今回ご紹介する言葉は、熟語の「重複(ちょうふく)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「重複」をざっくり言うと……
読み方 | 重複(ちょうふく) |
---|---|
意味 | 同じ物事が二重に重なること |
類義語 | 繰り返し、反復、二言 |
対義語 | 単一 |
英語訳 | double(二重) |
「重複」の意味をスッキリ理解!
「重複」の意味を詳しく
「重複」とは、同じ物事が二重に重なることです。「ちょうふく」とも「じゅうふく」とも読みます。一般的には両方の読み方が通用していますが、正しい読み方は「ちょうふく」です。
「じゅうふく」は慣用読みとして通用してはいますが、誤った読み方が徐々に浸透していったもので、正しい読み方ではありません。
「重」は物事が重なる時には「ちょう」と読むからです。「じゅう」と読む時には「重い」という意味になります。
他にも、慣用読みがある熟語は以下のようなものがあります。
熟語 | 正しい読み | 慣用読み |
---|---|---|
捏造 | でつぞう | ねつぞう |
独壇場 | どくせんじょう | どくだんじょう |
早急 | さっきゅう | そうきゅう |
輸出 | しゅしゅつ | ゆしゅつ |
相殺 | そうさい | そうさつ |
撹乱 | こうらん | かくらん |
「重複」の漢字の意味は以下の通りです。
- 重(ちょう):重なる、大切にする
- 複:重なる、重ねる
「重複」の「重」は、「重(ちょう)」と読み、「重なる」「大切にする」という意味があります。一方、「重(じゅう)」と読むときは「重い」という意味になります。
「重(ちょう)」という読みが使われる熟語は「重複」のほか、価値が高く大切なものという意味の「貴重」、慎みはばかるという意味の「慎重」などがあります。
また、「複」も「重なる」「重ねる」という意味があります。同じ意味の重ね合わせにより、「かさなる」という意味になります。
「重複」には上記の一般的な意味に加え、以下のような分野ごとに異なる意味があります。
- 数学分野
- 生物分野
- 医療分野
- 法律分野
- コンピューター分野
- 言語における「重複」
- 選挙における「重複」
- チケットにおける「重複」
- ゲームにおける「重複」
それぞれの分野での意味について詳しく見ていきましょう。
数学分野
数学分野における「重複」は以下のような言葉があります。
- 重複順列
n個のものから、同じものを何回でも取ることを許して、r個取る順列 - 重複組合せ
n個のものから、同じものを何回でも取ることを許して、r個取る組み合わせ
順列・組合せは高校数学の学習範囲です。
- 順列
異なるn個のものからr個選んで「一列に並べる」場合の数 - 組合せ
異なるn個のものからr個選んで「選び方」の数
「同じものを何回でも取ることを許して」という条件が含まれる順列・組合せの場合、それぞれ「重複順列」「重複組合せ」という分類になります。
生物分野
生物分野における「重複」は以下のような言葉があります。
- 重複受精
胚のう内で2個の精細胞のうち、1個は卵細胞と、もう1個は中央細胞と融合する被子植物に特有の受精方法 - 重複遺伝子
ゲノム上で、ある遺伝子を含む配列が複製してできた遺伝子または遺伝子群の総称 - 重複寄生
既に宿主の体内や卵に侵入している寄生生物の体内に卵を産みつけること
医療分野
医療分野における「重複」には以下のような言葉があります。
- 重複投薬
1人の患者が、複数の医院で同じ薬効の薬を処方されること - 重複障害
複数の心身の障がいを併せ有すること
法律分野
法律分野における「重複」には以下のような言葉があります。
- 重複課税
物やサービスなどに二つ以上の税金がかかっていること。二重課税ともいう - 重複保険
同種類の保険に複数加入すること - 重複起訴
裁判中の同一事件について重ねて起訴すること。二重起訴ともいう - 重複尋問
刑事訴訟で、すでに行なわれた尋問と重複する尋問をすること
コンピューター分野
コンピューター分野における「重複」は以下のような言葉があります。
- 重複排除
データ内の重複を取り除き、保存や転送の効率化を図ること。重複除外ともいう - 重複データ
重複しているデータのこと
言語における「重複」
言語における「重複」は以下のような言葉があります。
- 重複表現
同じ意味の言葉を繰り返し使うこと
日常会話ではよく使われているものもありますが、文章を書く上では間違った日本語としてみなされることが多いです。
以下にいくつか重複表現の典型例と正しい表現をまとめました。
重複表現 | 正しい表現 |
---|---|
頭痛が痛い | 頭が痛い |
馬から落馬する | 馬から落ちる、落馬する |
