今回ご紹介する言葉は、故事成語の「股(もも)を割(さ)きて腹(はら)を満(み)たす」です。
言葉の意味・例文・由来・類義語・英語訳について、わかりやすく解説します。
☆「股を割きて腹を満たす」をざっくり言うと……
読み方 | 股(もも)を割(さ)きて腹(はら)を満(み)たす |
---|---|
意味 | 自分の利益を追求した結果、返って自分の身を滅ぼしてしまうこと |
由来 | 中国の子供向けの歴史書『十八史略』より |
類義語 | 自業自得、因果応報、情けは人の為ならず |
英語訳 | As you sow, so shall you reap. |
このページの目次
「股を割きて腹を満たす」の意味
「股を割きて腹を満たす」の意味を詳しく
「股を割きて腹を満たす」とは、他人のことを思いやらずに自分の利益を優先する行動を続けた結果、自分の身を滅ぼしてしまうことを指す故事成語です。
また、人民から資産を奪い苦しい生活をさせて、自分は豊かな暮らしをしている王が滅びることを指す場合もあります。
自分がしたことはいずれ自分に返ってくるから、行動に気を付けるべきだという教訓です。
「股を割きて腹を満たす」の例文
「股を割きて腹を満たす」は、文中では以下のように使われます。
- 股を割きて腹を満たすと言うから、目先の利益にばかり囚われるのはやめるべきだ。
- あの政治家は自分の財産ばかり気にしていたから落選したのだ。股を割きて腹を満たすだ。
類義語である「自業自得」と同じような使い方をされることが多くあります。
「股を割きて腹を満たす」の由来
中国の『十八史略』という、曾先之(そうせんし)という人物によってまとめられた、子供向けの歴史書が由来になっています。
以下は原文の一部と、その現代語訳です。
「君依於国、国依於民。
刻民以奉君、猶割肉以充腹。
腹飽而身斃、君富而国亡矣。」
「君主の存在は国によって成り立つ。国の存在は人民によって成り立つ。
重い税を人民に払わせ、その利益で君主が豊かな暮らしをすることは、自分の体を切って食べ、空腹を満たすのと同じである。
例え満腹になったとしても、倒れてしまう。同じように、君主がいくら栄えても、人民を犠牲にしては国が滅んでしまうだろう。」
この話から分かるように、『十八史略』という本は、歴史を元にして子供に道徳を教える、教科書の様な役割を持っています。
この話の続きでは、孔子が、人民を犠牲にしてぜいたくをしたために国を滅ぼした王の代表例として、夏という国の桀王と紂王を挙げました。
桀王は、酒の池に船を浮かべ、山の様な肉を用意して、日々豪華な宴会を行ったという話が残っています。
この宴会の様子は、「肉山脯林(にくざんほりん)」という四字熟語になっています。
紂王は、妲己という美しい女性に惚れこんでしまい、言いなりになった結果、国を滅ぼしてしまいました。なかでも、酒を大きな瓶にためて池に見立て、肉を天井から吊るして林に見立てた部屋で宴を行うなど、行き過ぎたぜいたくをした話が有名です。
これは「酒池肉林(しゅちにくりん)」という四字熟語の由来になっています。
「股を割きて腹を満たす」の類義語
「股を割きて腹を満たす」には、以下のような類義語があります。
- 自業自得(じごうじとく):悪い行いをしたら、その報いが自分に返ってくること
- 因果応報(いんがおうほう):良い行動には良い結果が、悪い行動には悪い結果が得られること
- 情(なさ)けは人(ひと)の為(ため)ならず:人に親切にすれば、巡り巡って自分に返ってくること
良いことも悪いことも、いずれ自分に返ってくるから普段の行いに気を付けようという意味の言葉は数多くあります。場面によって適切に使い分けていきましょう。
「股を割きて腹を満たす」の英語訳
「股を割きて腹を満たす」は、英語では以下のように表されます。
- As you sow, so shall you reap.
(種をまいたら、自分で刈り取ることになる)
これは英語のことわざで、自分がしたことは必ず自分の身に返ってくるという意味を表しています。
また、“retribution”という単語は、「報い」という意味を表します。そのため、この一語だけでも「股を割きて腹を満たす」に近い意味を伝えることができます。
まとめ
以上、この記事では「股を割きて腹を満たす」について解説しました。
読み方 | 股(もも)を割(さ)きて腹(はら)を満(み)たす |
---|---|
意味 | 自分の利益を追求した結果、返って自分の身を滅ぼしてしまうこと |
由来 | 中国の子供向けの歴史書『十八史略』より |
類義語 | 自業自得、因果応報、情けは人の為ならず |
英語訳 | As you sow, so shall you reap. |
同じような意味の言葉が多くあるということは、それだけ大切な教えであるということです。普段から、良い行いを心がけていきましょう。