四字熟語「夫唱婦随(ふしょうふずい)」の意味と使い方:例文付き

言葉

夫唱婦随とは「夫婦の仲がとても良いこと」という意味です。

差別的に受け取られてしまう表現であるため、最近では使われることは少なくなっています。

使う場面を間違えないためにも、正しい使い方を知りたいですよね。

この記事では夫唱婦随の意味や使い方に加えて、類義語も詳しく解説します。

「夫唱婦随」の意味

夫唱婦随ふしょうふずい

夫婦の仲がとても良いこと

夫唱婦随は以下のように成り立っています。


  • 結婚した男女の男性側

  • ※「倡」とも書く
    あることを口に出して言う

  • 結婚した男女の女性側

  • 進むものの後についていく

つまり、夫婦のうち男性があることを言い、それに女性がついていくことから、夫婦の仲がとても良いことを表します。

特に、一緒にお店を経営していたり、支え合って生活していたりする夫婦をポジティブに表現する語です。

「夫唱婦随」の表記

夫唱婦随は、以下のように表記することもあります。

  • 夫倡婦随
  • 婦唱夫随
    ※正しい表記ではない

婦唱夫随は、夫唱婦随から派生した造語です。

夫唱婦随は、夫の言うことに妻がついていくことを表します。

しかし、現代では妻が言うことに男性がついていくこともあります。

そのため、「夫」と「婦」の順を入れ替えて婦唱夫随という表記になっているのです。

間違った表記に注意

夫唱婦随の間違った表記には以下のようなものがあります。

× 夫唱婦髄
× 夫婦付随

「夫唱婦随」の使い方

夫唱婦随は、夫婦の関係を表す時に使います。

しかし、現代では、女性を差別するような表現であるとして、使われることは少なくなっています。

例文を見てみましょう。

例文
  1. 夫唱婦随の夫妻となれるように、どんな時もふたりで支え合っていこう。
  2. 隣の家に住むご夫婦は、夫唱婦随でとても微笑ましい。
  3. 女性の社会進出が一般的になった今、夫唱婦随は時代に合っていないという声もある。
結婚歴が浅い夫婦には使わない

夫唱婦随は、一般的に、結婚歴が長い夫婦を褒める時に使います。

結婚歴が浅い夫婦には、夫唱婦随は使いません。

「夫唱婦随」の語源

夫唱婦随の語源は、古代中国の思想書『関尹子(かんいんし)』の「三極(さんきょく)」の中にある文章です

『関尹子』の「三極」に、以下のような文章があります。

天下の理は、夫は倡え(となえ)、婦は随う(したがう)
(夫が言い出し、妻がそれに従う)

古代中国では、「男性のほうが女性よりも優れているため、女性は男性に従うべきだ」という考えが一般的でした。

そのため、女性が男性に従うことが、夫婦の仲が良いことだとされていました。

このことから、夫唱婦随が「夫婦の仲がとても良いこと」という意味になりました。

『関尹子』の作者は定かではない

『関尹子』は、古代中国の思想家である関尹子が書いた書物だとされています。

しかし、関尹子よりも後の時代に、道教を信仰していた杜光庭(と こうてい)が書いたものだという説もあり、作者は定かではありません。

「夫唱婦随」の類義語

夫唱婦随には以下のような類義語があります。

  • 琴瑟相和(きんしつそうわ)
    ①夫婦の仲が良いこと
    ②兄弟の仲が良いこと
  • 陽唱陰和(ようしょういんわ)
    夫婦の仲が良いこと
  • 比翼連理(ひよくれんり)
    夫婦の仲が良いこと
  • 関関雎鳩(かんかんしょきゅう)
    夫婦の仲が良いこと
  • 偕老同穴(かいろうどうけつ)
    ①夫婦の仲が良いこと
    ②深海に生息する海綿動物
  • 夫婦円満(ふうふえんまん)
    夫婦の仲が良く、争い事がないこと
  • 鴛鴦之契(えんおうのちぎり)
    夫婦の絆が強いこと
  • 嫁鶏随鶏(かけいずけい)
    妻が夫に従うこと