犯罪を犯す | 罪を犯す |
被害を被る | 被害を受ける、損害を被る |
違和感を感じる | 違和感がある、違和感を覚える |
内定が決まる | 内定する |
過半数を超える | 過半数に達する |
一番最初/一番最後 | 最初/最後 |
まずはじめに | まず、はじめに |
約〇〇程度 | 約〇〇、〇〇程度 |
「重複表現」の特徴としては、同じ意味を含む単語と動詞を使っているものや同じような表現を繰り返していることが挙げられます。
重複表現を減らして、スマートな日本語を使えるように心がけましょう。
選挙における「重複」
選挙における「重複」は以下のような言葉があります。
- 重複立候補
1人の候補者が小選挙区選挙と比例代表選挙の双方に立候補すること
「重複立候補」とは、「1人の候補者が小選挙区選挙と比例代表選挙の双方に立候補すること」を意味します。
この場合、小選挙区で落選しても、小選挙区での惜敗率によっては、比例代表での当選が可能になります。
チケットにおける「重複」
チケットにおける「重複」は以下のような言葉があります。
- 重複申込
一つのライブやコンサートに同一人物が複数回申し込みすること - 重複当選
一つのライブやコンサートでチケットが重複して当選すること
重複して申し込みをしたり、当選したりした場合、チケット自体が無効になることがあります。
ライブやコンサートによってチケットの申し込み方法や当選ルールには違いがあります。申し込む際には注意事項をよく読みましょう。
ゲームにおける「重複」
ゲームにおける「重複」は「複数の効果が有効」という意味合いで使われることがあります。
たとえば、RPG(ロールプレイングゲーム)で、複数のアイテムが使える場合、全てのアイテムが有効な場合に「(効果が)重複する」「重複が可能」などと使います。
「重複」の使い方
- 同じ人が重複して二度お申し込みをすることはできませんので、ご注意ください。
- データが重複していることに気がつき、慌てて修正をした。
上記の例文のように、「重複」は「データ」や「お申し込み」など、なんらかの情報がかさなっている場合に多く使われます。
①の例文では、同じ人物が二回以上の登録をすることについて、「重複」という表現をしています。
②の例文では、ひとつのデータが複数回分として扱われていることについて、「重複」という言葉が使われています。
同じデータが複数回分カウントされてしまうことは、公平性を欠いたり正確な統計ができなくなったりする原因となります。そのため、上記の例文のように、「重複」はネガティブなニュアンスで使われがちです。
「重複」の類義語
重複には以下のような類義語があります。
- 繰り返し
同じことを続けたり、複数回行ったりすること - 反復
同じことを何度も続けること - 二言(にごん)
二回同じことを言うこと、一度言ったことと相反することを言うこと - ダブり
物事が重複すること - カブり
かぶること - 重出(じゅうしゅつ)
文章などで、同じ事柄が重複して出ること - 畳語(じょうご)
同じ単語または語根を重ねて一語とした複合語 - 冗語(じょうご)
むだな言葉、よけいな言葉 - 二重(にじゅう)
同じことやものが二つ重なること - 複合
複数のものが合わさって一つのものになること
「繰り返し」と「反復」の違い
「繰り返し」「反復」とは、同じことを複数回続けることです。
「繰り返し」と「反復」の違いは以下の通りです。
- 繰り返し
最低二回同じことをしたときに使われる - 反復
二回よりも多く、数え切れないほど同じ動作を繰り返す場合に使われる
何度も続ける場合には「繰り返し」も「反復」も使うことができます。
しかし、繰り返す回数が二回である場合には「反復」は使わず「繰り返し」を使いましょう。
「二言」の意味
「二言」は二回同じことを言うことです。
また、自分の以前の発言と矛盾するような発言をすることについても「二言」といいます。こちらの意味の方が多く使われますが、文脈に応じて判別しましょう。
「重複」の対義語
重複には以下のような対義語があります。
- 単一(たんいつ):ただひとつのもの
- 単独:ただ一人・一つである、他から独立している
- 一意:一つの考え。また、考えが同じであること
- ユニーク:ひとつしかなく、独特であること
- 固有:本来持っていること、そのものだけにあること
「重複」の英語訳
重複を英語に訳すと、次のような表現になります。
- double
(二重) - repetition
(繰り返し) - duplication
(複製、二重、重複) - overlap
(重なり、重複部分) - redundant
(冗長な、余分な) - not mutually exclusive
(相互排他的でない)
