今回ご紹介する言葉は、カタカナ語の「ノウハウ」です。
「ノウハウ」の意味・使い方・つく言葉・語源・類義語・「ノウハウ」は公開すべきかについて分かりやすく解説します。
☆「ノウハウ」をざっくり言うと……
英語表記 | ノウハウ(know-how) |
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意味 | やり方、方法や知識 |
語源 | 英語のknow-how |
類義語 | ハウツー、ナレッジ、スキル、テクニックなど |
このページの目次
「ノウハウ」とは?
「ノウハウ」の意味を詳しく
「ノウハウ」は「やり方、方法や知識」という意味のカタカナ語です。
「ノーハウ」と表記することもあります。特に、蓄積された専門的技術や物事のやり方のことを指します。
また、知っていたら競争で有利になるような情報や経験も該当します。
たとえば、1年間で偏差値を50ほど上げた人がいたとします。その経験と知識を活かして、1年間で偏差値を50上げる方法をまとめたとしたら、この方法が「ノウハウ」になります。
「特許で守られた技術的な知識」という意味もある
「ノウハウ」には「特許で守られた技術的な知識」という意味もあります。
国際商業会議(ICC)の定義によると、「ノウハウ」は以下のようなものを指します。
ノウハウとは単独で又は結合して、工業目的に役立つある種の技術を完成し、またそれを実際に応用するのに必要な秘密の技術的知識と経験、またそれらの集積
[出典:ICC]
「ノウハウ」は物事のやり方や知識の中でも、「特許で守られた技術的な知識」のことだけを指す場合があるのです。
このような「ノウハウ」は知的財産権で守られています。
「ノウハウ」の具体例
「ノウハウ」には以下のような具体例があります。
- 企業の業務のマニュアル
- 独自に開発した新しい技術
- 物事をうまく行うコツ全般
それを学び、実践することにより良い効果が期待できるのであれば、すべて「ノウハウ」と呼べるのです。
「ノウハウ」の使い方
「ノウハウ」は以下のような言い回しで用いられることが多いです。
- ノウハウを教える
- ノウハウを身につける
- ノウハウを蓄積する
- ノウハウを共有する
- ノウハウを生かす/活かす
- ノウハウを得る
- ノウハウを培う
- ノウハウを持つ
それぞれの言い回しの意味について例文と一緒に詳しく見ていきましょう。
使い方①:ノウハウを教える
「ノウハウを教える」は他の人に自分が持っている知識ややり方のコツを共有することを指します。
相手が「ノウハウ」を教えてくれない場合は相手の行動を見て盗むと良いでしょう。
- 新人に営業のノウハウを教える。
- 先輩に「交渉のノウハウを教えてください」とお願いしたが、断られてしまった。
使い方②:ノウハウを身につける
「ノウハウを身につける」は「物事のやり方を習得する」という意味です。
「ノウハウ」を身につけるためには、「ノウハウ」を知るだけではなく、それを実践する必要もあります。
- 投資のノウハウを身につけて億万長者になった。
- ノウハウを身につけるだけでデキる社会人になれるわけではない。
使い方③:ノウハウを蓄積する
「ノウハウを蓄積する」は「物事のやり方やコツをたくさん蓄えること」という意味です。
「ノウハウ」は一人の頭の中で蓄積されることもあれば、会社や部署全体として蓄積する場合もあります。
- ノウハウを蓄積することで、彼女は頂点に立った。
- 新規事業の開始から1年が経ち、だいぶノウハウが蓄積されてきた。
使い方④:ノウハウを共有する
「ノウハウを共有する」は「他の人に物事のやり方やコツを教えること」という意味です。
「ノウハウを教える」とほぼ同じ意味の言い回しです。
- 定期的にノウハウを共有する機会を作れば、大きな成果が出るはずだ。
- 部長がノウハウを共有してくれたので、今月は良い営業成績が取れそうだ。
使い方⑤:ノウハウを生かす/活かす
「ノウハウを活かす(生かす)」は「物事のやり方やコツを実際に行う」という意味です。
