「頭が下がる思い」とは「相手を尊敬する思い」という意味です。
相手から「頭が下がる思いです」と言われたとき、あなたは意味を理解することができますか。
「見聞きしたことはあっても、正しい意味や使い方はよくわからない」という人が多いのではないでしょうか。
この記事では、「頭が下がる思い」の意味や使い方、類義語、英語訳などについて詳しく解説します。
☆「頭が下がる思い」をざっくり言うと……
読み方 | 頭(あたま)が下(さ)がる思(おも)い |
---|---|
意味 | 相手を尊敬する思い |
由来 | お辞儀の動作 |
類義語 | 脱帽する 一目置く 感服する など |
対義語 | 見下す 軽蔑する |
英語訳 | take my hat off to〜 (〜に頭が下がる) respect (〜を尊敬する) など |
このページの目次
「頭が下がる思い」の意味
相手を尊敬する思い
「頭が下がる思い」とは、「相手を尊敬する思い」という意味です。
「相手の能力や行動をたたえる」というニュアンスが含まれています。
「頭が下がる思い」の使い方・例文
「頭が下がる思い」は、おもに以下のようなかたちで使います。
- 頭が下がる思いだ
- 頭が下がる思いである
- 頭が下がる思いです
- 頭が下がる思いでいっぱい
「頭が下がる思い」の例文
使い方をふまえて、具体的な例文を見てみましょう。
- 彼女の懸命な努力には、頭が下がる思いだ。
- 看護師のきめ細やかなサポートに頭が下がる思いである。
- あなたが今日のために何度も練習したのだと思うと、頭が下がる思いです。
- いつも家事をしてくれる夫には、頭が下がる思いでいっぱいだ。
- 西村さんの素晴らしい研究資料を見て、頭が下がる思いでいっぱいです。
「頭が下がる思い」を使うときの注意点
「頭が下がる思い」を使うときには、以下の2点に気をつけましょう。
- 目上の人には使わないほうがいい
- 使いすぎはNG
それぞれ詳しく見ていきましょう。
注意点①目上の人には使わないほうがいい
「頭が下がる思い」は、目上の人にはできるだけ使わないようにしましょう。
その理由は以下のとおりです。
「目上の人に対しては、常に敬意を払っているべきだ」という前提があります。
そのため、「〇〇様には、頭が下がる思いです」などど言った場合、“その場で初めて相手を尊敬した” という意味として伝わる可能性があります。
このように、受け止め方によっては、目上の人に対して「頭が下がる思い」を使うと失礼になる恐れがあるのです。
「尊敬の心を表す言葉なのだから、目上の人に対して使っても問題ない」という考える人もいます。
しかし、思わぬ誤解が生まれないように、やはり目上の人には「頭が下がる思い」を使わないようにするのが無難です。
相手に対して尊敬の気持ちを伝えたいときには、代わりに以下のような言葉を使うといいでしょう。
- 敬服(けいふく)いたします
- 心服(しんぷく)いたします
第三者について話すときは、目上の人の話題であっても、「頭が下がる思い」を使うことができます。
例:
(Aさんに対して) 「B部長の仕事に対する姿勢には、頭が下がる思いです。」
注意点②使いすぎはNG
「頭が下がる思い」という表現は、繰り返さないようにしましょう。
「頭が下がる思い」という言葉を使いすぎると、しつこい印象になってしまうからです。
あくまでも、自然と相手への尊敬が生まれたときのみに使うことが大切です。
または、別の言葉を使うと、繰り返しを避けることができます。
「頭が下がる思い」と「頭が上がらない」の違い
「頭が上がらない」は、「頭が下がる思い」と全く違う意味をもつ言葉です。
相手に罪悪感・恐れがあり、相手と対等に行動できない
「頭が上がらない」は、相手に迷惑をかけたり、相手の権力に圧倒されたりするときに使う言葉です。
「頭が下がる思い」との違いは、以下のようにまとめることができます。
- 頭が下がる思い
相手への尊敬を含む - 頭が上がらない
相手への罪悪感や恐れを含む
「頭が下がる」はポジティブな言葉、「頭が上がらない」はネガティブな言葉と覚えましょう。
「頭が上がらない」の例文
「頭が上がらない」を用いた例文を見てみましょう。
- 彼からお金を借りたことがあるので、今でも彼には頭が上がらない。
- あの人は立派な役職についているうえに、体も大きいので、いつも頭が上がらない。
「頭が上がらない」の英語訳
「頭が上がらない」を英語に訳すと、以下のようになります。
- be out of〜
- have no match for〜
- never wins against〜
- feel morally indebted to〜
- can’t hold up my head before〜
上記の英語訳はすべて、「〜には頭が上がらない」という意味を表します。
参考までに覚えておきましょう。
「頭が下がる思い」の由来
「頭が下がる思い」の意味は、お辞儀の動作に由来します。
