今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「依怙贔屓(えこひいき)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「依怙贔屓」をざっくり言うと……
読み方 | 依怙贔屓(えこひいき) |
---|---|
意味 | 自分が気に入った相手だけに味方すること |
類義語 | 依怙偏執、判官贔屓など |
対義語 | 一視同仁、公明無視 |
英語訳 | show favoritism(特定の人物を優遇する)、treat somebody with undue favor(不当な好みで誰かを扱う)など |
「依怙贔屓」の意味をスッキリ理解!
「依怙贔屓」の意味を詳しく
「依怙贔屓」は「依怙」と「贔屓」の2つの熟語から成り立っています。
「依怙」には2つの意味があります。1つ目の意味は、「不公平」というものです。2つ目の意味は、「ある人物を優遇する」というものです。
また、「贔屓」は「ある人物を後押しすること」を指します。
「贔屓」という熟語を単体で使う場合は、「関係のある人を、他の人よりも熱心に支援する」というようなポジティブな意味合いも表すことができます。しかし、「依怙贔屓」では、「贔屓」の前に、「不公平」を表す「依怙」が加わっていますね。ですから、「依怙贔屓」はネガティブな意味合いが強いのです。
なお、「依怙贔屓」の「依怙」を「依枯」と表記するのは誤りですから、気をつけましょう。
「贔屓」の部分は、「贔負」と書き換えることができます。
「依怙贔屓」の使い方
「依怙贔屓」を使う場合は、ある行動を「依怙贔屓だ」と表したり、「依怙贔屓する」というように動詞のかたちで用いたりします。この点を踏まえて、下記の例文を紹介します。
- 父は妹には甘く、私には手厳しい。これは依怙贔屓ではないだろうか。
- 特定の生徒を依怙贔屓している先生が、教育委員会から指導を受けた。
- 動物園の飼育員は、特定の動物を依怙贔屓することなく、愛情深く世話をしている。
「依怙贔屓」の類義語
「依怙贔屓」には以下のような類義語があります。
- 依怙偏執(えこへんしゅう):自分が気に入った相手だけに味方すること
- 判官贔屓(はんがんびいき):弱い立場にある人に協力すること
- 専断偏頗(せんだんへんぱ):考えが偏っていること
- 不正不公(ふせいふこう):不公平であること
「依怙偏執」は、「えこへんしつ」と読む場合もあります。この四字熟語は、「判官贔屓」と全く同じ意味をもちます。
ほかの3つの類義語は、「依怙贔屓」と意味合いが少し異なる部分もあるため、注意が必要です。
まず、「依怙贔屓」と「判官贔屓」は、ある人物を優遇するという点が共通していますね。しかし、優遇する相手の特徴は特に決まっていないのに対して、「判官贔屓」で優遇するのは「弱い立場にある人」なのです。
なお、「判官贔屓」は「ほうがんびいき」と読む場合もあります。
また、「専断偏頗」と「不正不公」は、不公平な考え方をもつことを表す点では「依怙贔屓」と共通しています。しかし、「依怙贔屓」は「不公平な考えのもとで、特定の人物を助ける」という具体的な行動まで表すのに対して、「専断偏頗」と「不正不公」は、単に「考えに偏りがある」ということしか表現できないのです。
「依怙贔屓」の対義語
「依怙贔屓」には以下のような対義語があります。
- 一視同仁(いっしどうじん):全ての人に平等に接すること
- 公平無私(こうへいむし):自分の利益に流されず、公平な態度をとること
- 不偏不党(ふへんふとう):公正・中立な立場を取ること
- 公明正大(こうめいせいだい):公平であり、正しいこと
- フェア:公正であること
「特定の人物に手を貸すこと」の対極の状態は、「全ての人に公平に関わること」ですね。ですから、これら2つの四字熟語は「依怙贔屓」の対義語であるといえます。
「依怙贔屓」の英語訳
「依怙贔屓」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- show partiality
(不公平を見せる) - show favoritism
(特定の人物を優遇する) - treat somebody with undue favor
(不当な好みで、誰かを扱う)
“show partiality” はあらたまった場で使う言葉です。ですから、カジュアルな場面では “show favoritism” や “treat somebody with undue favor” を使いましょう。
まとめ
以上、この記事では「依怙贔屓」について解説しました。
読み方 | 依怙贔屓(えこひいき) |
---|---|
意味 | 自分が気に入った相手だけに味方すること |
類義語 | 依怙偏執、判官贔屓など |
対義語 | 一視同仁、公明無視 |
英語訳 | show favoritism(特定の人物を優遇する)、treat somebody with undue favor(不当な好みで誰かを扱う)など |
「依怙贔屓」をすると、周囲の人が不快な思いになります。あらゆる人に平等に接することが大切ですね。