今回ご紹介する言葉は、ことわざの「人を呪わば穴二つ」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「人を呪わば穴二つ」をざっくり言うと……
読み方 | 人を呪わば穴二つ(ひとをのろわばあなふたつ) |
---|---|
意味 | 人に害を与えようとすると、最終的に自分に害が返ってくること |
由来 | 陰陽師が人を呪うときに、呪いが返って来ることを恐れて、2人分の墓を用意したこと |
類義語 | 剣を使う者は剣で死ぬ、天に唾す、人を謀れば人に謀らるなど |
対義語 | 同害復讐、目には目を、やられたらやりかえすなど |
英語訳 | Curses return upon the heads of those that curse.(呪いは呪う人の頭の上に帰ってくる。)など |
このページの目次
「人を呪わば穴二つ」の意味をスッキリ理解!
「人を呪わば穴二つ」の意味を詳しく
「人を呪わば穴二つ」とは、人に害を与えようとすると、最終的に自分に害が返ってくるということです。
安易に人に害を与えてはいけないという戒めです。
仮に人に害を与えるのであれば、相応の覚悟をしなければならないということも表します。
「人を呪わば穴七つ」や「人を呪えば穴二つ」と言うこともあります。
「人を呪わば墓二つ」は誤用なので注意しましょう。
「人を呪わば穴二つ」の使い方
- 人を呪わば穴二つというから、仮に相手が全面的に悪くても、恨んだり、暴力をふるったりしてはいけない。
- 結婚式前日に婚約を破棄されたからって、相手に何百回も電話をかけるのはやめなさい。人を呪わば穴二つよ。
- 俺はこの刀を手にしたときから、誰かに斬られる覚悟はできている。人を呪わば穴二つなんて、当然のことだ。
「人を呪わば穴二つ」の由来
「人を呪わば穴二つ」の由来は、平安時代の陰陽師です。
陰陽師とは、中国を発祥とする陰陽道を学び、呪術や占星術を行った存在です。
陰陽師は敵対者の依頼者を呪殺する仕事を請け負うこともありました。
陰陽師はそんな時、相手側の陰陽師に呪いの報いを受けて呪い殺されることを想定したとされています。
そのため、自分が死んだ時のために、墓穴を自分と相手の二つ分用意させていました。
「人を呪わば穴二つ」の「穴」とは、「墓穴」のことなのです。
「人を呪わば穴二つ」の類義語
「人を呪わば穴二つ」には以下のような類義語があります。
- 剣を使う者は剣で死ぬ:剣を使う者は、剣によって多くの敵を倒すが、いずれは自分も剣によって倒されるということ
- 天に唾す(てんにつばきす):誰かに害を与えようとして、結果的に自分に返って来ること
- 人を謀れば人に謀らる:人を陥れようとする人は、結局自分が陥れられるということ
- 人を傷(やぶ)る者は己を傷る:人を傷つけようとすると、結局自分が傷つくということ
- 悪因悪果(あくいんあっか):悪い行為には必ず悪い結果がついてくるということ
- 因果応報(いんがおうほう):良い行いをすれば良い結果が、悪い行いをすれば悪い結果がついてくるということ
- 人を呪えば身を呪う(ひとをのろえばみをのろう):人を不幸にしようとする時には自分も不幸になることを覚悟せねばならない
- 人を祈らば穴二つ(ひとをいのらばあなふたつ):人に害を与えれば自分も同じように害を受けること
- 人を憎むは身を憎む(ひとをにくむはみをにくむ):人を憎むとその憎しみが自分に返ってくるということ
「人を呪わば穴二つ」の対義語
「人を呪わば穴二つ」の対義語には以下のようなものが挙げられます。
- 同害復讐(どうがいふくしゅう):同一の加害によって報復を行う刑罰
- 目には目を:人が誰かを傷つけた時にはその罰は同程度のものでなければならない
- やられたらやり返す:受けた被害を相手に返すこと
- 肉を切らせて骨を断つ:自分が痛手を受ける代わりに、相手にそれ以上の打撃を与えること
- 身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ:自分の命を犠牲にする覚悟があってこそ、危機的状況を脱せるということ
「人を呪わば穴二つ」の英語訳
「人を呪わば穴二つ」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- Harm set, harm get.
(人に害を与えれば、自分に害がやってくる。) - Curses return upon the heads of those that curse.
(呪いは呪う人の頭の上に帰ってくる。) - Curses like chickens come home to roost.
(呪いはひよこがねぐらに帰るように、自分に返って来る。) - people who live in glass houses shouldn’t throw stones
(ガラスがある家に住んでる人は石を投げるべきではない) - The spit aimed at the sky comes back to one.
(空に吐いた唾は自分に返ってくる)
“roost” は、鳥の止まり木やねぐらを表します。
まとめ
以上、この記事では「人を呪わば穴二つ」について解説しました。
読み方 | 人を呪わば穴二つ(ひとをのろわばあなふたつ) |
---|---|
意味 | 人に害を与えようとすると、最終的に自分に害が返ってくること |
由来 | 陰陽師が人を呪うときに、呪いが返って来ることを恐れて、2人分の墓を用意したこと |
類義語 | 剣を使う者は剣で死ぬ、天に唾す、人を謀れば人に謀らるなど |
対義語 | 同害復讐、目には目を、やられたらやりかえすなど |
英語訳 | Curses return upon the heads of those that curse.(呪いは呪う人の頭の上に帰ってくる。)など |
本当に呪いが返ってくるかは、定かではありません。
しかし、人に害を与えると、相手からの恨みや自分の悪評に繋がります。
結果として自分が損をすることになるのは、個人レベルであれ、国家レベルであれ、共通しています。
人を呪いたい気持ちになった時には、是非「人を呪わば穴二つ」を思い出してみてください。