- 勉強のノウハウを活かしたら、学年1位を取ることができた。
- ノウハウを生かしたいなら、実践の現場で使うしかない。
ちなみに、「生かす」と「活かす」では明確な使い分けはありません。
しかし、一般的には「生存させる」という意味では「生かす」、「活用する」という意味では「活かす」が使われることが多いようです。
意味的には「ノウハウを活かす」と使うのが自然です。
ただ、「活かす」は常用漢字にはない読み方なので、「ノウハウを生かす」と表記されることもあります。
使い方⑥:ノウハウを得る
「ノウハウを得る」は「物事のやり方やコツを手に入れる」という意味です。
自分で「ノウハウ」を得たり、他人から「ノウハウ」を教えてもらったりした時に用いる表現です。
- 先輩からすぐ使えるノウハウを得ることができた。
- ネット上で得たノウハウを実際に使ってみる。
使い方⑦:ノウハウを培う
「ノウハウを培う」は「物事のやり方やコツを集めていくこと」という意味です。
「培う」は本来「自分の中にあるものを養い・育てる」という意味なので、本来は外部から得られる「ノウハウ」や「知識」を「培う」とは言えません。
しかし、「ノウハウ(により能力)を培う」という意味で使われているようです。
- ノウハウを培えば、いつか彼女を超えられるはずだ。
- ノウハウを培って、他社に負けないマーケティング事業部にしたい。
使い方⑧:ノウハウを持つ
「ノウハウを持つ」は「物事のやり方やコツを知っている」という意味です。
- 彼女はたくさんの営業ノウハウを持っているらしい。
- ノウハウを持つだけではなく、実践までしないと意味がない。
「ノウハウ」がつく言葉
「ノウハウ」がつく言葉には以下のようなものが挙げられます。
- ノウハウコレクター
- ノウハウ本
- 経営ノウハウ
それぞれの言葉について詳しく見ていきましょう。
ノウハウコレクター
「ノウハウコレクター」とは、多くの「ノウハウ」を持っているのにも関わらず、思うように成果が挙げられてない人のことを指します。
「ノウハウ」を集めただけで満足してしまい、「ノウハウ」を実践しない場合に「ノウハウコレクター」になりやすいです。
クロールの泳ぎ方に関する本を読んだだけでは、泳げるようにならないのと同じです。
「ノウハウコレクター」にならないためには、「ノウハウ」を少しでも知ったら、それを実際に使ってみる必要があります。
ノウハウ本
「ノウハウ本」とは、「やり方や方法が記載されている書籍」のことを指します。
たとえば、営業テクニックが書かれている本や、効率的な会議の行い方について書かれた本は「ノウハウ本」と言えます。
経営ノウハウ
「経営ノウハウ」とは、会社を経営する方法ややり方のことです。
「経営ノウハウ」は企業の数だけ正解があります。
そのため、基本的には実践を通して学んでいく必要があります。
「ノウハウ」の語源
「ノウハウ」の語源は英語の “know-how” です。
“know-how” には以下のような意味があります。
- 何かを行うための専門的な知識やコツ
- 処世術
カタカナ語とほぼ同じ意味であることがわかります。
“know-how” は “know” が「知る」、“how” が「方法」という意味で、これを掛け合わせた単語です。
ちなみに、同じような形の言葉としては以下のようなものもあります。
- how-what:自分がしていることを理解する
- how-why:物事の理由を理解している
- how-who:相手の人柄を理解している
「ノウハウ」の類義語
「ノウハウ」には以下のような類義語があります。
- ハウツー(how to):やり方
- ナレッジ(knowledge):知識
- スキル(skill):技能
- テクニック(technique):技術
- マニュアル(manual):取扱説明書や作業手順書のこと
- コツ:物事をするために大切なポイント
- 秘訣(ひけつ):他人に知られてない特別な良い方法
- 要領(ようりょう):物事をうまく行う方法
