「恐縮」の意味とは?読み方は?使い方から類語や英語まで例文付きで

言葉

今回ご紹介する言葉は熟語の「恐縮(きょうしゅく)」です。

言葉の意味・使い方・間違った使い方・強調する表現・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「恐縮」をざっくり言うと……

読み方恐縮(きょうしゅく)
意味恐れて身がすくむこと。厚意を受けて申し訳なく思う気持ち。
類義語恐れ入りますなど
英語訳Would you mind ~ing(〜していただけますか)など

「恐縮」の意味をスッキリ理解!

恐縮(きょうしゅく):恐れて身がすくむこと。厚意を受けて申し訳なく思う気持ち。

「恐縮」の意味を詳しく

「恐縮」とは、恐れて身が縮こまる、または厚意を受けたり迷惑をかけたりした際に申し訳なく思うことを指します。

「恐縮」の漢字には、それぞれ以下のような意味があります。

「恐縮」の漢字の意味
  • :こわがること
  • :小さくなること

本来は、「恐れて見が縮こまる」という意味でしたが、最近では「厚意を受けたり、迷惑をかけたりした時に申し訳なく思うこと」という意味合いで使われることが多くなりました。

「恐縮」は主にビジネスシーンで用いられる書き言葉です。

会話の中では、「恐れ入りますが」と言い換えられることが多いです。

「恐縮」は便利な言葉ですが、使いすぎは過度な謙遜になり、逆に無礼になってしまうので注意が必要です。

「恐縮」の使い方

「恐縮」は主に以下の四通りの場面で用いられます。

「恐縮」を用いる場面
  1. 感謝を伝える時
  2. 依頼をする時
  3. 不参加や辞退を申し出る時
  4. 褒められた時

それぞれの場面でのニュアンスや使い方について詳しく見ていきましょう。

使い方①:感謝を伝える時

一つ目の場面が、感謝を伝える時です。

「恐縮」を用いることで、相手の厚意を受けて、ありがたく思う気持ちを強めます。

また、相手がしてくれた行動に対して、労(いたわ)りの気持ちを伝える時や感謝から生じる気恥ずかしさを表現する時にも使います。

感謝を伝える時の例文
  1. お足元の悪い中、お越しいただき大変恐縮です
  2. いつもお心遣いいただき、恐縮の限りでございます
  3. お忙しい中、貴重なお時間をいただき恐縮いたしております

使い方②:依頼をする時

二つ目の場面が、依頼やお願いをしたい時です。

依頼したい内容を伝える前に、「恐縮ですが〜」と添えることで、迷惑や面倒をかけて申し訳ないという気持ちを強めます。

会話で用いる「すみませんが〜」よりもかしこまった表現です。

依頼をする時の例文
  1. 大変恐縮ですが、本日中までに参加の有無についてご連絡いただけますでしょうか。
  2. 恐縮なのですが、昨日の講義の資料をお送りいただけますでしょうか。

使い方③:不参加や辞退を申し出る時

三つ目の場面が、不参加や辞退を申し出たい時です。

この場合、「恐縮」は語感を緩め、相手に不快感を与えないようにする役割を持っています。

このように、社交辞令として使うこともできます。

不参加や辞退を申し出る時の例文
  1. メールにて恐縮ですが、今回の件は辞退させていただきます。
  2. 恐縮ではございますが、明日のミーティングは不参加とさせていただきます。

使い方④:褒められた時

四つ目の場面は、褒められた時の返答です。

褒められた時に感謝を伝えるために、「嬉しいです」「ありがとうございます」などとストレートに言うよりも、「恐縮です」と言った方がかしこまった印象となります。

「褒めていただけるなんて、身が縮みます」と謙遜した態度を感じさせるので、目上の人に使う際も好ましいです。

感謝の気持ちだけでなく、気恥ずかしさを表現する場合にも適切です。

褒められた時の例文
  1. お褒めいただき、恐縮です
  2. 身に余るほどの高いご評価を賜り、大変恐縮でございます

「恐縮」の間違った使い方

「恐縮」の間違った使い方には以下のようなものがあります。

「恐縮」の間違った使い方
  • 「恐縮に存じます」という表現
  • 他人に対して用いる
  • 話し言葉で使う
  • 重複して使用する
  • 重大な過失の謝罪に使う