“double” の意味
“double” は、「二重」という意味の英単語です。「二つ」「二倍」という意味や「重なり」という意味もあります。「三重」としたい場合には “triple” としましょう。
日本語の「ダブる」も英語の “double” から来ています。
以下の例文のように、 “double 〇〇” という形で「重複〇〇」を英語で表現することができます。
- double fertilization
(重複受精) - double medication
(重複投薬) - double insurance
(重複保険) - double candidacy
(重複立候補)
“repetition” の意味
“repetition” には、「繰り返し」という意味があります。
“double” は、「まったく同じものが二つ存在する」というニュアンスで、 “repetition” は「複数の同じものを繰り返す」というニュアンスです。言いたい内容に合わせて使い分けましょう。
- You should avoid the repetition of the same word in a sentence.
(同一文中での同じ語の重複は避けたほうがよい。) - combination with repetition
(重複組み合わせ)
“duplication” の意味
“duplication” は「複製」「二重」「重複」という意味の名詞です。動詞形は “duplicate” です。
「重複する」という意味の中でも、「複製する」「コピーする」という意味合いで使われます。コンピューター上の処理やプログラミングでよく使われます。
“duplicate” を使った例文は以下の通りです。
- He made a duplicate of the document.
(彼はその書類をコピーした。) - duplicate data
(重複データ) - duplicate gene
(重複遺伝子)
“overlap” の意味
“overlap” は、「重なり」「重複部分」という意味の英単語です。overlapの形で名詞としても動詞としても使えます。
「重複」という意味の中でも、二つ以上のものが重なり合うことやその共通している部分を指すことが多いです。
“overlap” を使った例文は以下のようなものがあります。
- There is some overlap between the two works.
(二つの作品の間にはある程度重複がある。) - This code deletes automatically overlapped data.
(このプログラムは重複したデータを自動的に削除する) - overlapping candidacy
(重複立候補)
日本語でも「重なり合うこと」という意味で「オーバーラップ」をカタカナ語として使うこともあります。
ただし、日本語の「オーバーラップ」は、以下のような専門用語として使われることもあります。
- 二つ以上のものの姿が重なり合うこと
- 一つの画面を消しながら、重ねて次の画面を写し出す映像編集技術
- サッカーで後方の選手がボールを持っている味方選手を追い越して、前線へ走り上がること
“redundant” の意味
“redundant” は「冗長な」「余分な」という意味の形容詞です。また、「余剰人員」という意味から「解雇された」という意味で使われることもあります。
“redundant” を使った例文は以下のようなものがあります。
- There’s a lot of redundant information that you could cut out.
(削除してもいいような冗長な情報がたくさんある。)
“not mutually exclusive” の意味
“mutually exclusive” は直訳すると「相互排他的」という意味で、「両方を兼ねる状態がない」「相容れない」ことを表します。
これに否定のnotをつけ、 “not mutually exclusive” とすることで「互いに排他的でない=重複している」と表現できます。
- These two approaches are not mutually exclusive.
(この二つのアプローチは相互に排他的ではない。)
まとめ
以上、この記事では「重複」について解説しました。
読み方 | 重複(ちょうふく) |
---|---|
意味 | 同じ物事が二重に重なること |
類義語 | 繰り返し、反復、二言 |
対義語 | 単一 |
英語訳 | double(二重) |
「重複」は、日常的に使う言葉でありながら、さまざまな分野で専門用語としても使われています。
それぞれの意味をしっかりと覚えておきましょう。