「推敲」の意味とは?読み方は?使い方から類語や英語まで例文付きで

言葉

今回ご紹介する言葉は、故事成語の「推敲」です。

「推敲」の意味、由来、例文、類義語、英訳についてわかりやすく解説します。

☆「推敲」をざっくり言うと……

読み方推敲(すいこう)
意味文章を何度も練り直すこと
由来賈島が詩に「推す」を使うか、「敲く」を使うか迷ったことから
類義語精査、添削、校正など
英語訳work on one’s manuscript to improve the wordingなど

「推敲」の意味をスッキリ理解!

推敲(すいこう):文章を何度も練り直すこと

「推敲」の意味を詳しく

「推敲」とは、文章を何度も練り直すことです。

つまり、一度書いた文章をじっくり見て考え、おかしなところや直したほうがいいところがないか探しながら直していく作業が「推敲」です。

レポート、小説、論文などを直す時に使われることが多いです。

なお、「推敲」は他人が行う作業ではなく、文章を書いた本人が行う作業です。

 

「推敲」を構成する漢字には以下のような意味があります。

「推敲」の漢字の意味
  • :何かを前に押し出す
  • :物に衝撃を与える

どうしてこのような漢字が「文章を何度も練り直す」という持つようになったのでしょうか。

それを明らかにするために、次は「推敲」の由来を見ていきましょう。

「推敲」の由来

「推敲」の出典は『唐詩紀事(とうしきじ)』という本です。

この本は中国の唐の時代の詩と詩にまつわる話などをまとめた本なのですが、この中に以下のような話が出てきます。

唐の時代、科挙という官吏登用試験を受けるために、遠路はるばるやってきた人物がいました。

彼の名前を賈島(かとう)と言います。

彼はロバに乗って試験会場へ向かっていたのですが、移動時間に詩を作っていました。

 

そんな時、彼は「僧は推す月下の門」という句を思いつき、それを口ずさみました。

すると、「推す」のほかに「敲(たた)く」という語も思いついてしまい、どちらにするか迷ってしまいました。

そして、手綱をとるのも忘れ、手で門を押すまねをしたり、敲く真似をしたりしましたが、なかなか決まりませんでした。

 

彼はあまりにも夢中になっていたので、向こうから役人の列がやってきたのにも気づきません。

そして、その列に突っ込んでいってしまいました。

運の悪いことに、その列は長安の都知事である韓愈(かんゆ)の列でした。

よって、彼はとらえられ、韓愈の前に連れていかれたのです。

 

賈島が列に突っ込んでいってしまった理由を話すと、韓愈は怒ることもなく、「これは『敲く』のほうがいいだろう。月下に音を響かせる風情があっていい」とアドバイスしたのです。

実は、韓愈は漢詩が上手なことで有名でした。

賈島は結局、韓愈のアドバイスに従って、「敲く」を採用しました。

これが、「推敲」の由来です。

科挙

科挙とは、中国で598年から1905年まで行われていた官僚登用試験です。

科挙は家柄や身分に関係なく誰でも受験できる公平な試験で、才能ある個人を発掘するのが目的でした。

そして、科挙の人気は高く、3,000倍の倍率になることもあったようです。

「推敲」の例文

  1. 文章を書いたら、よく推敲するべきだ。
  2. 推敲推敲を重ねて、ついに会心の一句を完成させた。
  3. 彼には推敲中にあちこちを歩き回る癖がある。

上記の例文のように、「推敲」は以下のような表現で使用されることが多いです。

「推敲」のよくある言い回し
  • 推敲する
  • 推敲を加える
  • 推敲中
  • (推敲に)推敲を重ねる

ちなみに、「推敲中」とは、「推敲」をしている最中のことで、「推敲を重ねる」とは長い時間をかけて試行錯誤して「推敲」を行うことを表します。

「推敲」の類義語

「推敲」には以下のような類義語があります。

  • 添削:文章などを削ったり書き直したりして改善すること
  • 校正:原稿の誤りや不備を正すこと
  • 校閲:原稿などの誤りや不備をしらべること
  • 精査:詳しく細かに調べること
  • 訂正:誤りを正しくなおすこと
  • 修正:よくない点を改め直すこと
  • 改定:以前のものを改めて新しくすること
  • 加筆:文章などに書き加えること
  • 手直し:よくない所を直すこと
  • リライト:文章を書き直すこと

「推敲」と「校正」「校閲」の違い

「推敲」と「校正」「校閲」には以下のような違いがあります。

  • 推敲:文章の作成や本人が行う
  • 校正・校閲:編集者や校正・校閲を担当する人が行う

「推敲」と「校正」「校閲」は「文章を改善する」という意味は同じなのですが、作業する人が異なるのです。

また、「推敲」が主に内容の変更を行う作業なのに対して、「校正」「校閲」は主に内容には関係のない間違いを正す作業です。

「推敲」の英語訳

「推敲」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • work on one’s manuscript to improve the wording
    (語を改善するために草稿を見直す)
  • polish
    (文章を改善する)
  • refine
    (洗練する)
  • improve
    (向上させる)
  • rewrite
    (書き直す)
  • elaboration
    (推敲)

まとめ

以上、この記事では「推敲」について解説しました。

読み方推敲(すいこう)
意味文章を何度も練り直すこと
由来賈島が詩に「推す」を使うか、「敲く」を使うか迷ったことから
類義語精査、添削、校正など
英語訳work on one’s manuscript to improve the wordingなど

「推敲」は文章を書く人にとって、とても大切な作業です。

欠かさないようにしたいものですね。

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和佐 崇史
文章を書くこと、読むことが大好きな大学生です。中学2年生で漢検2級を取得するなど、言葉については詳しい自信があります。Webライターとしてはこれまで累計1,000記事以上を執筆してきました。