それぞれの注意点を詳しく見ていきましょう。

「恐縮に存じます」は誤った表現

多く見られる表現として、「恐縮に存じます」があります。

しかし、「恐縮」には既に感謝や謝罪の「気持ち」が含まれており、「思う」をつけると意味が重複してしまうため、「恐縮に存じます」は誤りです。

他人に対して用いるのは誤り

「恐縮」は自分に対して使う言葉であるため、他人に対して使用するのは間違いです。

たとえば、「田中さんが上司に恐縮している」などと言うことはできません。

話し言葉で使用しない

「恐縮」は基本的に書き言葉として用います

ビジネスのメールや文書では「恐縮」を使うことで謙虚な姿勢を見せることができます。

しかしながら、会話の中で「恐縮」を使うと、相手に冷たい印象を与える場合もあります。

話し言葉として使う場合は、少し砕けた言い回しである「恐れ入ります」を使うのが一般的です。

重複して使用しない

「恐縮」に限ることではありませんが、同じ言葉を重複して使用するのは間違った使い方です。

あまりにも「恐縮」を多用すると、 わざとらしく、くどい表現になり、逆に失礼にあたります。

また、「恐縮」と「恐れ入ります」を同時に使用するのも、意味が重複してしまいます。同時に使用するのは避けましょう。

重大な過失の謝罪には使用できない

重大な過失をしてしまったお詫びとして「恐縮です」と言うのは、間違った使い方です。

「恐縮です」と言うと「反省はしているが、謝っていない」という意味になってしまいます。

謝罪する時には、きちんと「大変申し訳ございません」「お詫びの言葉もございません」「心からお詫び申し上げます」などの表現を使いましょう。

「恐縮」を強調する表現

「恐縮」を強調する表現には以下のようなものがあります。

「恐縮」を強調する表現
  • 恐縮至極
  • 甚だ恐縮
  • 恐縮しきり
  • 恐縮の至り
  • 恐縮の極み
  • 恐縮の限り

特に「恐縮」の意味を強調したい時に用いましょう。

恐縮至極

「恐縮至極」はこの上なく強く恐れ入る時に用いられる表現です。

相手に感謝する時にも、依頼する時にも使うことができます。

「恐縮至極」の例文
「身に余る言葉、恐縮至極でございます」

甚だ恐縮

「甚だ恐縮」は程度が激しく恐れ入る時に用いられます。

相手に感謝する時にも、依頼する時にも使用できます。

「甚だ恐縮」の例文
「事情をご理解いただきまして、甚だ恐縮です」

恐縮しきり

「恐縮しきり」は相手に対して強い感謝を表す時に用いられます。

「恐縮しきり」の例文
「当店をご贔屓にしていただいて、恐縮しきりです」

恐縮の至り

「恐縮の至り」は相手への感謝がとても大きいあまり、申し訳なく思う時に用いられる表現です。

「恐縮の至り」の例文
「私の活動に賛同いただきまして、恐縮の至りです」

恐縮の極み

「恐縮の極み」は相手に非常に強い感謝を感じている時に用いられます。

「恐縮の極み」の例文
「私にはもったいないお褒めの言葉を頂き、恐縮の極みでございます」

恐縮の限り

「恐縮の限り」は相手の厚意に強い感謝を感じるあまり、申し訳なく感じる時に用いられます。

「恐縮の限り」の例文
恐縮の限りでございますが、ご検討いただけますと幸いです」

「恐縮」の類義語

「恐縮」には以下の類義語があります。

  • 萎縮(いしゅく)
    身が縮こまること。元気がなくなること
  • 僭越(せんえつ)ながら
    身分を超えて出過ぎたまねをしますが
  • 光栄(こうえい)
    人に認められて名誉に思うこと

「恐縮」と「萎縮」の違い

「萎縮」は、身が縮こまるという意味が「恐縮」と共通しています。

しかし、元気がなくなるという意味は「萎縮」のみにあります。

「恐縮」と「僭越」の違い

「恐縮ながら〜」に代わる言葉として、「僭越ながら〜」が用いられることがあります。

「僭越」とは、身の程をわきまえず、自分の立場を越えた行為をすることを指します。この言葉は恐縮と同じ意味合いを持ちません。

しかし、「僭越ながら」という形を取ることで、自身の差し出がましさを詫び、恐れ多く感じていることを表現できるのです。

 

