今回ご紹介する言葉は、ことわざの「濡れ手で粟(ぬれてであわ)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「濡れ手で粟」をざっくり言うと……
読み方 | 濡れ手で粟(ぬれてであわ) |
---|---|
意味 | 苦労をせずに多くの利益を得ること |
由来 | 濡れた手で粟を掴むとたくさん掴むことができることから |
類義語 | 一攫千金(いっかくせんきん)、漁夫の利(ぎょふのり)など |
対義語 | 籠で水を汲む(かごでみずをくむ)、労多くして功少なし(ろうおおくしてこうすくなし)など |
英語訳 | Make money without hardship.(苦労せずにお金を得る) |
このページの目次
「濡れ手で粟」の意味をスッキリ理解!
「濡れ手で粟」の意味を詳しく
濡れ手で粟とは、濡れた手で粟を掴めば粟粒がたくさん付いてくる様子から、苦労をせずに多くの利益を得ることのたとえとして使われています。「濡れ手に粟」とも言いますが、「濡れ手で粟」が正しい表現です。
粟(あわ)は、最近ではあまり馴染みがありませんが、穀物の一つとして米の代わりに食べられていました。粟は稲よりも早く日本に伝来し、縄文時代には栽培されていたことが確認されていることから、日本最古の穀物と言われています。
近年は健康志向の上昇により、五穀米(ごこくまい)などの米と一緒に炊いて提供する外食店が増えています。粟自体は軽い穀物なので、濡れた手にくっつきやすい性質があります。
また、「濡れ手で泡」と書いて、いくら努力しても実らないことのたとえとして用いるのは誤った使い方であるため注意しましょう。
「濡れ手で粟」の使い方
- たまたま買った宝くじが大当たりして、濡れ手で粟の大金を手にした。
- ほとんど宣伝していないのに商品が売れるなんて、濡れ手で粟とはこのことだ。
このように、苦労せずに利益を得ている状況を表す時に使用します。また、先に述べたとおり、下のような表現は誤用となります。
- こんなに努力しているのに報われないなんて、濡れ手で泡とはこのことだ。
「濡れ手で粟」の由来
濡れ手で粟の由来は、先にも述べたとおり濡れた手で粟を掴むとたくさん掴むことができる、というところからきています。「濡れ手で粟の掴み取り」とも言います。
粟の粒はとても軽くて小さいので、手で掴む場合には乾いた手よりも濡れた手の方が粟粒がくっつきやすくなり、簡単にたくさん掴むことができます。
ここから転じて、苦労をせずに利益を得ることや簡単に金儲けをすることのたとえとして、濡れ手で粟が使われるようになりました。
「濡れ手で粟」の類義語
濡れ手で粟には以下のような類義語があります。
- 一攫千金(いっかくせんきん):一攫(ひとつかみ)でたやすく大金を儲けること、大した苦労をせずに大きな利益を得ること
- 漁夫の利(ぎょふのり):当事者同士で争っている間に、第三者が苦労もせず利益を手にしてしまうこと
- 棚から牡丹餅(たなからぼたもち):思いがけない幸運を得ること、苦労せず良いものを得ること
いずれも苦労をせずに利益を得るという点において、濡れ手で粟と同様の意味合いになっています。
「濡れ手で粟」の対義語
濡れ手で粟には以下のような対義語があります。
- 骨折り損の草臥れ儲け(ぼねおりぞんのくたびれもうけ):苦労するばかりで利益はさっぱり上がらず、疲れだけが残ること
- 籠で水を汲む(かごでみずをくむ):籠で水を汲んでも、編み目から水が漏れて溜まらないことから転じて、苦労しても効果のないことのたとえ
- 労多くして功少なし(ろうおおくしてこうすくなし):苦労した割には効果が少ないこと
濡れ手で粟とは反対に、苦労しても利益が上がらないさまを表す場合に使用します。
「濡れ手で粟」の英語訳
濡れ手で粟を英語に訳すと、次のような表現になります。
- To make one’s fortune at one stroke.
(一挙に富みを成す) - Make eazy money.
(簡単にお金を稼ぐ) - Make money without hardship.
(苦労せずにお金を得る)
まとめ
以上、この記事では「濡れ手で粟」について解説しました。
読み方 | 濡れ手で粟(ぬれてであわ) |
---|---|
意味 | 苦労をせずに多くの利益を得ること |
由来 | 濡れた手で粟を掴むとたくさん掴むことができることから |
類義語 | 一攫千金(いっかくせんきん)、漁夫の利(ぎょふのり)など |
対義語 | 籠で水を汲む(かごでみずをくむ)、労多くして功少なし(ろうおおくしてこうすくなし)など |
英語訳 | Make money without hardship.(苦労せずにお金を得る) |
濡れ手で粟という言葉は、「粟」と「泡」を勘違いすることで誤用しているケースが多くあります。しっかりと正しい意味を理解して活用することをおすすめします。