なぜ牡丹餅?ことわざ「棚から牡丹餅 」の意味と使い方を解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、ことわざの「棚から牡丹餅(たなからぼたもち)」です。

「棚ぼた」という省略形で聞くことも多いでしょう。ただ、何を言いたいのか、なぜ牡丹餅なのか等、疑問を抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回の記事では、「棚から牡丹餅」の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

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「棚から牡丹餅」の意味をスッキリ理解!

棚から牡丹餅(たなからぼたもち):思いがけない幸運が舞い込んでくること

「棚から牡丹餅」の意味を詳しく


「棚から牡丹餅」とは、思いがけない幸運が舞い込んでくることを意味することわざです。「牡丹餅」は、おはぎのことです。

このことわざのポイントは、訪れた幸運が、「予想外」「計算外」「思いがけないこと」であったことです。

まったく準備もしておらず、期待もしていなかったのに、突然訪れた幸運にのみ、「棚から牡丹餅」と使います。

 

反対に言えば、予期していた幸運に対して「棚から牡丹餅」を使うことはできないのです。

たとえば、親戚のおじさんの家に遊びに行ったとしましょう。そのおじさんはお小遣いをいつもくれるとします。

この状況下で、今日もお小遣いをくれるかもしれないと期待して家に行き、実際にお小遣いをもらった場合、それは「棚から牡丹餅」ではありません。なぜなら、おじさんからお小遣いをもらえることは、ある程度予想がついているためです。

逆に、その親戚のおじさんに街中でばったり会って、お小遣いをもらった場合に「棚から牡丹餅」と言うことができます。

 

幸運は幸運でも、「予想外」「計算外」の時のみに「棚から牡丹餅」を使いましょう。

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「棚から牡丹餅」の使い方

  1. 憧れの選手に街で出くわし、握手までしてもらった。まさに棚から牡丹餅だ。
  2. 北海道に旅行をしている友達が、頼んでもいないのに蟹(かに)を突然送ってきてくれた。これは棚から牡丹餅だ。
  3. 今や日本を代表する大女優となった彼女だが、地元で遊んでいる時に偶然スカウトされたのはまさに棚から牡丹餅だった。

➀では、会いに行こうとしたわけでもない憧れの選手と出会い、そして握手まで出来た幸運を「棚から牡丹餅」と表現しています。

➁は、手に入ることをまったく期待していなかったが、蟹が送られてくるという幸運が舞い込んだということで、「棚から牡丹餅」です。

➂のように、地元で普段のように遊んでいたらスカウトされ、結果的に大女優となったのは、「棚から牡丹餅」だと言うことができます。

ちなみに、「棚から牡丹餅」を省略した「棚ぼた」を用いた「棚ぼた式」という表現もあります。幸運とされるものを修飾する言葉として機能します。たとえば「棚ぼた式の利益」といった表現があります。

「棚から牡丹餅」の由来

棚の近くで寝ていた時に、棚の上に置いていた牡丹餅がたまたま開いた口の中に入ってきたことに由来があります。

現代だと、これが幸運にあたるのかという疑問が浮かぶかもしれません。しかし、昔は砂糖などの甘いものは入手しづらく、保存もしづらいという背景もあり、牡丹餅は高価なものでした。

そのため、寝ている状態、すなわち何も構えていない状態で口に高価な牡丹餅が落ちてくるのは、非常に幸運な出来事と考えられていました。

現代であれば、他の高価な食べものが、寝ている時に思いがけず口の中に入ってくるのをイメージするとよいかもしれません。

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「棚から牡丹餅」の類義語

「棚から牡丹餅」には以下のような類義語があります。

  • 開いた口へ牡丹餅:「棚から牡丹餅」と同義。
  • 鰯網で鯨を捕る(いわしあみでくじらとる):思いがけない幸運や収穫を得ること。
  • 鰯網へ鯛がかかる(いわしあみへたいがかかる):思いがけない幸運や収穫を得ること。
  • 鴨が葱を背負ってくる(かもがねぎをしょってくる):都合がいいことが重なり、ますます好都合だということ。
  • 勿怪の幸い(もっけのさいわい):思いがけない幸運が舞い込んでくること。
  • 天然礫(つぶて)のまぐれ当たり:思いがけない幸運が舞い込んでくること。
「鰯網で鯨を取る」や「鰯網へ鯛がかかる」は、鰯を捕るための網で鯨や鯛を捕らえることを言っています。思いがけない幸運を意味しますが、ありえないことのたとえとして使われる表現でもあります。

「鴨が葱を背負ってくる」は、鴨鍋を作る際に必要な葱を鴨が自ら背負ってやってきたとしたら、鴨肉と葱が同時に揃って好都合であるということから来ています。

「勿怪の幸い」の「勿怪」とは、物の怪、つまり妖怪のことです。妖怪が現れることは思いがけないことであるため、「勿怪の幸い」で思いもよらない幸運を意味します。

「棚から牡丹餅」の対義語

「棚から牡丹餅」には以下のような対義語があります。

  • 虎穴に入らずんば虎子を得ず(こけつにいらずんばこじをえず):危険を避けていては大きな成功は得られないということ
  • 棚から牡丹餅は落ちてこない:予期しない幸運は舞い込んでこないということ
  • 蒔かぬ種は生えぬ(まかぬたねははえぬ):原因が無いのに、結果が生じることは無いということ
  • 春植えざれば秋実らず:努力をしなければ、よい結果は得られないということ

いずれの熟語も、自分から行動を起こさなければ、よい結果は生まれないということを言っています。

「虎穴に入らずんば虎子を得ず」は、虎の子を捕らえようと思ったら、虎が住んでいる穴へ入ろうとしなけらばいけないということが原義です。

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「棚から牡丹餅」の英語訳

「棚から牡丹餅」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • He thinks that roasted larks will fall into his mouth.
    (あぶられたヒバリの肉が、口の中に落ちてこないかと思っている。)
  • pennies from heaven.
    (天から降ってきたちょっとした幸せ。)
  • fall into someone’s lap.
    (~の膝の上に転がり込む。)
  • windfall
    (思いがけない授かりもの)

“lark” は、鳥のヒバリを指します。あり得ないことですが、あぶられた状態で口の中に落ちてこないかとの期待から、「棚から牡丹餅」と同じような意味で使われています。

“penny” とはアメリカの通貨である「1セント硬貨」です。これが、ちょっとした幸運を意味します。

“fall into someone’s lap.” は、「幸運」に当たるものを主語として使います。

まとめ

以上、この記事では「棚から牡丹餅」について解説しました。

読み方 棚から牡丹餅(たなからぼたもち)
意味 思いがけない幸運が舞い込んでくること。
由来 棚の近くで寝ていた時に、棚の上に置いていた牡丹餅がたまたま開いた口の中に入ってきたことから。
類義語 開いた口へ牡丹餅、鰯網で鯨を捕る、勿怪の幸いなど
対義語 虎穴に入らずんば虎子を得ず、棚から牡丹餅は落ちてこない、蒔かぬ種は生えぬ
英語訳 He thinks that roasted larks will fall into his mouth. (あぶられたヒバリの肉が、口の中に落ちてこないかと思っている。)

「棚から牡丹餅」の意味や使い方を理解することはできたでしょうか。「棚ぼた」と略して使うこともあり、多くの人にとって聞き馴染みのあることわざでしょう。

思いがけない幸運は意外と舞い込んでくるものです。しかし、対義語が多く存在するように、自分から動かないと幸運を得られない場合が多いことも事実です。

どちらのことわざも心得ておきたいものですね。

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