さらに、会話の場面ごとに「恐縮」と似た意味合いを持つ言い回しを以下に紹介します。

「恐縮」を用いる場面
  1. 感謝を伝える時
  2. 依頼をする時
  3. 不参加や辞退を申し出る時
  4. 褒められた時

類義語①:感謝を伝える時

感謝を伝える時の「恐縮」の類義語は以下のようなものがあります。

  • 恐れ入ります
    相手の厚意をありがたく感じた時の表現
  • 恐れ多いことでございます
    高貴な人や尊敬する人などに対して、身に余る申し訳ない気持ちを示す表現
  • おかげさまです
    相手から受けた親切に対して感謝の気持ちを表す表現
  • 痛み入ります
    相手から受けた親切に感謝しつつも、申し訳なさを感じる時の表現
  • 誠にありがとうございます
    強い感謝を表す表現
  • ありがたく存じます
    感謝や喜びの意を表す丁寧な表現
  • ありがとうございます
    感謝を丁寧に伝える一般的な表現
  • 身の縮む思いです
    相手からの身に余る厚意が恐れ多く感じる時の表現

類義語②:依頼をする時

依頼をする時の「恐縮」の類義語は以下のようなものがあります。

  • 恐れ入りますが
    「恐縮ですが」の口語表現
  • お手数をおかけしますが
    労力や時間をかけてもらって申し訳なく感じる時の表現
  • 申し訳ございませんが
    依頼することを申し訳なく思う時の表現
  • 失礼ですが
    相手に謝意・断りの意をあらかじめ示す表現

「恐れ入りますが」と「申し訳ありませんが」の違いとは?

類義語③:不参加や辞退を申し出る時

不参加や辞退を申し出る時の「恐縮」の類義語は以下のようなものがあります。

  • せっかくですが
    相手の厚意の価値を認めながらも断るときに使う
  • 申し訳ございませんが
    相手に対してわびる気持ちがあり、弁解のしようがないことを表す
  • 残念ですが
    相手の要望や申し出を断るときに使う
  • 心苦しいですが
    相手に手間や迷惑をかけることを申し訳なく思う気持ちを表す

類義語④:褒められた時

褒められた時の「恐縮」の類義語は以下のようなものがあります。

  • もったいないお言葉です
    身に余る褒め言葉をかけられた時の表現
  • 身が引き締まります
    他者から感銘を受けてその後の物事に真剣に取り組むことを決意する表現
  • 身に余る
    処遇や評価、役割などが、自分にはふさわしくないと思われるさま
  • もったいない
    ありがたすぎて、おそれ多いという気持ち

「恐縮」の英語訳

「恐縮」が用いられる場面ごとに英語訳を以下に紹介します。

「恐縮」を用いる場面
  1. 感謝を伝える時
  2. 依頼をする時
  3. 不参加や辞退を申し出る時
  4. 褒められた時

英語訳①:感謝を伝える時

感謝を伝える時の「恐縮」の英語表現は以下のようなものがあります。

  • Thank you for~
    (〜について感謝する)
  • I appreciate for~
    (〜についてありがたく思う)

英語訳②:依頼をする時

依頼をする時の「恐縮」の英語表現は以下のようなものがあります。

  • If you don’t mind~
    (差し支えなければ〜)
  • Would you mind ~ing
    (〜していただけますか)
  • if it is okay with you~
    (もしよければ〜)
  • I am sorry to trouble you, but~
    (お手数おかけしますが、~)
  • I will trouble you~
    (お手数おかけして恐縮ですが~)

英語訳③:不参加や辞退を申し出る時

不参加や辞退を申し出る時の「恐縮」の英語表現は以下のようなものがあります。

  • I am afraid that~
    (恐縮ですが〜できません)

英語訳④:褒められた時

褒められた時の「恐縮」の英語表現は以下のようなものがあります。

  • I am really grateful.
    (本当に嬉しく、恐縮しています。)
  • It’s very kind of you.
    (ご厚意に感謝しています)

まとめ

以上、この記事では「恐縮」について解説しました。

読み方恐縮(きょうしゅく)
意味恐れて身がすくむこと。厚意を受けて申し訳なく思う気持ち。
類義語恐れ入りますなど
英語訳Would you mind ~ing(〜していただけますか)など

ここまで読み終えたあなたなら、複数の意味合いを持つ「恐縮」の使い方もバッチリでしょう。

相手に失礼がないように、様々な場面に合わせて使い分けをしてくださいね。