相手に対して敬意や感謝を表すとき、お辞儀をすることがありますよね。
お辞儀をすると、自分の頭が下がります。
そのため、頭を下げる(=お辞儀をする)という動作が、相手を尊敬することのたとえになったのです。
このことから、「頭が下がる思い」は、「相手を尊敬する思い」という意味になっているのです。
「頭が下がる思い」の類義語
「頭が下がる思い」には以下のような類義語があります。
- 脱帽(だつぼう)する
相手の行動に感動し、敬う - 一目(いちもく)置く
相手の能力の高さを認めて、敬意を払う - 感服(かんぷく)する
相手に深く感心して、尊敬する - 敬服(けいふく)する
相手に深く感心して、尊敬する - 心服(しんぷく)する
心から尊敬し、従う - 畏敬(いけい)の念を抱く
自然や偉大な人を敬う - 感銘(かんめい)する
この先も忘れないほど、深く感動する - 尊ぶ(たっとぶ)
相手を敬う
※「とうとぶ」とも読む - 敬意(けいい)を表(ひょう)する
相手を敬い、重んじる - 敬愛(けいあい)する
相手を尊敬し、親しみをもつ - 崇める(あがめる)
とても尊いものとして扱う - 慕う(したう)
目上の人の考え方に憧れる - 参った(まいった)
相手の能力をたたえ、自分の敗北を認める - 恐れ入る(おそれいる)
相手の実力に圧倒される - 尊敬(そんけい)する
相手の人格や能力を認め、頭を下げたい気持ちになる
「脱帽する」は、「頭が下がる思い」と同じく、目上に人に対してはあまり使わないほうが良い言葉です。
「脱帽」には、「相手のことを認めてあげる」という “上から目線” の意味合いがあるからです。
「頭が下がる思い」の対義語
「頭が下がる思い」には以下のような対義語があります。
- 見下す(みくだす)
相手を下に見る - 軽蔑(けいべつ)
相手をばかにする - 侮蔑(ぶべつ)
相手を下に見る - 蔑み(さげすみ)
相手のことをあなどる - 軽視(けいし)
相手のことをあなどる - 蔑ろ(ないがしろ)
相手のことをあなどる - 蔑視(べっし)
相手を下に見て、ばかにする - 軽侮(けいぶ)
相手を下に見て、ばかにすること
「頭が下がる思い」の英語訳
頭が下がる思いを英語に訳すと、次のような表現になります。
- take my hat off to〜
(〜に頭が下がる) - respect
(〜を尊敬する) - look up to〜
(〜を尊敬する) - admire〜
(〜に感服する) - be worthy of praise
(称賛に値する) - grateful
(ありがたく思う) - appreciate
(〜を高く評価する)
それぞれの英語訳を用いた例文は、以下の通りです。
- I take my hat off to him for his effort.
(彼の努力には頭が下がる思いだ。) - I respect him.
(あなたを尊敬します。) - I look up to you.
(あなたを尊敬します。) - I admire him.
(彼に感服する。) - It’s worthy of praise.
(それは称賛に値する。) - I’m very grateful to you.
(あなたにとても感謝しています) - I appreciate it.
(感謝します。)
“respect” と “look up to〜” の違い
“respect” と “look up to〜” には、どちらも「相手をすごいと思う」という意味があります。
ただし、使う相手について、以下のような違いがあります。
- respect
対等な立場の人に対して使うことが多い - look up to
目上の人に対して使うことが多い
“appreciate” の意味
“appreciate” には、感心するという意味があります。
以下のような特徴がある英単語です。
- 「相手に感謝する」というニュアンスが強い
- ビジネスシーンで使うことが多い
「頭が下がる思い」の関連語
「頭が下がる思い」には、以下のような関連語があります。
- 頭が下がる人:尊敬すべき人
(例)彼は努力家で、本当に頭が下がる人だ。 - 頭が下がる:尊敬する
(例)あなたには頭が下がるよ。
「頭が下がる思い」のまとめ
以上、この記事では「頭が下がる思い」について解説しました。
読み方 | 頭(あたま)が下(さ)がる思(おも)い |
---|---|
意味 | 相手を尊敬する思い |
由来 | お辞儀の動作 |
類義語 | 脱帽する 一目置く 感服する など |
対義語 | 見下す 軽蔑する |
英語訳 | take my hat off to〜 (〜に頭が下がる) respect (〜を尊敬する) など |
相手の努力や行動に尊敬を示したいとき、「頭が下がる思い」をぜひ使ってみましょう。
ただし、目上の人に向かって使うのは失礼になる場合があるため、要注意です。
仲間や友人、部下に対して使うのが無難です。