レジュメとは「内容を要約したもの」という意味です。
大学の授業でレジュメの提出を求められたものの、どう書いていいかわからないという方も多いのではないでしょうか。
そうかと思えば、就職活動やビジネスの場でもレジュメという言葉が使われていて、余計に混乱した人もいるかもしれませんね。
この記事では、レジュメの意味に加えて、業界別のレジュメの使われ方の違いや、レジュメの書き方のコツも紹介します。
「レジュメ」の意味
内容を要約したもの
例:各自、担当する論文のレジュメを提出するように。
レジュメとは「内容を要約したもの」です。まれに「レジメ」と呼ぶ人もいます。
この「内容」が何を指すかによって、レジュメの意味が変わります。
レジュメという単語がよく使われる分野を例に、どのような意味で使われているかを確認しましょう。以下の通りです。
分野 | 学校など | 就活分野 | ビジネス分野 |
---|---|---|---|
意味 | 論文や教育テーマなどの要約 | 履歴書や職務経歴書、自己アピール用書類など | 会議の参考資料 |
このように、それぞれの場面に応じて求められている内容を要約したものがレジュメになります。
それぞれの分野におけるレジュメの意味を、詳しく見ていきましょう。
意味①:学校など
学校などでのレジュメの意味は「論文や教育テーマなどの要約」です。
主に発表者が講義や講座などで話す内容を簡潔にまとめたものを指します。「講義レジュメ」とも呼ばれます。
また、論文などの内容を要約したレジュメを作るように、教授が学生に指示を出すこともあります。
いずれにせよ、論理的な繋がりは損なわない程度に簡潔にまとめることが大切になります。
意味②:就活分野
就活分野でのレジュメの意味は「履歴書や職務経歴書、自己アピール用書類など」です。
もとは外資系企業で使われていた使い方であり、外資系企業の日本への進出に伴って日本でも広く使われるようになりました。
特に外資系企業の場合、いわゆる履歴書だけではなく、職務経歴書や自己アピール書類など、会社によって重視する書類やフォーマットが異なります。
そのため、「レジュメを提出してください」と言われたら、どのような資料の提出が求められているのかをはっきりさせる必要があります。
意味③:ビジネス分野
ビジネス分野でのレジュメの意味は「会議の参考資料」です。
会議の日時や場所、議題の概要などをレジュメにまとめておくことで、参加者は会議がどう進むのかをすぐ理解することができます。
「レジュメ」の例文
レジュメの例文を、分野別に見ていきましょう。
例文①:学校など
学校などでは、以下のような例文があります。
- 今日の講義のレジュメを配布します。
- それではBさんは、発表日までにレジュメを作ってきてください。
- 課題論文を要約したレジュメを作っておくこと。
①では、レジュメは「講義内容の要約」という意味で使われています。
②も「発表内容の要約」という意味で使われていますが、こちらはBさんという学生の発表者に教授が「レジュメを作るように」と指定している文です。
③では、レジュメは「課題論文の内容の要約」という意味で使われています。
このように、レジュメは「何らかの内容の要約」という意味で使われます。
例文②:就活分野
就活分野では、以下のような例文があります。
- 良いレジュメを作ることは、採用への大きな一歩だ。
- レジュメは履歴書とは異なり、自分をいかにアピールするかが最も大切だ。
- 外資系企業のレジュメは日本とフォーマットが異なる。
特に①では、レジュメがほぼ「履歴書」のような意味で使われています。
②は、レジュメと履歴書の違いを書いた文章です。「レジュメ」の提出を求められた場合、履歴書のような形式的な書類よりも、自己アピールができる書類が求められていることが多いです。
③は、外資系企業のレジュメと日本の履歴書のフォーマットの違いについて書いた文章です。
実際に外資系企業と日本の企業だと、履歴書のフォーマットが大きく異なることがあるので、注意が必要です。
いずれにせよ、就活で「レジュメ」と言われた場合は、どのような書類が求められているのかを必ず確認しましょう。
例文③:ビジネス分野
ビジネス分野では、以下のような例文があります。
- 明日の会議のレジュメを作っておいてほしい。
- 良いレジュメがあると、取引先にも自社製品の魅力が伝わりやすくなる。
- プレゼンのために用意したレジュメが長すぎてしまった。
①では、レジュメを「会議のまとめ資料」という意味で使っています。
それに対し、②は、レジュメを「自社の製品を売り込む際のまとめ資料」という意味で使っています。
③も②と同様に、レジュメが「プレゼンのまとめ資料」という意味で使われています。
このように、ビジネス分野では、会議の場でもプレゼンや営業の場でもレジュメという単語が使われます。
かつて使われていた学生用語に、「レジュメを切る」というものがあります。
これは、「レジュメを作成する」という意味の表現です。
なぜ「切る」が使われるかについては、以下の2つの説があります。
- 全体の内容を要約することから
- 全共闘時代の学生が「ガリ版を切る」という表現を使っていたことから
なお、現在はそこまでよく使われる表現ではありません。
「レジュメ」の語源
レジュメの語源は英語の “resume” もしくは “résumé” です。
“resume” は、「概要」「履歴書」という意味の名詞、あるいは「再開する」「回復する」という意味の動詞として使われます。
“resume” の語源はさらに辿ることができます。時系列順に並べると、以下の通りに変化しています。
- ラテン語の “resumo” (再び取る)
- フランス語の “résumer” (再び始める)
- 英語の “resume” (再開する)
