「暗中模索」の意味とは?読み方は?類語や英語や対義語まで例文付きで

言葉

今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「暗中模索(あんちゅうもさく)」です。

言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「暗中模索」をざっくり言うと……

読み方暗中模索(あんちゅうもさく)
意味手掛かりのない中で、様々な方法を試すこと
由来唐の時代にいた忘れっぽい学者が「偉人と出会えば、例え暗闇の中でも探り当てられる」と言ったことから
類義語五里霧中、試行錯誤、紆余曲折など
対義語明々白々、一目瞭然、前途洋々など
英語訳“grope in the dark” (暗闇の中で手探りする)、“search blindly” (目が見えない状態で探す)など

「暗中模索」の意味をスッキリ理解!

暗中模索(あんちゅうもさく):手掛かりのない中で、様々な方法を試すこと

「暗中模索」の意味を詳しく

「暗中模索」は暗がりの中を歩くように、何も見当が付かないような状態で、適切な方法を見つけるためにいろいろな方法を試すこと」という意味です。

本来は「暗中索」というのが正しい表記です。

しかし、「摸」が常用漢字ではないため、現在では「暗中索」という表記が一般的です。

「暗中模索」という四字熟語は、前半部分と後半部分の2つに分けると容易に理解することができます。

  • 暗中:暗がり、闇の中
  • 模索:手探りで探し求めること

「暗中模索」の使い方

  1. その会社は新商品を開発するために暗中模索している。
  2. 彼はしばらく暗中模索の状態にあったが、友達の助けをきっかけに解決策を見つけた。
  3. 会社の命運をかけたプロジェクトは暗中模索のまま1ヶ月が経過した。
「暗中模索」は上記の例文のように、以下の言い回しで用いられることが多いです。

「暗中模索」のよくある言い回し
  • 暗中模索する
  • 暗中模索の中
  • 暗中に模索する
  • 暗中模索の状態
  • 暗中模索のまま

「暗中模索」には、「暗」という漢字が使われていることからネガティブなイメージがあるのではないでしょうか。

しかし、手掛かりがない中でも上手くいく方法を探し求めるという積極的な意味で使うことができます。

何か新しい分野に挑戦する時などにぴったりの言葉ですね。

目上の人に「暗中模索」を使うのは失礼

「暗中模索」を目上の人に使うと失礼にあたるので、用いないようにしましょう。

「暗中模索」を「解決策がまだわからなくてもがいている」というややネガティブなニュアンスで捕らえることもできるからです。

「お力を尽くされている」など、別の表現に置き換えるべきです。

「暗中模索」を自分に使うと謙遜のニュアンスに

「暗中模索」は自分に使うと謙遜のニュアンスを表すことができます。

客観的に見れば順調に正しい方向に向かっていても、「暗中模索」と表現することで「まだまだダメです」というニュアンスを表せるからです。

「暗中模索」の由来

「暗中模索」の由来は、中国の唐の時代にさかのぼります。

唐の国に、許敬宗(きょけいそう)という学者がいました。

彼は優秀な人物でしたが、物忘れが激しくて人の顔を覚えるのが苦手な人でした。

ある時、そそっかしいことを注意された許敬宗は、「つまらない人のことは記憶する必要もない。

素晴らしい人たちに会うことがあれば、例え暗闇の中であっても探り当てて見せる」と言いました。

「暗中模索」は「何も見えない状況であってもやってみせる」という気持ちから生まれた四字熟語だったのですね。

「暗中模索」の類義語

暗中模索には以下のような類義語があります。

  • 五里霧中(ごりむちゅう):物事の判断ができず、方針を立てられないこと
  • 試行錯誤(しこうさくご):失敗を繰り返しながら解決策を見出していくこと
  • 紆余曲折(うよきょくせつ):遠回りで曲がりくねっていること
  • 悪戦苦闘(あくせんくとう):困難に打ち勝とうと努力すること
  • 洗い出す(あらいだす):隠れている事柄を調べて明らかにする
  • 手探り(てさぐり):手先の感じに頼って探ること
  • 手弄り(てまさぐり):暗くて見えない時に手先で探ること
  • 捜査(そうさ):調べ探すこと
  • 探索(たんさく):未知の事柄などを探し求めること
  • 詮索(せんさく):細かい所まで探り求めること
  • 探る(さぐる):手や足で動かして物のありかを知ろうとすること

「暗中模索」と「五里霧中」の違い

「五里霧中」は「物事の判断ができず、方針を立てられないこと」という意味です。

「暗中模索」と「五里霧中」には以下のような違いがあります。

  • 暗中模索:状況がよくわからない中で、必死に手がかりを探している
  • 五里霧中:状況がよくわからない中で迷っている

「暗中模索」は「五里霧中」と違って、状況がわからなくても手がかりを探しているという積極的なニュアンスがあるのです。

「暗中模索」と「試行錯誤」の違い

「試行錯誤」とは、「失敗を繰り返しながら解決策を見出していくこと」という意味です。

「暗中模索」と「試行錯誤」には以下のような違いがあります。

  • 暗中模索:周囲の状況がわからない中で色々試してみる
  • 試行錯誤:色々試してみる

「試行錯誤」には、「暗中模索」と違って「周りの状況がわからない」というニュアンスはないのです。

「暗中模索」の対義語

「暗中模索」には以下のような対義語があります。

  • 明々白々(めいめいはくはく):非常にはっきりしていること
  • 一目瞭然(いちもくりょうぜん):一目見ただけではっきりわかること
  • 前途洋々(ぜんとようよう):今後の人生が希望に満ちているさま
  • 即断即決(そくだんそっけつ):その場でただちに決めること
  • 明らか(あきらか):事柄がはっきりしていること
  • 顕著(けんちょ):際立って目につくこと
  • 明瞭(めいりょう):はっきりと見分けられること
  • 歴然(れきぜん):はっきりしていて疑う余地がないこと
  • 明確(めいかく):はっきりと確かなこと
  • 鮮明(せんめい):あざやかではっきりしていること

「暗中模索」の英語訳

暗中模索を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • grope in the dark
    (暗闇の中で手探りする)
  • search blindly
    (目が見えない状態で探す)
  • look for
    (探す)
  • be (all) at sea
    (五里霧中)

“grope in the dark” は、「暗中模索」とほとんど同じ意味を持っています。

ただし、“grope” という単語には「痴漢(ちかん)をする」という意味もあるので使う際には気を付けましょう。

まとめ

以上、この記事では「暗中模索」について解説しました。

読み方暗中模索(あんちゅうもさく)
意味手掛かりのない中で、様々な方法を試すこと
由来唐の時代にいた忘れっぽい学者が「偉人と出会えば、例え暗闇の中でも探り当てられる」と言ったことから
類義語五里霧中、試行錯誤、紆余曲折など
対義語明々白々、一目瞭然、前途洋々など
英語訳“grope in the dark” (暗闇の中で手探りする)、“search blindly” (目が見えない状態で探す)など

長い人生では、正解が分からず「暗中模索」することもあるでしょう。

そんななかでもあきらめずに、挑戦を続けていきたいものですね。