今回ご紹介する言葉は、熟語の「懐疑的(かいぎてき)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・対義語・英語訳・「懐疑」がつく言葉についてわかりやすく解説します。
☆「懐疑的」をざっくり言うと……
読み方 | 懐疑的(かいぎてき) |
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意味 | 完全に信じることができず疑っている様子や状態のこと |
類義語 | 猜疑的(さいぎてき)、半信半疑(はんしんはんぎ)など |
対義語 | 妄信的、盲信的、確信的など |
英語訳 | Skeptical、Unbelievingなど |
このページの目次
「懐疑的」の意味をスッキリ理解!
「懐疑的」の意味を詳しく
「懐疑的(かいぎてき)」には以下の2つの意味があります。
- 完全に信じることができず疑っている様子や状態のこと
- 【哲学用語】十分な根拠がなく、判断を躊躇する
①の意味が一般的ですが、②の意味でも用いられることがあります。
それぞれの意味について、「懐疑的」の漢字の成り立ちとともに見ていきましょう。
意味①:完全に信じることができず疑っている様子や状態のこと
「懐疑的」は「完全に信じることができず疑っている様子や状態のこと」という意味で用いられるのが一般的です。
相手の発言や物事について、「怪しいと疑っている状態」のことを表します。
「完全には信じられない」という否定的なニュアンスで用いられることが多い言葉です。
意味②:十分な根拠がなく、判断を躊躇する
「懐疑的」は哲学用語として「十分な根拠がなく、判断を躊躇する」という意味で用いられることもあります。
ある命題について明確な根拠が得られないため、まだ判断を行えない様子を表します。
「懐疑的」の漢字の意味
「懐疑的」を構成する漢字には以下のような意味があります。
- 懐:心の中の思い
- 疑:あやしむ
- 的:そのようなようすの
つまり、「懐疑的」は漢字を3つ組み合わせて「心の中であやしいと思っている様子」という意味になるのです。
「懐疑的」の使い方
「懐疑的」は以下のような言い回しで用いられることが多いです。
- 懐疑的だ
- 懐疑的な人
- 懐疑的な性格
- 懐疑的な見方/懐疑的見方/懐疑的意見
- 懐疑的な目
- 懐疑的な態度/懐疑的な姿勢
- 懐疑的な立場/懐疑的立場/懐疑的視点
- 懐疑的な思考/懐疑的思考
それぞれの言い回しの意味について、例文とともに見ていきましょう。
使い方①:懐疑的だ
「懐疑的だ」は「疑わしい」という意味で、よく使われる表現です。
文末に用いて完全に信じることができない様子を表します。
同じような言い回しで、「懐疑的になる」という形が用いられることもあります。
- この実験に対して、私は懐疑的だ。
- 富裕層が裕福になれば、庶民も裕福になるという理論に対して懐疑的にならざるをえない。
使い方②:懐疑的な人
「懐疑的な人」とは、「物事を常に疑ってかかる人」という意味の言い回しです。
「〇〇について懐疑的な人」という形にすると、特定の物事について疑わしいと思っている人を表すこともできます。
- 彼は懐疑的な人なので、常に否定的な言葉を口にする。
- 噂の新製品の効果について懐疑的な人もいる。
使い方➂:懐疑的な性格
「懐疑的な性格」は「物事を常に疑ってかかるような性格」という意味です。
「懐疑的な人」と似たような意味です。
- 「懐疑的な性格では何かを損するよ」と言われた。
- 懐疑的な性格のおかげで怪しい詐欺に引っかからずに済んだ。
使い方④:懐疑的な見方/懐疑的見方/懐疑的意見
「懐疑的な見方」「懐疑的見方」「懐疑的意見」とは、「ある物事について疑わしいととらえる」という意味です。
物事をまず「疑わしい」という前提に立ってとらえる様子を表します。
- 彼は常に懐疑的見方をする人なので、新しいことになかなか挑戦しない。
- その医者は新薬の効果について懐疑的な見方を示した。
- 彼は常に懐疑的意見を述べる人だ。
使い方⑤:懐疑的な目
「懐疑的な目」とは、「ある物事を否定的にとらえているような目」という意味です。
他人がある物事に対して否定的な態度を取っている様子を表します。
- 「彼女ができた」と言ったら、懐疑的な目で見られた。
- 営業マンに懐疑的な目を向ける。
使い方⑥:懐疑的な態度/懐疑的な姿勢
「懐疑的な態度」「懐疑的な姿勢」とは、「ある物事を疑わしいと感じている態度や姿勢」のことです。
「懐疑的な目」と同じような意味です。
- 彼を占いに連れて行ったが、終始懐疑的な姿勢を崩さなかった。
- 野党は政府の決定に懐疑的な態度を示した。
使い方⑦:懐疑的な立場/懐疑的立場/懐疑的視点
「懐疑的な立場」「懐疑的立場」「懐疑的視点」は「ある物事について否定的な様子」を表す言葉です。
「懐疑的な見方」とほぼ同じ意味です。
- 懐疑的な立場で思考する癖をつける。
- この研究で示された効果には懐疑的立場の人が多い。
- 懐疑的視点で見ると、物事の新たな側面が見えてくる。
使い方⑧:懐疑的な思考/懐疑的思考
「懐疑的な思考」「懐疑的思考」とは、「物事についてまず疑ってみる考え方」という意味です。
このような考え方は「批判的思考」と表現されることもあります。
「懐疑的な思考」をすることは、物事を深くとらえるのに不可欠です。
- 懐疑的な思考をすれば、詐欺に引っかかることはない。
- 教授から懐疑的思考をするよう言われた。
