今回ご紹介する言葉は、故事成語の「荒唐無稽」です。
「荒唐無稽」の意味、例文、由来、類義語、対義語、英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「荒唐無稽」をざっくり言うと……
読み方 | 荒唐無稽(こうとうむけい) |
---|---|
意味 | 言説などがでたらめでよりどころがないさま |
由来 | 『荘子』の「荒唐の言」と『書経』の「無稽の言」から |
類義語 | 怪誕不経、荒誕無稽、謬悠之説、など |
対義語 | 現実主義、杓子定規、など |
英語訳 | illusion-promotingなど |
このページの目次
「荒唐無稽」の意味をスッキリ理解!
「荒唐無稽」の意味を詳しく
「荒唐無稽」とは、言説などがでたらめでよりどころがないさまです。
「荒唐」と「無稽」にはそれぞれ以下のような意味があります。
- 荒唐:言説などに根拠がなく、とりとめがないこと
- 無稽:根拠がなく、でたらめであること
ちなみに、「稽」とは、考えることを表しています。
「荒唐無稽」の表記のポイント
「荒唐無稽」の表記には以下のようなポイントがあります。
- 「荒唐無稽」は「無稽荒唐」と表記されることもある
- 「荒唐無稽」は「荒唐無形」と表記するのは間違い
- 「荒唐無稽(こうとうむけい)」を「こうとうぶけい」と読むのは間違い
「荒唐無稽」の例文
- 彼の言い訳は荒唐無稽だったので、誰からも信用されなかった。
- その弁明は荒唐無稽だ。信用できない。
- そんな荒唐無稽なうわさを信じるなんて愚かなことだ。
「荒唐無稽」の由来
「荒唐無稽」の出典は『荘子(そうし)』と、『書経(しょきょう)』です。
具体的には、「荒唐」の部分の由来が『荘子』で、「無稽」の部分の由来が『書経』です。
それぞれについて見ていきましょう。
「荒唐」の由来
『荘子』には以下のような言葉が出てきます。
荘周その風を聞きてこれを悦(よろこ)び、謬悠(びゅうゆう)の説、荒唐の言、端崖(がけばた)の無きの辞(じ)を以てす
これは、「荘子はその説を学んで共鳴し、実情をともなわない広遠な説、判断できない根拠のない説、糸口がとらえられない言葉を使って述べた」という意味です。
「無稽」の由来
『書経』には以下のような言葉が出てきます。
無稽の言は聴くこと勿れ
これは、「根拠のない話には耳を傾けるべきでない」という意味になります。
そして、「荒唐の言」と「無稽の言」とを組み合わせてできたのが「荒唐無稽」なのです。
「荒唐無稽」の類義語
「荒唐無稽」には以下のような類義語があります。
- 支離滅裂(しりめつれつ):まとまりがなく筋道が立ってないこと
- 滅茶苦茶(めちゃくちゃ):まったく筋道が通らないこと
- 無茶苦茶(むちゃくちゃ):物事の筋道が立ってないこと
- 事実無根(じじつむこん):事実に基づいてないこと
- 机上の空論(きじょうのくうろん):頭の中だけで考え出した役に立たない理論
- 砂上の楼閣(さじょうのろうかく):基本がしっかりしてないために物事が長続きしないこと
- 頓珍漢(とんちんかん):物事のつじつまがあわないこと
- 出鱈目(でたらめ):根拠がないこと
- 筋違い(すじちがい):普通の筋から外れたこと
- べらぼう:あまりにもひどいさま
- 馬鹿馬鹿しい(ばかばかしい):非常に馬鹿げていること
- 怪誕不経(かいたんふけい):でたらめで道理に合わないこと
- 架空無稽(かくうむけい):言動にまったく根拠がないこと
- 奇異荒唐(きいこうとう):根拠がまったくないこと
- 荒誕無稽(こうたんむけい):根拠がなくでたらめなこと
- 荒唐之言(こうとうのげん):根拠がなく意味がない話
- 荒唐不稽(こうとうふけい):根拠もなく非現実なこと
- 謬悠之説(びゅうゆうのせつ):何の根拠もないでたらめな話
- 妄誕無稽(もうたんむけい):根拠がなく非現実なこと
「荒唐無稽」と「支離滅裂」の違い
「支離滅裂」とは、まとまりがなく筋道が立ってないことです。
「荒唐無稽」と「支離滅裂」には以下のような違いがあります。
- 荒唐無稽:話の内容はわかるが根拠がない
- 支離滅裂:話の内容自体にまとまりがなく理解できない
「荒唐無稽」と「支離滅裂」では、「話の内容自体を理解できるかどうか」が異なるのです。
「荒唐無稽」の対義語
「荒唐無稽」には以下のような対義語があります。
- 現実主義(げんじつしゅぎ):現実をもっとも重視する態度のこと
- 杓子定規(しゃくしじょうぎ):何でもひとつの規則で律しようとする融通がきかないやり方のこと
「荒唐無稽」の英語訳
「荒唐無稽」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- illusion-promoting
(荒唐無稽な) - To be complete nonsense
(完全に無意味な) - chimera
(馬鹿げた空想)
まとめ
以上、この記事では「荒唐無稽」について解説しました。
読み方 | 荒唐無稽(こうとうむけい) |
---|---|
意味 | 言説などがでたらめでよりどころがないさま |
由来 | 『荘子』の「荒唐の言」と『書経』の「無稽の言」から |
類義語 | 怪誕不経、荒誕無稽、謬悠之説、など |
対義語 | 現実主義、杓子定規、など |
英語訳 | illusion-promotingなど |
「荒唐無稽」は批判の言葉なので、日常生活ではあまり使わないほうがいいかもしれません。
しかし、出てきた時に、意味がわかるようにはしておきたいですよね。
また、小説などで出てきた時には意味だけでもわかるようにしたいところです。