今回ご紹介する言葉は、熟語の「億劫(おっくう)」です。
言葉の意味・使い方・語源・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「億劫」をざっくり言うと……
読み方 | 億劫(おっくう) |
---|---|
意味 | 面倒くさがって、気が進まないさま |
語源 | 仏教語での最長時間の単位 |
類義語 | 面倒、厄介、大儀など |
対義語 | 刹那、熱心、懸命など |
英語訳 | hassle(厄介なこと) |
「億劫」の意味をスッキリ理解!
「億劫」の意味を詳しく
「億劫」は、「面倒で気乗りがしないさま」を意味します。
基本的に「おっくう」と読みますが、「おっこう」と読むこともあります。
「おっこう」と読む時には仏教用語の「億劫」を指していることが多いです。
何かをすることがわずらわしく、実行する気にならないさまを「億劫」と表現します。
「億劫」は方言ではない
「億劫」は方言ではありません。
確かに、甲州弁で「面倒くさい」という意味の「億劫がる」という表現はあります。
しかし、「億劫」は仏教用語から来た言葉であり、方言が由来ではありません。
「億劫」の使い方
- 雨の日に出かけるのは、億劫だ。
- 彼女は、億劫そうに返事をした。
- 歩くのが億劫になり、途中でタクシーを拾った。
上記の例文のように、「億劫」は以下のような言い回しで用いられることが多いです。
- 億劫になる
- 億劫である
- 億劫に感じる
- 億劫なほど
- 億劫そう
「億劫」の語源
「億劫」は、もともと「非常に長い時間」のことを意味する仏教語です。
「億劫」の「劫」という漢字は、“kalpa” というサンスクリット語を音訳したものです。
サンスクリット語とは、古代インドで使われた言葉のことです。 “kalpa ” は、時間を表す単位でした。
1kalpa、つまり一劫(いちこう)とは、「100年に一度しか現れない天女が、岩に降りて羽衣でその岩をなで、摩擦でその岩がなくなるまでの時間。またはそれ以上」のことです。
この一劫を億倍した時間のことを、「億劫(おくこう、おくごう)」と言います。
このように、非常に長い時間を意味することから、「時間のかかることは気が進まない」や「時間がかかることは面倒だ」という意味で使われるようになりました。
読み方は、「おくこう」が「おっこう」になり、さらに「おっくう」へと変化していきました。
「億劫」の類義語
億劫には以下のような類義語があります。
- 面倒(めんどう):わずらわしいこと
- 厄介(やっかい):手間がかかり、迷惑なさま
- 煩雑(はんざつ):複雑でわずらわしいさま
- 不精(ぶしょう):精を出さずに、なまけること
- 大儀(たいぎ):気が進まず、めんどうに思うこと
- 倦怠(けんたい):嫌になって飽き飽きすること
- 無気力(むきりょく):気力が欠けていること
- ものぐさ:物事をするのを面倒臭がること
「大儀」の場合は、手間がかかることと、それを嫌がる心情の両方を表現できます。
「億劫」と「面倒」の違い
「面倒」とは、「わずらわしいこと」という意味です。
「億劫」と「面倒」には以下のような違いがあります。
- 億劫:物事を行う気力がわかない
- 面倒:手続きが多くて時間がかかること
つまり、「億劫」が「やる気が起きない」という心情のことを表すのに対して、「面倒」は「手間がかかる」という事実のことを表しているのです。
そして、「億劫」だと感じる物事は必ずしも「面倒」なわけではありません。
場合によっては簡単なことであっても「億劫」だと感じることもあるでしょう。
「億劫」の対義語
億劫には以下のような対義語があります。
「刹那」は、仏教語としての「億劫」の対義語です。「刹那」もまた、仏教語に由来し、「非常に短い時間」を表します。
「億劫」の英語訳
億劫を英語に訳すと、次のような表現になります。
- bothered
(迷惑する) - hassle
(厄介なこと) - unwilling
(気乗りしない) - drag
(面倒) - daunting
(気力をくじくような) - troublesome
(面倒な) - tiresome
(面倒な)
“bothered” の意味
“bothered” は “bother(悩ます)” という単語を受け身にした形です。
“I can’t be bothered.” で「面倒くさい(から嫌だ)」という意味になります。
ネイティブの会話でもよく使われる表現であるため、覚えておきましょう。
“hassle” の意味
“hassle” は「厄介なこと」という意味です。
“hassle” は、面倒な物事のことを表し、 “It’s a hassle.(面倒だ)” のように使います。
日本では、「はりきる」という意味で「ハッスル」と言うことがあります。
しかし、これは “hustle(はりきること)” という別の単語です。混同しないように注意しましょう。
“unwilling” の意味
“unwilling” は、 “willing(喜んで)” という形容詞の対義語です。
“I’m unwilling to go there.(そこに行くのは気乗りしない)” のように使います。
まとめ
以上、この記事では「億劫」について解説しました。
読み方 | 億劫(おっくう) |
---|---|
意味 | 面倒くさがって、気が進まないさま |
語源 | 仏教語での最長時間の単位 |
類義語 | 面倒、厄介、大儀など |
対義語 | 刹那、熱心、懸命など |
英語訳 | hassle(厄介なこと) |
「億劫」は、場面や人をあまり選ばずに広く使うことができます。
ぜひ、意味や類義語を覚えましょう。
また、語源を知っておくと理解が深まります。あわせて覚えましょう。