今回ご紹介する言葉は、四字熟語「直情径行(ちょくじょうけいこう)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「直情径行」をざっくり言うと……
読み方 | 直情径行(ちょくじょうけいこう) |
---|---|
意味 | 感情のおもむくままに任せて、行動すること |
由来 | 『礼記』子游の言葉 |
類義語 | 猪突猛進、短慮軽率、直言直行など |
対義語 | 熟慮断行、思慮分別、因循姑息など |
英語訳 | To act as one’s heart dictates(心の思うままに行動する) |
このページの目次
「直情径行」の意味をスッキリ理解!
「直情径行」の意味を詳しく
直情径行とは、「感情のおもむくままに任せて、行動する」という意味です。
「直」「径」は、どちらも「まっすぐ」という意味があります。そして「情」は「気持ち」を、「行」は「行動」を表しています。
つまり、「直情」は「ありのままの気持ち、考え」を表します。「径行」は「気持ちや考えを曲げすにそのままに行動すること」を表します。
直情径行は、「短絡的、他人の意見を配慮しない」などの悪い意味で使われます。
したがって、「裏表のない性格、はっきりした性格である」のような、良い意味では使われないことに注意をしましょう。
「直情径行」の使い方
- 直情径行とはまさに彼のことで、彼は自分の発言で周囲の人が傷つくことを考えていない。
- 初めは、彼女は気配りのできる優しい人だと思ったが、後に直情径行な性格だとわかった。
- 日本では直情径行であることは特に非難の対象になるが、自分の意見が全く言えないことも問題だ。
②の例文では、「気配りができて優しい」と「直情径行」は正反対の性格を表しています。
③の例文では、自分の意見をはっきり言うことと、周囲の意見を配慮することのバランスの重要性を説いています。
「直情径行」の由来
直情径行は、中国の儒教の経典の一つである『礼記(らいき)』に由来してます。
この中で、孔子の弟子で最も優れた者の一人である子游(しゆう)が「直情径行なる者有り、戎狄(じゅうてき)の道なり」と言います。
これは、「感情のままに行動するのは、野蛮な者が行うことだ」という意味です。「戎狄」とは、当時の中国で、中国の外側の民族を軽蔑して呼んだ名前です。
したがって、由来となった書物のなかでは、直情径行は悪いものであると明確に考えられていることがわかります。
「直情径行」の類義語
直情径行には以下のような類義語があります。
- 猪突猛進(ちょとつもうしん):目標に対して、向こう見ずに突き進むこと
- 短慮軽率(たんりょけいそつ):結果がどうなるかを考えずに、行動や物事を決めること
- 直言直行(ちょくげんちょっこう):思ったことをためらわずに実行すること
- 軽挙妄動(けいきょもうどう):軽はずみに何も考えずに行動すること
- 暴虎馮河(ぼうこひょうが):その場の感情にまかせて、向こう見ずなことをすること
「直情径行」の対義語
直情径行には以下のような対義語があります。
- 熟慮断行(じゅくりょだんこう):十分に考えた上で、思い切って実行すること
- 思慮分別(しりょふんべつ):物事に注意深く考えをめぐらし、判断すること
- 因循姑息(いんじゅんこそく):古い習慣ややり方にとらわれて改めようとせず、その場しのぎに終始する様子
「直情径行」の英語訳
直情径行を英語に訳すと、次のような表現になります。
- To act as one’s heart dictates
(心の思うままに行動する) - impulsive
(一時の感情に駆られた、衝動的な) - straightforward
(まっすぐな、率直な)
impulsiveを除くと、他は「正直である」という良い意味で使われます。
まとめ
以上、この記事では「直情径行」について解説しました。
読み方 | 直情径行(ちょくじょうけいこう) |
---|---|
意味 | 感情のおもむくままに任せて、行動すること |
由来 | 『礼記』子游の言葉 |
類義語 | 猪突猛進、短慮軽率、直言直行など |
対義語 | 熟慮断行、思慮分別、因循姑息など |
英語訳 | To act as one’s heart dictates(心の思うままに行動する) |
熟慮せず、自己中心的な考え方をすることは、人間関係を難しくする原因だと言えます。
自分が直情径行ではないか、常に振り返ることが重要ですね。