「懐疑的」の類義語
懐疑的(かいぎてき)には以下のような類義語があります。
- 猜疑的(さいぎてき):他人の言動を素直に受け取れず疑ったり妬むこと
- 半信半疑(はんしんはんぎ):半分信じて半分疑っている様子
- 訝(いぶか)る:様子が変だと不審に思う
- 不信(ふしん):信用しないこと
- 疑惑(ぎわく):本当か信用できないと思うこと
- 疑義(ぎぎ):意味がはっきりしないこと
- 疑念(ぎねん):あることが本当かどうか疑う気持ち
- 批判的(ひはんてき):ある人や物事についてすぐ同調せずに批判しようとするさま
- 否定的(ひていてき):否定する内容をもつさま
- 疑い深い(うたがいぶかい):物事を信用せず、すぐ疑ってみる性質
- 用心深い(ようじんぶかい):危険な目にあわないように用心している様子
- 邪推深い(じゃすいぶかい):他人の行為の意味を悪い意味で推測する傾向が強いこと
- 疑心暗鬼(ぎしんあんき):なんでもないことでも怖いと思うこと
- 釈然(しゃくぜん)としない:疑念や迷いが貼れずすっきりしないこと
「懐疑的」と「猜疑的」の違い
「猜疑的」は「人を対象にして疑ったり妬(ねた)んだりすること」を指します。
「懐疑的」と「猜疑的」には以下のような違いがあります。
- 懐疑的:疑問点や信用できない理由があり、疑わしいと感じる様子
- 猜疑的:根拠はなく相手に嫉妬する気持ちから相手を疑ってしまうこと
「懐疑的」と「猜疑的」では疑う根拠があるかどうかが異なるのです。
どちらも「疑う」という意味は共通しています。
「懐疑的」と「否定的」の違い
「否定的」とは、「否定する内容をもつさま」という意味です。
たとえば、「否定的な意見」と言った場合には、ある物事に対して反対するような意見のことを指します。
「懐疑的」と「否定的」には以下のような違いがあります。
- 懐疑的:ある物事を「疑う」
- 否定的:ある物事を「否定する」
「懐疑的」と「否定的」では意味が大きく異なるのです。
「半信半疑」の意味
「半信半疑(はんしんはんぎ)」は、全否定をすることはできないが肯定しきれない部分もあるため「判断がつかない」という意味です。
「半信半疑」は哲学的な意味の「懐疑的」とほぼ同じような意味です。
「懐疑的」の対義語
懐疑的(かいぎてき)には以下のような対義語があります。
- 盲信的(もうしんてき):考えてみたが理解できず判断放棄して信じること
- 妄信的(もうしんてき):考えることなく頭から信じてしまうこと
- 確信的(かくしんてき):強い意志を持って信じ、疑う余地のない状態
- 盲目的(もうもくてき):愛情、情熱などによって理性的な判断ができないこと
- 自信満々(じしんまんまん):自分の能力や判断が良いと自信に満ち溢れていること
- 過信(かしん):価値、力量などを信頼しすぎること
- 信じ込む(しんじこむ):すっかり信じており、信じる気持ちが揺るがないこと
- 信頼感(しんらいかん):その人を信頼して損はないと感情や判断
- 信仰心(しんこうしん):宗教などを信じる心
「盲信的(もうしんてき)」「妄信的(もうしんてき)」「確信的(かくしんてき)」も似たような意味を持ち、疑うことをせずに信じることを意味する熟語です。
物理的や心理的には違いがありますが、ひたすらに強い意志で信じてしまうことです。
「懐疑的」の英語訳
懐疑的(かいぎてき)を英語に訳すと、次のような表現になります。
- “Skeptical”
(懐疑的)
例:I’m skeptical about the benefits of this supplement.
(このサプリメントの効能に対して懐疑的である)
- “Unbelieving”
(懐疑的)
例:Unbelieving public
(懐疑的な一般の人々)
- “take a dim view of”
(批判的態度を取る)
例:My mother takes dim view of my dream.
(母は私の将来の夢を良く思っていない)
「懐疑」がつく言葉
「懐疑」がつく言葉としては以下のようなものが挙げられます。
- 懐疑論 / 懐疑主義
- 懐疑派
それぞれの言葉の意味について詳しく見ていきましょう。
懐疑論 / 懐疑主義
「懐疑論」「懐疑主義」は哲学の一思想で、基本的な原理や認識などについて、すべて疑ってかかり、妥当性や客観性などを詳細に検討する主義です。
すべてのものに対して疑ってかかることから、「懐疑主義」という名前がつきました。
「懐疑主義」で特に有名なのはデカルトです。
デカルトはさまざまな物事の普遍性を検討した結果、自分が今考えている、ということは誰にも否定できないと考え、「我思う、故に我あり」という言葉を残しました。
懐疑派
「懐疑派」とは「懐疑主義」を持つ哲学者の派閥のことです。
まとめ
以上、この記事では「懐疑的(かいぎてき)」について解説しました。
読み方 | 懐疑的(かいぎてき) |
---|---|
意味 | 完全に信じることができず疑っている様子や状態のこと |
類義語 | 猜疑的(さいぎてき)、半信半疑(はんしんはんぎ)など |
対義語 | 妄信的、盲信的、確信的など |
英語訳 | Skeptical、Unbelievingなど |
「懐疑的(かいぎてき)」は、物事を疑う否定的な意味で使用されるのが一般的です。
哲学的な意味も持つため、意味の違いを理解することが大切です。
どちらの意味が正しいのかしっかりと判断し使い分けていきましょう。