今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「一蓮托生(いちれんたくしょう)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
このページの目次
「一蓮托生」の意味をスッキリ理解!
「一蓮托生」の意味を詳しく
「一蓮托生(いちれんたくしょう)」は、「結果にかかわらず、行動や運命を共にすること」を意味する四字熟語です。
どちらかと言うと、悪い結果や良くない結末が予想される時に用いられることが多い四字熟語です。
「一蓮托生」は2字熟語に分解すると意味をよく理解することができます。
それぞれの熟語の意味は以下のとおりです。
- 一蓮:ひとつの蓮
- 托生:ほかの者に自分の命を任せて生きる
つまり、「一蓮托生」はひとつの蓮の上でほかの者に自分の命を任せて生きることを表しているのです。
「一蓮托生」の使い方
「一蓮托生」は文中では、以下のように使われます。
- 結果がどうなろうと一蓮托生、このプロジェクトをやり遂げよう。
- ここまで来たら一蓮托生だ、捕まる覚悟はできている。
- 夫婦というのは、結婚した時は一蓮托生だというが、離婚率は35%を超えている。
①は、会社の同僚などの会話で、最後まで仕事をやり遂げることを誓っていうものです。
②は、仲間とともに犯罪を犯すドラマの場面などで使われます。
③は、生涯を添い遂げようと誓いあう結婚の残酷な現実を表しています。
「一蓮托生」の由来
仏教では、生きているときによい行いをした人は、死後に極楽浄土で蓮の花の形をしたもの「蓮台(れんだい)」に座ることになるという発想があります。
人が死ぬと仏様になるという、仏教と神道が融合した日本ならではの考え方です。
したがってもともとは、友人や恋人などが、「死んだら同じ蓮の上で会おう」という来世まで運命を共にすることを意味する仏教用語でした。
江戸時代になると、「一蓮托生」はこの世では結ばれない運命にある恋人同士が来世では結ばれることを願う時に使われる表現になりました。
最近では、良い結果になっても、悪い結果になっても行動や運命をともにすることを意味しています。
したがって、会社の同僚や夫婦のみならず、悪事をたくらむ集団の間でも使われることがあります。
「一蓮托生」の類義語
「一蓮托生」には以下のような類義語があります。
- 一心同体(いっしんどうたい):まるでひとりの人間であるかのような強い絆を持っていること
- 同腹一心(どうふくいっしん):志を同じくすること
- 一致団結:多くの人が一つの目的のために行動すること
- 死なばもろとも:死ぬときは一緒であるということ
- 蓮の台の半座を分かつ:夫婦仲が極めて良いこと
- 運命共同体:繁栄も衰退も運命を共有する組織や団体のこと
- 旅は道連れ世は情け:世の中を渡っていくには人情をもって仲良くやることが重要だということ
- 桃園(とうえん)の誓い:生死をともにする宣言をすること
- 連帯責任:複数の人間が共同で行為や結果の責任を取ること
- 阿吽(あうん)の呼吸:息がピッタリ合うこと
「一蓮托生」と「一心同体」の違い
「一蓮托生」と「一心同体」には以下のような違いがあります。
- 一蓮托生:今後の運命を強い絆で乗り越える
- 一心同体:現時点で強い絆がある様子
「一蓮托生」と「一心同体」では絆がある時期が異なるのです。
「一蓮托生」の対義語
一蓮托生には以下のような対義語があります。
- 分崩離析(ぶんぽうりせき):組織がバラバラになること
- 同床異夢(どうしょういむ):同じ仲間だが、異なる考え方をしていること
「一蓮托生」の英語訳
一蓮托生を英語に訳すと、次のような表現になります。
- to sail in the same boat (同じ船をこぐ)
- common destiny (共通の運命)
- sharing in one’s lot (苦楽を共にする)
「同じ船をこぐ」という意味の “to sail in the same boat” は、航海で直面する様々な困難を一緒に乗り越えていくというイメージのことわざです。
“common” は「共通の、普通の」を意味する形容詞です。
“one’s lot” は「境遇、身の上」を意味する名詞です。
まとめ
以上、この記事では「一蓮托生」について解説しました。
読み方 | 一蓮托生(いちれんたくしょう) |
---|---|
意味 | 結果にかかわらず運命や行動をともにすること |
由来 | 死後に蓮台に座るという仏教思想 |
類義語 | 一心同体、死なばもろとも、同腹一心など |
対義語 | 分崩離析、同床異夢など |
英語訳 | to sail in the same boat(同じ船をこぐ) |
「一蓮托生」は、日本の宗教観に基づく独特な表現です。
会社の同僚、恋人に対して使うと魅力的でしょう。
この機会にぜひ覚えてみてください。