今回ご紹介する言葉は、カタカナ語の「センチメンタル」です。
「センチメンタル」の意味・「センチメンタル」がつく言葉・使い方・語源・類義語・対義語についてわかりやすく解説します。
☆「センチメンタル」をざっくり言うと……
英語表記 | センチメンタル(sentimental) |
---|---|
意味 | 感傷的になりやすいこと・気持ちや心や弱いさま |
センチメンタルがつく言葉 | センチメンタリズム、センチメンタリストなど |
語源 | ラテン語の “sentire(感じる)” から |
類義語 | おセンチ、豆腐メンタル、ガラスのハート、メンブレなど |
対義語 | 理性的、論理的 |
このページの目次
「センチメンタル」の意味をスッキリ理解!
「センチメンタル」の意味を詳しく
「センチメンタル」には、以下のような意味があります。
- 精神が傷つきやすく、悲しむ様子
- 気持ちや心が弱い様子
「精神が傷つきやすい様子」という意味
「センチメンタル」は、精神が傷つきやすい様子を表します。
「気持ちや心が弱い様子」という意味
「センチメンタル」は、単なる悲しい気持ちではなく、「心が弱って感傷的になること」も表しています。現代の若者言葉である「メンブレ」と似た意味を持っています。
「感傷的」とは、もの悲しい気分に陥ることです。
このように、「センチメンタル」は打算的と捉えられ、冷たい印象を与えがちな言葉ですが、本来はポジティブな意味を持っています。
「気持ちだけが感傷的になっている様子」を指す場合のみ使用しましょう。
「センチメンタル」がつく言葉
「センチメンタル」を使用した言葉には、以下のようなものがあります。ただし、これらの言葉が使われることはあまり多くありません。
- センチメンタリズム(sentimentalism)
「感情主義」と呼ばれ、感傷におぼれる心理的傾向や態度 - センチメンタリスト(sentimentalist)
すぐ感傷的になる人、涙もろい人 - アンチ・センチメンタリスト(anti-sentimentalist)
感傷的なことを嫌う人 - センチメンタルジャーニー
イギリス人小説家ローレンス・スターンによる1768年出版の小説
「センチメンタル」がつく楽曲
日本の音楽業界では、以下のように、アルバムやシングルのタイトルとして「センチメンタル」が使われることが多いです。
- 井上陽水のアルバム名(1972年)
- 岩崎宏美のシングル名(1976年)
- ゆずのシングル名(1999年)
- CooRieのシングル名(2004年)
- スピッツの楽曲名(1998年,アルバム「フェイクファー」に収録)
- 平井堅の楽曲名(2004年,アルバム「SENTIMENTALovers」に収録)
また、タイトルの一部として「センチメンタル」が使われている楽曲もあります。
- センチメンタルジャーニー:松本伊代の楽曲(1981年)
- センチメンタルカンガルー:渡辺美里の楽曲(1988年)
- センチメンタルジャーニー:YUKIの楽曲(2003年)
- センチメンタルトレイン:AKB48の楽曲(2018年)
- センチメンタルクライシス:halcaの楽曲(2018年)
「センチメンタル」の使い方
- 失恋したせいでセンチメンタルになっている。
- センチメンタルな気分のまま川辺を歩いた。
- この曲はセンチメンタルな気分の時に聞くと癒やされる。
①は、「失恋をして心が弱っている様子」を表しています。人は大切なものを失った場面で、心や気持ちが弱り、傷つきやすくなります。その状態を「センチメンタル」と表現します。
このように、「センチメンタル」は、切ない気持ちになったときや、思い出に浸るときなどに使います。
心細いときや傷ついたときにも使いますが、すでに解説したとおり、センチメンタルはあくまでも気持ちが感傷的な様子を表すため、考え方がネガティブであること表しません。
「センチメンタル」の語源
センチメンタルはラテン語の “sentire(感じる)” が語源です。
“sentire” は英語にも派生し、“sentimental(感傷的な)” という英語が生まれました。
“sentimental” は、名詞の “sentiment” (感傷・情緒・多感)に、接尾辞の “-al” が加わった形容詞です。“sentimental” には、以下の様な意味があります。
- 感傷的な
- 涙もろい
- 情にもろい
- 多感な
- 感情的な
“sentimental” をカタカナで読んだかたちとして、「センチメンタル」が生まれました。
ちなみに、“sentimental” は以下のような使い方をすることができます。
- sentimental movie
(センチメンタルな映画) - sentimental person
(センチメンタルな人)
「センチメンタル」が広まった背景
18世紀にイギリス人小説家のローレンス・スターンが、1768年に出版した代表作「センチメンタル・ジャーニー」も由来の1つとなっています。
「センチメンタル・ジャーニー」は、これまでの書物とは少し異なり、人々の心や感傷をリアルに表現しています。
そこから「センチメンタル」という言葉が広まるようになりました。
「センチメンタル」の類義語
センチメンタルには以下のような類義語があります。
「おセンチ」の意味
「おセンチ」は、「センチメンタル」を略し、尊敬の意を表す接頭語「御(お)」をつけて成り立った熟語です。「感傷的で涙もろい様子」を意味しています。
昭和初期の女学生が使ったのが始まりとされていて、1970年代後半辺りから、世の中に広く普及しました。
「センチメンタル」と「豆腐メンタル」の違い
「豆腐メンタル」は、少しのことでダメージを受けるような、弱い精神を表します。
豆腐が柔らかく、崩れやすいという弱点をもっていることから生まれた言葉です。
「豆腐メンタル」は、いわゆる俗語として使われる言葉です。「豆腐のメンタル」とも言います。
なお、「センチメンタル」との違いは、以下のようにまとめることができます。
- センチメンタル
あくまで「気持ちだけが感傷的な様子」を表すので、根本的な精神の強さは表わさない。 - 豆腐メンタル
あくまで「精神が弱い」ことを表す。感傷的な様子かどうかは表わさない。
③の「ガラスのハート」は、「人間の傷つきやすい心」と「割れやすいガラス」を組み合わせた熟語です。「すぐに壊れてしまいそうな心(ハート)」という意味を持っています。
④の「メンブレ」は、精神が壊れるという意味の「メンタルブレイク」の略で「精神的につらい状況」を表しています。 新しい若者言葉として高校生や大学生のなかで頻繁に使用されています。
「センチメンタル」と「エモーショナル」の違い
「エモーショナル」は、「センチメンタル」よりも広義で「感情的な様子」を表します。
わかりやすくまとめると、以下のような違いがあります。
- センチメンタル
「感情的」という様子のなかでも特に「感傷的」な部分を表す - エモーショナル
感情的であることを広く表す。
「センチメンタル」の対義語
センチメンタルには以下のような対義語があります。
- 理性的:感情ではなく、理性に基づいて冷静に判断すること
- 論理的:筋道を立てて考えること
まとめ
以上、この記事では「センチメンタル」について解説しました。
英語表記 | センチメンタル(sentimental) |
---|---|
意味 | 感傷的になりやすいこと・気持ちや心や弱いさま |
センチメンタルがつく言葉 | センチメンタリズム、センチメンタリストなど |
語源 | ラテン語の “sentire(感じる)” から |
類義語 | おセンチ、豆腐メンタル、ガラスのハート、メンブレなど |
対義語 | 理性的、論理的 |
「センチメンタル」は、心が弱って傷つきやすくなっている状態を表した熟語です。
私たちが生きている中で「センチメンタル」な感情になることは少なくありません。
多くの言い換え表現も存在しているため、その場の状況や話す人によって使い分けていくことが大切です。