「空前絶後」の意味とは?類語や英語や対義語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「空前絶後(くうぜんぜつご)」です。

言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「空前絶後」をざっくり言うと……

読み方空前絶後(くうぜんぜつご)
意味過去に例がなく、これからも先もあり得ないと思うようなこと
由来中国の皇帝がある画家の才能をほめた時のエピソード
類義語冠前絶後、曠前絶後、僅有絶無など
対義語平凡陳腐、平々凡々
英語訳“the first and probably the last” (最初で最後の)など

「空前絶後」の意味をスッキリ理解!

空前絶後(くうぜんぜつご):過去に例がなく、これからも先もあり得ないと思うようなこと

「空前絶後」の意味を詳しく

「空前絶後」は「現在起こっている現象が、これまで起こったことがなく、これからも二度と起こらないだろうと思われる」という意味です。

ここから転じて、「空前絶後」には「非常にめずらしいこと」という意味もあります。

「空前絶後」という四字熟語は、前半部分と後半部分の2つに分けるとより意味が理解しやすくなります。

「空前」「絶後」の意味
  • 空前
    現在よりも「前」である「過去」に「例を見ないこと」
  • 絶後
    現在より「後」である「未来」に「再び起こるとは到底思えないこと」

そして、「空前絶後」はポジティブなニュアンスで用いられます。

凶悪犯罪や大災害などのネガティブなことに対しては用いません。

「空前絶後」とセットで使われる「超絶怒涛」とは?

「超絶怒涛」は「圧倒的に勢いがある」という意味です。

「空前絶後」とセットで用いられることが多い言葉です。

ピン芸人のサンシャイン池崎の「空前絶後の超絶怒涛のピン芸人」というフレーズでも有名ですね。

「空前絶後」は「超絶怒涛」と組み合わせることで「これまでになく、これからも二度と起こらないような圧倒的な勢いがある」という意味を表します。

「空前絶後」の使い方

  1. その豪雨は県全体に被害が及び、空前絶後の大災害となった。
  2. 普段1万人の客が集まれば多い方であるこのイベントに、5万人を超える来場者が訪れたというのは空前絶後の規模である。
  3. 真面目で毎日20時前には帰宅する弟が、22時になっても家に帰ってこない。これは空前絶後だと言っていいだろう。

上記の例文のように、「空前絶後」は「空前絶後の」「~は空前絶後だ」などの形で用います。

「空前絶後」は、ある状況や事件が普通よりも規模が大きい時や、普段起こらないことが起こった時に用いましょう。

「空前絶後」の由来

「空前絶後」の由来は、『宣和画譜(せんながふ)』という北宋(ほくそう)の時代の中国の絵画に関する本のエピソードにあります。

北宋の皇帝であった徽宗(きそう)は、唐の時代の画家である呉道子(ごどうし)をほめて次のように言いました。

「東晋の時代の画家の顧愷之(こがいし)の絵は、過去に比べることができるものは一切ないほどに素晴らしく、後梁(こうりょう)の時代の張僧繇(ちょうそうよう)の絵は、それ以降に比べられるものがないと言われている。しかし、呉道子はその二人の才能を兼ね備えているほど偉大な画家である」

この話では呉道子という画家を「これまでいた、さらにはこれから出てくるであろう全ての画家の中で最も才能のある画家だ」と褒め称えています。

「空前絶後」の類義語

空前絶後には以下のような類義語があります。

  • 冠前絶後(かんぜんぜつご):今までで最も優れており、これから先も超えるものはないだろうというもの
  • 曠前絶後(こうぜんぜつご):これまでに聞いたことがなく、将来も起こらないだろうと思われる出来事
  • 僅有絶無(きんゆうぜつむ):ほとんど存在しないこと
  • 千載一遇(せんざいいちぐう):なかなか巡り合うことのできない良い機会
  • 前代未聞(ぜんだいみもん):これまでに聞いたことがないようなめずらしいこと
  • 前人未倒(ぜんじんみとう):これまでに誰も到達してないこと
  • 未曾有(みぞう):極めて珍しいこと
  • 破天荒(はてんこう):今まで誰もしなかったようなことをすること
  • 超然絶後(じょうぜんぜつご):二度と起こりそうもないこと

「空前絶後」と「前代未聞」の違い

「前代未聞」とは、「過去に一度も聞いたことがないような珍しいこと」という意味です。

「空前絶後」と「前代未聞」には以下のような違いがあります。

  • 空前絶後
    • 過去と未来でなかなか起こらないことを表す
    • 主にポジティブなニュアンスで用いる
  • 前代未聞
    • 過去でなかなか起こらなかったことを表す
    • 主にネガティブなニュアンスで用いる

「空前絶後」と「前代未聞」の違いとは?意味から使い方まで解説

「冠前絶後」・「曠前絶後」の意味

「冠前絶後」と「曠前絶後」は、最初の文字が異なっているだけで、意味も「空前絶後」とほとんど同じです。

「空前絶後」では、「空」というが漢字を「前」と使うことで「以前は空(から)」であった、つまり「これまでにいなかった」という表現をしていました。

「曠前絶後」の「曠(こう)」にも同じように「広々としていてなにもない」という意味合いがあります。

それに対して「冠前絶後」は、優れた人の証である「冠(かんむり)」という字を用いることで、「これまでで最も素晴らしい」という意味を表現しているのです。

「空前絶後」の対義語

空前絶後には以下のような対義語があります。

  • 平凡陳腐(へいぼんちんぷ):ありふれていて、めずらしさがないこと
  • 平々凡々(へいへいぼんぼん):特に普通のものと変わったところもないこと

「空前絶後」の「めずらしい」という意味の反対は、「ありふれている」や「平凡である」です。どちらの四字熟語にもそのような意味があります。

「空前絶後」の英語訳

空前絶後を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • the first and probably the last
    (最初で最後の)
  • the most (形容詞) ever
    (これまでで最も~である)
  • unheard-of
    (聞いたことのない)

“the first and probably the last” の意味

「空前絶後」の「過去と未来どちらにもいないだろう」という意味を直訳すると、英語では “the first and probably the last” と言えます。

しかし、あまり一般的に用いられているような自然な言い回しではありません。

“the most (形容詞) ever” の意味

“the most (形容詞) ever” を用いれば、より自然に「今までで一番」という表現ができます。

しかし、「将来もない」というニュアンスはなくなってしまいます。

たとえば、“It was the hottest summer ever.” と言えば、「今まで一番暑い夏だったね」という意味です。

まとめ

以上、この記事では「空前絶後」について解説しました。

読み方空前絶後(くうぜんぜつご)
意味過去に例がなく、これからも先もあり得ないと思うようなこと
由来中国の皇帝がある画家の才能をほめた時のエピソード
類義語冠前絶後、曠前絶後、僅有絶無など
対義語平凡陳腐、平々凡々
英語訳“the first and probably the last” (最初で最後の)など

空前絶後の出来事に出会うことは、よくあることではありません。

ですが、「これはめずらしい」と思うような状況に遭遇した時に、この四字熟語を使えるようにしっかりと意味と使い方を理解しておきましょう。