今回紹介する言葉はことわざの「残り物のは福がある」です。
意味や由来、類義語、英語訳などについて詳しく解説していきたいと思います。
☆「残り物には福がある」をざっくり言うと……
読み方 | 残り物には福がある(のこりものにはふくがある) |
---|---|
意味 | 他の人から選ばれず、最後まで残ったものの中に、本当に価値のあるものや良いものが残っている |
由来 | 人形浄瑠璃の作品「伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく)」 |
類義語 | 余り茶に福あり、急いては事を仕損じる、待てば海路の日和あり |
対義語 | 先んずれば即ち人を制す、先手は万手、巧遅は拙速に如かず |
英語訳 | Good luck lies in odd numbers.(残ったものの中に幸運がある。) |
このページの目次
「残り物には福がある」の意味をスッキリ理解!
「残り物には福がある」の意味を詳しく
「残り物には福がある」とは、「他の人から選ばれず、最後まで残ったものの中に、本当に価値のあるものや良いものが残っている」という意味です。「余り物にも福がある」ともいいます。
普通は先に選ばれ、早く無くなっていくものほど価値があると考えられます。しかし、このことわざは逆に残ったものにこそ、思いがけない良い物がある可能性を示しています。
「福」とは、具体的には「幸福や幸運」のことを指します。欲深く、我先にと手を出す人よりも、他の人に譲るような人に幸運が訪れる、と解釈することもできます。協調性・譲り合いの精神を重んじる日本人的なことわざであるといえます。
大多数の人が選び取ったことにより、残ったものを選ばざるを得なくなった人を励ます時などに多用されます。
「残り物のは福がある」の由来
「残り物のは福がある」の由来は、「伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく)」という人形浄瑠璃の作品です。1783年に初めて上演されました。
この作品の中に、「余り茶に福がある。然らば今一つ」というセリフがあります。この「余り茶」とは、お茶を淹れ終わった後に残った茶葉のことです。つまり意味としては「残り物には福がある」と同じであり、「残り物」をより具体的に表現した言葉であるといえます。
ここから、「残り物には福がある」へと派生していきました。
「残り物には福がある」の類義語
「残り物には福がある」には以下のような類義語があります。
- 余り茶に福あり
- 急いては事を仕損じる(せいてはことをしそんじる)
- 待てば海路の日和あり(まてばかいろのひよりあり)
- 待てば甘露の日和あり(まてばかんろのひよりあり)
- 果報は寝て待て
- 急がば廻れ
「残り物には福がある」の対義語
「残り物には福がある」には以下のような対義語があります。
- 先んずれば人を制す(さきんずればひとをせいす)
- 先手は万手(せんてはまんて)
- 巧遅は拙速に如かず(こうちはせっそくにしかず)
「残り物には福がある」の英語訳
「残り物には福がある」を英語に訳すと、次のような表現になります。
・Good luck lies in odd numbers.
(残ったものの中に幸運がある。)
・Last but not least.
(最後だが、重要なもの。)
・Sometimes the lees are better than the wine.
(ワインよりもワインのかすのほうが良いこともある。)
「残り物のは福がある」の例文
- 八百屋には、黒ずんだバナナが1本だけ残っていた。残り物には福があると思い、それを買った。
- 「商店街のくじ引き、残り1回だって。残り物には福があるって言うし、やってみなよ。」
➀では、普通の人なら嫌がるような商品を気まぐれで買う理由づけとして使用されています。
会話文で使用する場合には、➁のようになります。
まとめ
以上、この記事では、ことわざ「残り物には福がある」について解説しました。あらためて、意味や由来、類義語・対義語をおさらいしましょう。
読み方 | 残り物には福がある(のこりものにはふくがある) |
---|---|
意味 | 他の人から選ばれず、最後まで残ったものの中に、本当に価値のあるものや良いものが残っている |
由来 | 人形浄瑠璃の作品「伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく)」 |
類義語 | 余り茶に福あり、急いては事を仕損じる、待てば海路の日和あり |
対義語 | 先んずれば即ち人を制す、先手は万手、巧遅は拙速に如かず |
英語訳 | Good luck lies in odd numbers.(残ったものの中に幸運がある。) |
1つのことわざには、多くの場合反対の意味のことわざがいくつかあります。「残り物には福がある」ということわざもその例に漏れず、「先んずれば即ち人を制す」といった反対の意味のことわざがあります。
実際の世界では、残ったものに福があることもあれば、ずうずうしく先に選んだほうが得であることもあるでしょう。つまり、1つのことわざにとらわれ過ぎず、適材適所ことわざを応用していくことが重要です。そのために、対義語もしっかりと知っておく必要があります。
「残り物には福がある」も「先んずれば即ち人を制す」も、しっかりと覚えておきましょう。