英語の “resume” の発音は「レジメ」や「レジューム」に近く、「レジュメ」とは異なります。
そのことから、レジュメを「レジメ」と呼ぶ人もいます。
「レジュメ」の類義語
レジュメには以下のような類義語があります。
「アジェンダ」と「レジュメ」との違い
アジェンダとレジュメの違いは、以下の通りです。
- アジェンダ
進行表など、それに沿って物事を進める資料のこと - レジュメ
物事の中身を要約して書いたもののこと
たとえば、会議や講演会などを想定した場合、アジェンダには講師紹介やテーマ紹介、タイムスケジュールなどが記載され、レジュメには講演会の内容の概略が記載されます。
また、アジェンダとレジュメは会議の性質によってどちらが重視されるかが変わります。一方的なプレゼンや発表などではレジュメがよく使われ、会議ではアジェンダの方がよく使われます。
「レポート」と「レジュメ」との違い
レポートとレジュメの違いは、以下の通りです。
- レポート
(自分の考察なども含む)報告書のこと
長くなることも多くある - レジュメ
自分の考察はあまり含まず、物事の中身を要約して書くもののこと
簡潔にまとまっている
レポートは自分の考察を含むことも多く、長くても構いませんが、レジュメは短くまとまっていることが大切です。
また、研究発表などではレポートとレジュメが併用されることもあります。レポートは厚めの冊子などで配り、それを要約したレジュメは別で配るという形です。
「サマリー」と「レジュメ」との違い
サマリーとレジュメの違いは、以下の通りです。
- サマリー
要約文のこと - レジュメ
要約した書類のこと
サマリーを集めたものがレジュメだと覚えておくと良いでしょう。
「ダイジェスト」と「レジュメ」との違い
ダイジェストとレジュメの違いは、以下の通りです。
- ダイジェスト
要約したもの全般のこと - レジュメ
要約がまとまった書類
例を挙げると、たとえばスポーツ番組などでも、「好プレーのダイジェストです」などという表現が使われ、好プレーだけがまとまったものが放送されることがあります。
レジュメはこのような使い方はせず、あくまで書類を指します。
「レジュメ」の英語訳
レジュメの英語訳には、以下のようなものがあります。
- resume
(履歴書) - summary
(要約) - abstract
(概略) - handout
(配布物)
「レジュメ」の書き方
レジュメの書き方を、分野ごとに説明します。
書き方①:学校など
学校などでは、レジュメには以下の内容を含むことが多いです。
- タイトル
- 論文などの発表日時
- 発表者と教育担当者の氏名
- 論文と発表の目的
- 論文や発表の目次
- それぞれの見出しの内容を1文程度にまとめた概要
- 参考文献
学校などでの「レジュメ」の例
学校などでのレジュメの例を挙げると、以下のようになります。
「レジュメという言葉の意味の変遷(へんせん)について」
発表日:2022/1/30
発表者:K大学文学部言語学科 D研究室
12-345678 田中理恵
1.発表の目的
レジュメという言葉がどのように変化して現在の意味になったのかを明らかにする。
2.resumeの由来
ラテン語で “re” と “sumo” が組み合わさった “resumo(再び取る)” から、フランス語の “résumer(再び始める)” が生まれ、のちに英語の “resume” になった。
3.カタカナ語としての定着
英単語で使われていた “resume” が日本でもカタカナ語として定着したが、英語ではあまり使われない用法でも使われるようになった。
……
参考文献
・『resumeの言葉の由来について』,佐藤,1998,XX出版
・『レジュメという言葉はなぜカタカナ語として定着したか?』,鈴木,2010,YY出版
書き方②:就活分野
就活分野では、レジュメは大まかには履歴書や職務経歴書と同じであるため、以下の内容を含むことが多いです。
- 氏名
- 住所
- 生年月日
- 学歴
- 職歴
- 自己PR
- 志望動機
- 希望条件
- 自己アピールをしっかりする
ただの事実の列挙にならないように注意 - 英語のレジュメは形式が異なることも多い
テンプレートを活用する
書き方③:ビジネス分野
ビジネス分野では、レジュメには以下の内容を含むことが多いです。
- 会議日時
- 会議場所
- 出席者の氏名
- 会議の議題
- 会議の流れやスケジュール
- 話すテーマごとの簡単な説明文
なお、ビジネスにおけるレジュメは簡素すぎても具体的すぎてもよくありません。
簡素すぎた場合は参加者に「たいしたことがない」と思われ、逆に具体的すぎるとレジュメを見るのに一生懸命になってしまい、会議が実のあるものにならないためです。
ビジネス分野の「レジュメ」の例
ビジネス分野でのレジュメの例を挙げると、以下のようになります。
「企画Aの予算について」
日時:2022/1/30
場所:第二会議室
参加者:企画A開発チーム、経理
関係資料作成:田中理恵
<配布資料>
・レジュメ
・企画書
・昨年度会計資料
<会議内容>
1.企画Aに関する概要説明(13:30〜13:45)
2.昨年度会計と本年度予算の見通しに関する説明(13:45〜14:00)
3.質疑応答(14:00〜14:30)
4.予算決定に関する議論(14:30〜15:00)
5.質疑応答、まとめ(15:00〜15:30)
「レジュメ」のまとめ
以上、この記事ではレジュメについて解説しました。
英語表記 | レジュメ(resume) |
---|---|
意味 | 内容を要約したもの |
語源 | 英語の “resume” |
類義語 | アジェンダ レポート サマリー など |
英語訳 | “handout” など |
分野別の意味の違いや書き方なども覚えておきましょう。