- 裏技(うらわざ):表立って示してない方法でうまく処理すること
- 秘策(ひさく):人に知られてない特別な策略のこと
- 攻略法(こうりゃくほう):物事をうまくやる方法
- 奥の手(おくのて):最後の手段
- 暗黙知(あんもくち):経験的に使っているが、簡単に説明できない知識のこと
「ハウツー」と「ノウハウ」の違い
「ハウツー」は「やり方、方法」という意味のカタカナ語です。
「ノウハウ」と「ハウツー」には以下のような違いがあります。
- ノウハウ:誰でも同じ結果になるわけではない、物事を行うコツ
- ハウツー:実行すれば誰でも同じ結果になる、何かを行う手順
「ノウハウ」と「ハウツー」では誰がやっても同じになるか、物事のコツか手順かが異なるのです。
たとえば、投稿する方法など、SNSの使い方は「ハウツー」です。
取扱説明書のようなもので、「ハウツー」が理解できれば必ず使いこなせます。
しかし、「1日30人フォローする」などの「SNSでフォロワーを増やすコツ」は、人によって結果が変わります。
「ナレッジ」と「ノウハウ」の違い
「ナレッジ」は「知識」という意味です。
「ノウハウ」と「ナレッジ」には以下のような違いがあります。
- ノウハウ:知識の中でも、物事のやり方やコツのことを指す
- ナレッジ:知識全般のことを指す
「ノウハウ」は「ナレッジ」の一部と言えます。
「マニュアル」と「ノウハウ」の違い
「マニュアル」とは取扱説明書や作業手順書のことです。
機械などの使い方が書かれた書類や、会社での業務のやり方などが記された書類のことを指します。
「ノウハウ」と「マニュアル」には以下のような違いがあります。
- ノウハウ:やり方に従っても人によって異なる成果が出るもの
- マニュアル:やり方に従えば誰でも同じ作業ができるようにしたもの
「スキル」の意味
「スキル」は「技能」という意味です。
特に訓練などを通して身についた能力を指します。具体的には物事を行うための技能や資格です。
よく、「ビジネススキル」などと言います。これはビジネスをやる上での技能で、マーケティングなどが具体例です。
「テクニック」の意味
「テクニック」は「技術」という意味です。
「スキル」に比べて、「テクニック」はマニュアル通りに身につければ、習得しやすいという特徴があります。
また、「テクニック」がある人を「テクニシャン」と言います。
「ノウハウ」は公開すべき?
自分だけが知っている「ノウハウ」があった時、あなたは公開しますか?
多くの人が「公開しない」と答えると思います。
「ノウハウを後悔したらマネされて自分が追い抜かれるのではないか」と思うからだと思います。
また、「ノウハウを公開しても自分にメリットがない」と考える人も多いと思います。
しかし、実は「ノウハウは積極的に公開すべき」です。
「ノウハウ」を公開することには以下のようなメリットがあります。
- 感謝され、今後お願いを聞いてもらいやすくなる
- 他人のフィードバックでノウハウをブラッシュアップできる
また、「ノウハウ」をマネされることを恐れる人も多いと思いますが、実際のところ多くの人は「ノウハウ」を聞いても実践しませんし、実践しても成果が得られるのはさらに少数です。
そのため、自分の相対的な評価が下がることはほとんどありません。
逆に、自分が持っていた「ノウハウ」を多くの人に浸透させられたら、それは大きな成果と言えるため、周りの人からの評価も上がるでしょう。
そう考えると、「ノウハウ」を公開すると、デメリットより圧倒的にメリットのほうが大きいのです。
まとめ
以上、この記事では「ノウハウ」について解説しました。
英語表記 | ノウハウ(know-how) |
---|---|
意味 | やり方、方法や知識 |
語源 | 英語のknow-how |
類義語 | ハウツー、ナレッジ、スキル、テクニックなど |
「ノウハウ」は非常によく使う単語です。分かっていないと、戸惑う場面もあるでしょう。
ぜひ、この記事を参考にして、「ノウハウ」の意味や使い方を覚えましょう。