「琴瑟相和」を詳しく

琴瑟相和は、「夫婦や兄弟の仲が良いこと」という意味です。

琴瑟相和は以下のように成り立っています。

  • :小型の琴(こと)
  • :大型の琴
  • 相和:ひとつに混じり合う

つまり、小型の琴と大型の琴の音色が綺麗に混じり合うように、夫婦や兄弟が仲良くすることを表します。

「陽唱陰和」を詳しく

陽唱陰和は、「夫婦の仲が良いこと」という意味です。

陽唱陰和は以下のように成り立っています。


  • 日光があたるところ

  • 声に出して読みあげる

  • 日光があたらないところ

  • 合わせること

古代中国では、日光があたるところは男性を表し、日光があたらないところは女性を表しました。

つまり、男性と女性が声を合わせるように、夫婦が仲良くすることを表します。

「比翼連理」を詳しく

比翼連理は、「夫婦の仲が良いこと」という意味です。

比翼連理は以下のように成り立っています。

  • 比翼(ひよく)
    2羽の鳥が翼を互いに並べること
  • 連理(れんり)
    1本の木の枝が他の木の枝とくっついていること

つまり、翼を互いに並べている鳥や、枝がくっついている木のように、夫婦が寄り添いあっていることを表します。

「関関雎鳩」を詳しく

関関雎鳩は、「夫婦の仲が良いこと」という意味です。

関関雎鳩は以下のように成り立っています。

  • 関関:鳥が仲良く鳴き交わす声
  • 雎鳩:ミサゴという鳥の別名

つまり、つがいのミサゴのように、夫婦が仲良くすることを表します。

「偕老同穴」を詳しく

偕老同穴は、「夫婦の仲が良いこと」という意味です。

偕老同穴は以下のように成り立っています。

  • :一緒に
  • :年を重ねる
  • :おなじである
  • :墓の穴

つまり、夫婦が一緒に年を重ねて、同じ墓に入ることを表します。

また、海底約200mに生息する海綿動物の名前でもあります。

↑マーシャルカイロウドウケツ
[出典:美ら海生き物図鑑]

「鴛鴦之契」を詳しく

鴛鴦之契は、「夫婦の絆が強いこと」という意味です。

鴛鴦之契は以下のように成り立っています。

  • 鴛鴦:オシドリ
  • :の
  • :約束する

オシドリは、オスとメスがいつも寄り添いあっていることから、仲の良い夫婦の例えとしてよく使われます。

このことから、鴛鴦之契はオシドリのようにいつも寄り添って夫婦の絆が強いことを表します。

しかし、実際には、オシドリのオスとメスが夫婦でいるのは子供を作るまでの間だけです。

「嫁鶏随鶏」を詳しく

嫁鶏随鶏は、「妻が夫に従うこと」という意味です。

嫁鶏随鶏は以下のように成り立っています。

嫁鶏随鶏
(メスのニワトリがオスのニワトリに従う)

つまり、妻が夫の元で従うことを表します。

「夫唱婦随」の対義語

夫唱婦随には以下のような対義語があります。

  • 牝鶏之晨(ひんけいのしん)
    女性が権力を振るうこと

牝鶏之晨は以下のように成り立っています。

  • 牝鶏:メスのニワトリ
  • :の
  • :早朝

つまり、メスのニワトリが鳴いて朝を知らせることを表します。

本来、朝に鳴くのはオスのニワトリであるため、不吉な知らせであるとされます。

古代中国では、女性が権力を握ることは国が乱れる前兆だとされていたため、牝鶏之晨が「女性が権力を振るうこと」という意味になりました。

「夫唱婦随」の英語訳

夫唱婦随を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • a wife should do her husband’s bidding
    (妻は夫の命令に従うべきだ)
  • the wife to follow the husband’s lead
    (妻は夫の先導についていく)

“a wife should do her husband’s bidding” の “bidding” は「命令」という意味です。

表現をやわらかくしたい場合は、 “lead” を使ったほうが無難です。

「夫唱婦随」のまとめ

以上、この記事では夫唱婦随について解説しました。

読み方夫唱婦随(ふしょうふずい)
意味夫婦の仲がとても良いこと
語源『関尹子』「三極」
類義語琴瑟相和
陽唱陰和
比翼連理 など
対義語牝鶏之晨
英語訳a wife should do her husband’s bidding(妻は夫の命令に従うべきだ)
the wife to follow the husband’s lead(妻は夫の先導についていく)

時代が変わるにつれ、夫婦の関係も変わっています。

そのため、ひとつの言葉で断定することはできませんが、夫婦の仲が良いに越したことはありませんね。