方を、例文と一緒に見ていきましょう。
使い方①挨拶する時
誠心誠意は、挨拶する時に使います。
初対面の挨拶などに誠心誠意を使うことで、強い意気込みを表現することができます。
- 一日も早く戦力となれるよう、誠心誠意、努力して参ります。
- お客様のお役に立てるように、誠心誠意取り組ませていただきます。
- 新しい担当者として、誠心誠意尽力いたします。
- 本プロジェクトの責任者として、誠心誠意遂行いたします。
- どの部署に配属されたとしても、誠心誠意頑張ります。
- 誠心誠意励んでいく所存ですので、何卒よろしくお願いいたします。
- 当社は、工事が終わった後もお客様からの信頼には誠心誠意お応えすることが義務であると考えています。
使い方②謝罪する時
誠心誠意は、謝罪する時にも使います。
クレームや不祥事があった時の対応に誠心誠意を使うことで、誠実な気持ちを表現することができます。
- ご迷惑をおかけいたしましたこと、誠心誠意お詫び申し上げます。
- 不適切な表現があり、深くお詫びいたします。今後はこのようなご迷惑をおかけしないよう、誠心誠意努めて参ります。
- この度の補償について、誠心誠意対応させていただきます。
- 万が一品質に問題があった場合は補償のうえ、誠心誠意を込めて対応させていただきます。
- クレームの電話が来た場合には、誠心誠意で接する。
使い方③座右の銘
誠心誠意は、座右の銘としてもよく使われます。
座右の銘とは、その人自身が行動する時の指針のことです。
誠心誠意を座右の銘とする場合、「どんな時でも、噓偽りなく、まごころを込めて物事を行うこと」を行動の指針としていることになります。
使い方④歌詞
誠心誠意は、歌詞の中に使われる場合もあります。
たとえば、男性声優のラッププロジェクト「ヒプノシスマイク」では、楽曲の歌詞に誠心誠意が使われています。
楽曲「ヒプノシスマイク -Division Battle Anthem-+」に、以下のような歌詞があります。
誠心誠意 平身低頭
毎日がShoe gaze そのまま終電
※ “Shoe gaze” は靴を見る人
上記の歌詞は、観音坂 独歩(かんのんざか どっぽ)という男性キャラクターが歌唱を担当しています。
彼はブラック企業に勤務する営業マンで、いつも上司や取引先に謝罪しています。
そのため、上司や取引先に対する自分の行動を「誠心誠意取り組んでいる」と表現しています。
「誠心誠意」の使い方の注意点
誠心誠意を使う時には、以下のような注意点があります。
- 重複する意味の言葉と使わない
- むやみに使わない
それぞれ見ていきましょう。
注意点①重複する意味の言葉と使わない
誠心誠意は、重複する意味の言葉とは使いません。
誠心誠意は、「噓偽りなく、まごころを込めて物事を行うこと」という意味です。
そのため、以下のように意味が重複している語と一緒に使うことは間違いです。
- 心を込めて
×誠心誠意、心を込めて演奏したいと思います。 - 真心込めて
×誠心誠意、真心込めて作った弁当だ。 - 真面目に
×誠心誠意、真面目に勉強します。
注意点②むやみに使わない
誠心誠意は、むやみに使わないほうが良い言葉です。
なぜなら、誠心誠意は責任が重い印象があるため、相手に期待されやすい言葉だからです。
もし、物事が失敗した場合、期待させていた相手に対して大きな失望をされてしまうのです。
「誠心誠意」と「正心誠意」の違い
誠心誠意と混同しやすい語に、正心誠意があります。
正心誠意は「心を正しく保つには、自分に嘘をつかずに誠実に対処するべき」という意味です。
誠心誠意と正心誠意は以下のような違いがあります。
誠心誠意 | 正心誠意 | |
---|---|---|
意味 | 噓偽りなく、まごころを込めて物事を行うこと | 心を正しく保つには、自分に嘘をつかずに誠実に対処するべき |
使う場面 | 様々な場面 | 政治の場面 |
誠心誠意と正心誠意は、意味と使う場面が異なります。
誠心誠意は幅広い場面で使いますが、正心誠意は、主に政治の場面で使います。
「誠心誠意」の類義語
誠心誠意の類義語は、以下の3つのパターンに分けることができます。
