今回ご紹介する言葉は、ことわざの「海老(えび)で鯛(たい)を釣る」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「海老で鯛を釣る」をざっくり言うと……
読み方 | 海老(えび)で鯛(たい)を釣る |
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意味 | 少しの労力・品物・元手で、多くの収益を得ること |
由来 | 小さくて安い海老をエサにして高級魚の鯛を釣りあげること |
類義語 | 麦飯で鯛を釣る、瓜を投じて玉を得る、蝦蛄で鯛を釣るなど |
対義語 | 牛刀をもって鶏を割く、労多くして功少なし、大山鳴動して鼠一匹など |
英語訳 | Venture a small fish to catch a great one.(大きな魚を捕まえるため、小さな魚を賭けよ。) |
このページの目次
「海老で鯛を釣る」の意味をスッキリ理解!
「海老で鯛を釣る」の意味を詳しく
「海老で鯛を釣る」は、少しの労力・品物・元手で、多くの収益を得ることを意味することわざです。「海老」は、「少しの労力・品物・元手」のたとえです。また、「鯛」は「価値あるもの・多くの収益」のたとえです。
同じ意味で、「海老で鯛」「海老鯛」「雑魚(ざこ)で鯛釣る」と表現することもできます。
このことわざにおける「海老」は、「伊勢海老」のような高価な食材ではなく、釣りのエサで使う小さな海老です。「海老」を高価なものと解釈し、「海老で鯛を釣る」を「多くの収益のためには、相応の労力・品物が必要」という意味で使用するのは誤りです。
ちなみに、「海老」は「蝦(えび)」と表記することもできます。「海老」は、海底を歩くタイプのエビ、「蝦」は、海中を泳ぐタイプのエビを意味します。
「海老で鯛を釣る」の使い方
- 商品を買った人に対し、総額10万円の懸賞を実施したところ、売り上げが500万円のびた。海老で鯛を釣ったような気持ちになった。
- 気まぐれで宝くじを1枚買ったら、思いがけず当選した。まさに、海老で鯛を釣ることに成功した。
- 私のことが好きな男の子に、100円のチョコをあげた。すると、ホワイトデーに、彼は1万円相当のアクセサリーを買ってくれた。これが海老で鯛を釣るということか。
「海老で鯛を釣る」は、例文のように「思いがけず、大きく得をした場面」で用いられます。
「海老で鯛を釣る」の由来
「海老で鯛を釣る」の由来は、小さくて安い海老をエサにして高級魚の鯛を釣りあげることです。
この様子が、「少しの労力・品物・元手で、多くの収益・収穫を得ること」に重ねられ、ことわざになりました。
ちなみに、実際の釣りでも、鯛のエサとして海老を使うことがあります。
「海老で鯛を釣る」の類義語
「海老で鯛を釣る」には以下のような類義語があります。
- 麦飯で鯛を釣る:「海老で鯛を釣る」と同義
- 瓜を投じて玉を得る:「海老で鯛を釣る」と同義
- 蝦蛄(しゃこ)で鯛を釣る:「海老で鯛を釣る」と同義
- 鼻糞(はなくそ)で鯛を釣る:価値のないもので、大きな利益を得ること
- 濡れ手で粟(あわ):容易に大きな利益を得ること
- 一攫千金(いっかくせんきん):一度に、大きな利益を得ること
- 一粒万倍(いちりゅうまんばい):ほんのわずかなものが、大きく成長すること
「一粒万倍」は、一粒の種が稲穂となり、万倍もの米になることを表すことわざです。
「海老で鯛を釣る」の対義語
「海老で鯛を釣る」には以下のような対義語があります。
- 牛刀(ぎゅうとう)をもって鶏を割(さ)く:小さな作業に、必要以上に大きな手間をかけること
- 労多くして功少なし:非常に苦労したものの、得たものは少ないということ
- 大山鳴動(たいざんめいどう):事前の騒ぎは大きかったものの、結果は小さいこと
「海老で鯛を釣る」の英語訳
「海老で鯛を釣る」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- Throw a sprat to catch a whale.
(小さなニシンを投げてクジラを捕る。) - Venture a small fish to catch a great one.
(大きな魚を捕まえるため、小さな魚を賭けよ。)
“sprat” は、ニシン類の魚という意味です。
まとめ
以上、この記事では「海老で鯛を釣る」について解説しました。
読み方 | 海老(えび)で鯛(たい)を釣る |
---|---|
意味 | 少しの労力・品物・元手で、多くの収益を得ること |
由来 | 小さくて安い海老をエサにして高級魚の鯛を釣りあげること |
類義語 | 麦飯で鯛を釣る、瓜を投じて玉を得る、蝦蛄で鯛を釣るなど |
対義語 | 牛刀をもって鶏を割く、労多くして功少なし、大山鳴動して鼠一匹など |
英語訳 | Venture a small fish to catch a great one.(大きな魚を捕まえるため、小さな魚を賭けよ。) |
「海老で鯛を釣る」は、「狙って利益を出した」というよりは、「予想以上に利益が出た」場合に使用します。意味としては、「棚から牡丹餅」に近いかもしれません。
非常に認知度が高いことわざなので、日常生活の中で自然に使えるように、覚えておきましょう。