「諸法無我」の意味とは?使い方から英語訳までわかりやすく解説

言葉

諸法無我とは「すべてのものは互いに影響をしながら出来上がっている」という意味の言葉です。

諸法無我は「しょほうむが」と読みます。日常生活では、あまり聞きなれない言葉ではないでしょうか。

この記事では、諸法無我の意味や使い方、由来、類義語、対義語について分かりやすく解説しています。

☆「諸法無我」をざっくり言うと……

読み方諸法無我(しょほうむが)
意味すべてのものは互いに影響をしながら出来上がっている
由来仏教用語より
類義語諸行無常
対義語千古不易、永久不滅、恒常不変

「諸法無我」の意味

諸法無我しょほうむが
すべてのものは互いに影響をしながら出来上がっている
諸法無我は、あらゆる物事は互いに影響をし合い、何一つとして独立して存在するものはないことを表す言葉です。

諸法無我はもともと仏教用語であり「すべての事は互いに繋がり合っているため、何か1つが変わるだけでもさまざまな変化をもたらす」という考えを表しています。

たとえば、あなたが食べた動物にも先祖がいます。動物はプランクトンや大自然の生命によって成長し、動物の命は、現在のあなたをつくる要素となっています。

このように、さまざまな関わりや繋がりによって今のあなたがあります。

諸法無我は「三法印」のひとつ

諸法無我は、仏教の根本的な理念を示す三法印のひとつです。

三法印とは、「諸法無我」「諸行無常(しょぎょうむじょう)」「涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)」の3つで成り立っています。「諸行無常」「涅槃寂静」はそれぞれ以下のような意味があります。

  • 諸行無常
    この世のもので、変化しないものはない
  • 涅槃寂静
    煩悩が完全に消えて心が静まり、安らかな境地
「涅槃寂静」は、悟りの境地であり、もっとも望ましい状態と考えられています。

また、上記の「三法印」に「この世は思い通りにならず苦しみばかりである」という意味の「一切皆苦(いっさいかいく)」を加えて、「四法印」と言う場合もあります。

「諸法無我」の使い方


諸法無我は、以下のような言い回しで使用されます。

言い回し
  • 諸法無我を~
  • 諸法無我な世
  • 諸法無我と言える
次に、具体的な例文を見てみましょう。
例文
  1. 近年のライフスタイルの変化も、諸法無我を思えば納得できる。
  2. 諸法無我な世であるため、何がきっかけで状況が好転するか分からない。
  3. 最近の世界情勢は、まさに諸法無我と言える。
諸法無我は、上記の例文のように「さまざまに影響し合うことで、どんなことでも起こり得る」というニュアンスを表したい場合によく使用されます。

③の例文は、「最近の世界情勢は、複雑に関係し合い変化の絶えない状況と言える」という意味の例文です。
「最近の~は、まさに諸法無我と言える」という言い回しはよく使用するため、覚えておきましょう。

「諸法無我」の由来


諸法無我は、もともと「物事はあらゆる因縁によって生まれてくる」ということを表す仏教用語でした。

日常会話において、仏教用語とほとんど同じ意味で使用されています。

「諸法」「無我」はそれぞれ以下のような意味です。

  • 諸法:さまざまな物事
  • 無我:実体のないこと
他との関わりがないものを仏教では「我」といいます。この世には関わりのないものはないため、「永久に変わらない我は無い」という意味から「無我」といいます。

そのため、諸法無我には「どんな存在も、単体で存在しているわけではなく、支え合っている」というニュアンスが含まれています。

「諸法無我」の類義語


諸法無我には以下のような類義語があります。

また、三法印のひとつである諸行無常は、諸法無我の類義語にあたります。

「諸法無我」と「諸行無常」の違い

「諸法無我」と「諸行無常」には以下の違いがあります。

  • 諸法無我
    物事は互いに影響をし合い、変化し続ける
  • 諸行無常
    すべての物事は、変化し続ける
「諸法無我」と「諸行無常」は、「物事は常に変化する」という意味は共通していますが、「諸法無我」には「物事は互いに影響し合う」という意味が含まれています。

「さまざまなことが影響し合うことで変化する」というニュアンスを強調したい場合には、「諸法無我」を用いるようにしましょう。

「諸法無我」の対義語


諸法無我の対義語には、以下のようなものがあります。

  • 千古不易(せんこふえき)
    永遠に変化しないこと
  • 永久不滅(えいきゅうふめつ)
    いつまでもなくなることなく、残り続けること
  • 恒常不変(こうじょううふへん)
    何があろうとも決して変わりえない現実
  • 不朽不滅(ふきゅうふめつ)
    後世まで長く残り、滅びることが無いこと
すべての対義語に「いつまでも変わらない」というニュアンスが含まれています。

「諸法無我」のまとめ

以上、この記事では「諸法無我」について解説しました。

読み方諸法無我(しょほうむが)
意味すべてのものは互いに影響をしながら出来上がっている
由来仏教用語より
類義語諸行無常
対義語千古不易、永久不滅、恒常不変

「諸法無我」は、日常会話ではあまり馴染みのない言葉ですが、仏教用語としては非常に重要な言葉だと言えます。

「諸行無常」との違いに注意しながら、意味や使い方をしっかり確認しておきましょう。