「整合性(せいごうせい)」とは?意味や使い方を例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、熟語の「整合性(せいごうせい)」です。

言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

「整合性」の意味をスッキリ理解!

整合性(せいごうせい):論理に矛盾点がなく、つじつまが合っているさま

「整合性」の意味を詳しく

「整合性」は議論の対象となっている論理に矛盾がなく、つじつまが合っている様子を指す言葉です。

やや硬い表現であるため、日常会話ではそう多くは使われることはありません。

「整合性」を構成する漢字はそれぞれ以下のような意味になっています。

「整合性」の漢字の意味
  • :形を正しく揃える
  • :ぴったりと一致する
  • :物事の傾向

「整合性」はこの3つの漢字を組み合わせて「(論理が)正しく一致している傾向がある」という意味を表しているのです。

この単語がよく出てくるのは、ビジネスや政治の場面です。

データや文書、発言の内容などにおいて、それぞれ複数の項目を比較する形で使用します。

ニュースをよく見る方は、主張が二転三転する政治家に対し、批判の意味を込めて使用されているのを聞いたことがあるかもしれません。

「整合性」の使い方

「整合性」は以下のような言い回しでよく使われます。

「整合性」のよくある言い回し
  • 整合性がある
  • 整合性がない
  • 整合性をとる
  • 整合性を図る
  • 整合性を持たせる
  • 整合性を保つ
  • 整合性を確認する
  • 整合性を欠く
  • 整合性がとれない

それぞれの言い回しについて、例文と一緒に見ていきましょう。

「整合性がある」の使い方

「整合性がある」は「矛盾なく一貫している」という意味です。

「整合性」の言い回しとしてもっともよく使われるもののひとつです。

例文
この人の話は常に整合性があるので信頼できる。

「整合性がない」の使い方

「整合性がない」は「論理に一貫性がなく、矛盾している」という意味です。

「整合性」の言い回しでもっともよく使われるもののひとつです。

例文
被疑者の主張は目撃者の証言と整合性がないため、信用には値しない。

「整合性をとる」の使い方

「整合性をとる」は「矛盾がない状態にする」という意味です。

これまでにあるものとの間に矛盾が生じないよう、現在扱っているものを調整する時に用いられます。

例文
過去の研究結果と整合性をとると、論文として高く評価されるはずだ。

「整合性を図る」の使い方

「整合性を図る」は「矛盾がなくなるよう工夫する」という意味です。

例文
自身の発言と行動との間に整合性を図ることが大事だと、親から叱られてしまった。

「整合性を欠く」の使い方

「整合性を欠く」は「論理的な矛盾がある」という意味です。

「整合性がない」とほぼ同じ使い方をします。

例文
整合性を欠く主張には耳を貸さないようにしよう。

「整合性がとれない」の使い方

「整合性がとれない」は「工夫しても矛盾が解消できない」という意味です。

「整合性がない」ことに気づいて修正しようとしても、矛盾が解消できなかった時に用いられます。

例文
整合性がとれないことには、先に進むことができない。

「整合性を持たせる」の使い方

「整合性を持たせる」は「何かを矛盾ない状態にする」という意味です。

例文
この資料は実際の売上データと整合性を持たせるようにしてください。

「整合性を保つ」の使い方

「整合性を保つ」は「論理に矛盾がない状態を維持する」という意味です。

例文
先日の発言との整合性を保つために、一生懸命努力する。

「整合性を確認する」の使い方

「整合性を確認する」は「論理的な矛盾がないか確かめる」という意味です。

例文
提案資料と事業計画書との間の整合性を確認する。

「整合性」の由来

「整合性」という言葉の由来は1961年に丸山真男氏が書いた『日本の思想』という哲学書です。

この本の中に出てくる「論理的整合性という観点からよりも」という文章が由来になっています。

この本から、一般のビジネスの場面でも「整合性」という言葉が使われるようになりました。

丸山真男

日本の思想史家。東京大学の名誉教授をつとめた。

「整合性」の類義語

整合性には以下のような類義語があります。

  • 一貫性(いっかんせい):主張に筋が通っており、曇りがないさま
  • 無矛盾性(むむじゅんせい):どの論理においても、その肯定と否定とが同時にはできない状態であるさま。
  • 健全性(けんぜんせい):論証の妥当性が担保されているさま
  • 調和(ちょうわ):具合良くつりあっていること
  • 論理的(ろんりてき):主張に筋が通っていること
  • 首尾一貫(しゅびいっかん):主張や態度が最初から最後まで一致していること
  • 辻褄が合う(つじつまがあう):論理的な矛盾がない様子

「整合性」と「一貫性」の違い

「一貫性」は「主張に筋が通っていて曇りがないさま」という意味です。

「整合性」と「一貫性」には以下のような違いがあります。

  • 整合性:2つ以上のものの間に矛盾がないこと
  • 一貫性:ひとつの主張に矛盾がないこと

「整合性」と「一貫性」は矛盾がない事柄の数が異なるのです。

「無矛盾性」「健全性」の意味

「無矛盾性」と「健全性」はその意味の字面からも分かる通り、かなり硬い表現の言葉です。

学問の世界において、導き出した公式が正しいことを証明する場合や、企業や政府の会計状況を評価する際に使用されることが多いです。

「整合性」の対義語

整合性には以下のような対義語があります。

  • 矛盾(むじゅん):あることを一方では否定し、もう一方では肯定していること、話のつじつまが通らないこと
  • 食い違い(くいちがい):物事がうまく一致しないこと
  • 不一致(ふいっち):ぴったり合わないこと
  • 齟齬(そご):意見や事柄が合わないこと
  • 相違(そうい):一致しないこと
  • 相反(あいはん)する:互いに反対の関係にある
  • ちぐはぐ:ふたつ以上のものが食い違ってそろわない

「矛盾」の意味

「矛盾」は最強の矛(ほこ)と最強の盾を同時に売った中国の商人の話からくる、古事成語のひとつです。

話の中では、その矛でその盾を着いたらどうなるのか、という一幕があります。

その話のように、同時に成立することのない2つの論理が存在している場合に使用される表現となります。

「整合性」の英語訳

整合性を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • consistency
    (一貫性・言行一致・矛盾がないさま)
  • integrity
    (整合性)
  • coordination
    (一致)

ちなみに、 “integrity” は「誠実さ」が主な意味ですが、フォーマルな場面では「整合性」という意味で用いられます。

また、「整合性をとる」と表現したい場合は “establish consistency” “match” などの表現を用いるのが適切です。

まとめ

以上、この記事では「整合性」について解説しました。

読み方整合性(せいごうせい)
意味論理に矛盾点がなく、筋が通っているさま
由来丸山真男氏の『日本の思想』という本の一節「論理的整合性という観点からよりも」より
類義語無矛盾性、健全性、一貫性など
対義語矛盾、食い違い、不一致など
英語訳consistency(一貫性・矛盾がないさま)など

「整合性」はその言葉自体の意味ももちろん、後ろに伴う言葉もセットで覚えることが必要な単語です。

少しの認識の違いが、ビジネスの場においては大きな事態を引き起こすこともあるため、しっかりと押さえておきましょう。