今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「四面楚歌(しめんそか)」です。
言葉の意味、使い方、由来、類義語、対義語、英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「四面楚歌」をざっくり言うと……
読み方 | 四面楚歌(しめんそか) |
---|---|
意味 | 助けがなく、周りが敵だらけである状態 |
由来 | 垓下の戦いでの出来事 |
類義語 | 孤軍奮闘、孤立無援、僑軍孤進など |
対義語 | 一致団結、呉越同舟、和衷共済 |
英語訳 | have the whole world against one. (世界中が敵対している) など |
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「四面楚歌」の意味をスッキリ解説!
「四面楚歌」の意味を詳しく
「四面楚歌」は、助けがなく、周りが敵だらけである状態という意味を持つ四字熟語です。
「敵」は、戦争で使う言葉のような印象を与えますが、戦争以外の場面でも使います。
周囲の人間が全く賛同してくれないような状況も、「敵に囲まれていて、味方がいない状態」と捉え、「四面楚歌」であると表すことができます。
「四面楚歌」の使い方
- 彼の傲慢(ごうまん)な態度は周囲の人間から反感を買い、味方がいなくなってしまった。まさに四面楚歌といった状況だ。
- 私の意見に賛同した人は1人もおらず、まさに四面楚歌であった。
- 親からも、教授からも、友人からも「将来はどうするのだ」と詰め寄られ、私は今、まさに四面楚歌の状態だ。
このように「四面楚歌」は「周りが敵だらけで、誰も味方してくれない」という状況を表す言葉として用いられます。
例文からもわかるように、基本的にポジティブな意味で使うことはありません。
「四面楚歌」の由来
『史記』(※)という書物で、紀元前202年の中国で行われた「垓下(がいか)の戦い」という出来事について記されています。この記録が「四面楚歌」という言葉の由来なのです。
この「垓下の戦い」とは項羽(こうう)という武将が率いる「楚」という国と劉邦(りゅうほう)という武将が率いる「漢」という国の戦争です。
劉邦に追い詰められた項羽は、垓下という地で漢軍に何重にも包囲網を敷かれてしまいます。
夜になると、周りを囲んでいるのが漢軍の兵士であるはずなのに、四方から楚の国の歌が聞こえてきます。
これを聞いた項羽は、自国の兵士(楚軍の兵士)が敵軍に降伏したのかと思い、絶望します。
「四面楚歌」という言葉は、4つの面、つまり全方位から敵軍に囲まれた自国(楚国)の民の歌が聞こえてくる状況のことを表しています。
そこから転じて、「助けがなく、周りが敵だらけ」という意味を持つ言葉になったのです。
- 『史記』(※):紀元前100年頃に司馬遷(しばせん)によって記された中国の歴史書。
「四面楚歌」の類義語
「四面楚歌」には以下のような類義語があります。
- 孤軍奮闘(こぐんふんとう):味方のいない状況で、1人で懸命に戦うこと
- 孤立無援(こりつむえん):頼れる存在がなく、一人ぼっちで助けのないさま
- 僑軍孤進(きょうぐんこしん):誰からの助けもなく、孤立した状態で進軍すること
- 無根無蔕(むこんむてい):頼みとするものや支えとなるものが何もないさま
「四面楚歌」の対義語
「四面楚歌」には以下のような対義語があります。
- 一致団結(いっちだんけつ):たくさんの人が1つの目的のために結束すること
- 呉越同舟(ごえつどうしゅう):仲の悪いもの同士や敵同士が同じ状況にいたり、行動をともにすること。また、敵対していてもいざという時には利害や目的のために協力し合うこと。
- 和衷共済(わちゅうきゅうさい):心を合わせて協力すること
「四面楚歌」の英語訳
「四面楚歌」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- be forsaken by everybody
(みんなに見捨てられた) - have the whole world against one
(世界中が敵対している) - be amidst enemies
(敵軍の真ん中だ)
まとめ
以上、この記事では「四面楚歌」について解説しました。
読み方 | 四面楚歌(しめんそか) |
---|---|
意味 | 助けがなく、周りが敵だらけである状態 |
由来 | 垓下の戦いでの出来事 |
類義語 | 孤軍奮闘、孤立無援、僑軍孤進など |
対義語 | 一致団結、呉越同舟、和衷共済 |
英語訳 | have the whole world against one. (世界中が敵対している) など |
「四面楚歌」はあまり望ましい状況ではありません。
そんな状況に陥ることがないように、日頃から注意しましょう。