- 四字熟語
- 熟語
- その他
それぞれのパターンに分けて、誠心誠意の類義語を紹介します。
類義語①四字熟語
四字熟語の類義語には、以下のようなものがあります。
- 一寸丹心(いっすんのたんしん)
いつわりのない真心 - 碧血丹心(へきけつたんしん)
この上ない真心 - 一生懸命(いっしょうけんめい)
自分の意思で物事にひたむきに取り組むこと - 一意専心(いちいせんしん)
他のことに心を動かされず、ひたすらひとつのことに心を集中すること - 一心一意(いっしんいちい)
他のことに心を動かされず、ひたすらひとつのことに心を集中すること - 一心不乱(いっしんふらん)
他のことに心を動かされず、ひたすらひとつのことに心を集中すること - 鋭意努力(えいいどりょく)
気持ちを集中させて努力すること
類義語②熟語
熟語の類義語には、以下のようなものがあります。
類義語③その他
四字熟語や熟語の他にも、誠心誠意の類義語には、以下のようなものがあります。
- 努める
力を尽くす - 精一杯(せいいっぱい)
できる限りの力を注いで物事にあたる - 力一杯
できる限りの力を注いで物事にあたる - 心から
本当の気持ちで物事にあたる - 心を込めて
真摯な心で事にあたる - 思いを込めて
真摯な心で事にあたる - 丹精込めて
真摯な心で事にあたる - 誠意を込めて/誠意をもって
真摯な心で事にあたる - 真摯に
真面目で熱心なこと - 真剣に
真面目に - ひた向き(ひたむき)
ひとつのことに心を集中する - 腹の底から
本心から - まごころをもって
別のものに見せかけたりせずに、そのままで - 嘘偽りなく
別のものに見せかけたりせずに、そのままで - 心(こころ)の底から
別のものに見せかけたりせずに、そのままで
「誠心誠意」の対義語
誠心誠意には以下のような対義語があります。
- 軽佻浮薄(けいちょうゆうはく)
言動が軽はずみで真剣ではないこと - 曲学阿世(きょくがくあせい)
学問上の真理をまげて、世間や権力者に取り入る言動をすること - 不義理(ふぎり)
受けた恩を返さないこと
「誠心誠意」の英語訳
誠心誠意を英語に訳すと、次のような表現になります。
- wholeheartedly
(心を込めて) - with one’s whole heart
(心を込めて) - from (the bottom of) one’s heart
(心の底から) - put one’s heart (and soul) into ~
(自分の心と魂を〜に入れる) - devotedly
(熱心に) - faithfully
(忠実に) - good faith
(誠実) - in good faith
(誠意を持って) - ex animo
(心から) - heartiness
(心のこもった) - whole-hearted devotion
(心からの献身) - no false Heart
(偽りの心はない) - sincerity
(誠意) - in all sincerity
(誠意を込めて) - express one’s sincerity
(誠意を表す) - work on things sincerity
(物事に誠実に取り組む) - in a cordial manner
(心のこもった方法で)
「誠心誠意」のまとめ
以上、この記事では誠心誠意について解説しました。
読み方 | 誠心誠意(せいしんせいい) |
---|---|
意味 | 噓偽りなく、まごころを込めて物事を行うこと |
類義語 | 一寸丹心 真心 努める など |
対義語 | 軽佻浮薄 曲学阿世 不義理 |
英語訳 | wholeheartedly(心を込めて) with one’s whole heart(心を込めて) from (the bottom of) one’s heart(心の底から) など |
誠心誠意は、挨拶や謝罪などで、より強く気持ちを伝えるために使われます。
しかし、言葉を飾るだけではなく、行動に移した時にこそ、相手に気持ちが届くでしょう。