今回ご紹介する言葉は、熟語の「万夫不当(ばんぷふとう)」です。
言葉の意味・使い方・語源・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「万夫不当」をざっくり言うと……
読み方 | 万夫不当(ばんぷふとう) |
---|---|
意味 | 誰にも敵わないほど強いこと |
語源 | 「万夫」(数万人)で攻めてきても「不当」(倒されない) |
類義語 | 一騎当千、国士無双、蓋世不抜など |
対義語 | 脆弱、薄志弱行など |
英語訳 | invincible、being a match for thousands |
このページの目次
「万夫不当(ばんぷふとう)」の意味をスッキリ理解!
ずいぶんと勇ましい四字熟語です。言葉の由来などを押さえて、実生活で使いこなせるようになりましょう。
「万夫不当(ばんぷふとう)」の意味を詳しく
「万夫不当」とは、誰にも敵わないほど強いという意味です。
「万夫不当」は、中国の三国時代に作られた四字熟語であり、当時は武力的な力強さを意味しました。しかし、この言葉は無敵ゆえの孤独さというネガティブな意味も含んでいて、褒め言葉として使うには注意が必要です。
「万夫不当(ばんぷふとう)」の使い方
- 呂布の勇猛は、相変らずすこしも老いていない。 むしろ年と共にその騎乗奮戦の技は神(しん)に入って、文字どおり万夫不当だ。(吉川英治『三国志』より)
- 格闘家の彼には万夫不当の趣がある。
①は三国志での用例です。呂布のように勇ましい人物を表現するために用いられました。
②のように「万夫不当の趣がある」いう表現で使われることもあります。
「万夫不当(ばんぷふとう)」の語源
「万夫不当」の語源は、唐の詩人李白(りはく)の詩『蜀道難(しょくどうなん)』の中にあります。これは、三国時代に劉備(りゅうび)が治めた国である蜀(しょく)に入る道の険しさを詠んだ詩です。この詩に以下のような一文があります。
一夫當關 万夫莫開 (一夫関に当たれば万夫も開くなし)
「一夫(いっぷ)」は「1人の男」、「万夫(ばんぷ)」は「数万人の男」を意味します。つまり、上の一文は「1人の男が関所の警備をするだけで、数万人の男が攻めて来ても問題ない」という意味です。よほど険しい道だったのでしょう。
「不当」は漢文で「当たらず」と読み「対抗できない・敵わない」という意味を表します。
「万夫不当(ばんぷふとう)」の類義語
「万夫不当」には以下のような類義語があります。
- 一騎当千(いっきとうせん):一騎で千人を相手にできるほど強いこと
- 国士無双(こくしむそう):国中にならびない国士、天下第一の人物
- 驍勇無双(がいせいふばつ):天下に並ぶものがないほど、強く勇ましいこと
- 蓋世不抜(がいせいふばつ):性格や才能が、他人と比べられないほどにすぐれていること
- 百戦錬磨(ひゃくせんれんま):多くの戦いによって経験を重ね、能力が鍛えられること
全体的に、故事成語をもとにした四字熟語が多い印象です。
「万夫不当(ばんぷふとう)」の対義語
「万夫不当(ばんぷふとう)」には以下のような対義語があります。
- 脆弱(ぜいじゃく):容易に破壊されること
- 薄志弱行(はくしじゃっこう):何かを成そうとする気持ちが弱く、決断力が乏しいこと
「強さ」を表す言葉に対して、「弱さ」を表す言葉は数が少ないです。対義語もセットで頭に入れましょう。
「万夫不当(ばんぷふとう)」の英語訳
「万夫不当(ばんぷふとう)」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- invincible
(無敵) - being a match for thousands
(数千人に匹敵する) - being a mighty warrior
(力強い戦士)
まとめ
以上、この記事では「万夫不当(ばんぷふとう)」について解説しました。
読み方 | 万夫不当(ばんぷふとう) |
---|---|
意味 | 誰にも敵わないほど強いこと |
語源 | 「万夫」(数万人)で攻めてきても「不当」(倒されない) |
類義語 | 一騎当千、国士無双、蓋世不抜など |
対義語 | 脆弱、薄志弱行など |
英語訳 | invincible、being a match for thousands |
今回は四字熟語の「万夫不当」の解説をしました。軍事系の四字熟語は、その由来も意味も、勇ましくかっこいいものが多いですね。このような言葉をしっかり理解して、しかるべきタイミングで使いこなせるようになりたいものです。