今回ご紹介する言葉は、ことわざの「虻(あぶ)蜂(はち)取らず」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「虻蜂取らず」をざっくり言うと……
読み方 | 虻(あぶ)蜂(はち)取らず |
---|---|
意味 | 2つのものを同時に手に入れようとして、結局どちらも得られないこと |
由来 | 虻と蜂の両方を退治しようとして、どちらも取り逃がすこと |
類義語 | 二兎を追う者は一兎をも得ず、大欲は無欲に似たり、欲の熊鷹股裂くるなど |
対義語 | 一石二鳥、一挙両得、一箭双雕 |
英語訳 | Between two stools you fall to the ground.(2つの椅子に座ろうとして尻餅をつく。) |
このページの目次
「虻蜂取らず」の意味をスッキリ理解!
「虻蜂取らず」の意味を詳しく
「虻蜂取らず」は2つのものを同時に手に入れようとして、結局どちらも得られないという意味です。欲張りすぎると失敗することや、計画を曖昧にしておくと失敗することを表します。
本来は「虻も取らず蜂も取らず」という表現でしたが、省略されて「虻蜂取らず」になりました。
虻とはハエ目の昆虫です。オスは樹液や花の蜜を、メスは人や動物の血を食料とします。
「虻蜂取らず鷹(たか)の餌食(えじき)」や「虻も取らず蜂に刺される」ともいいます。これらのことわざは、ただ単に失敗しただけでなく、損失が出たことを強調しています。
「虻蜂取らず」の使い方
- ヨガと料理のクラスを両方取ったが、どちらも中途半端なままやめてしまった。これでは虻蜂取らずだ。
- 虻蜂取らずだったと言われないように、仕事と資格の取得の両方を必死で頑張っている。
①と②の例文はいずれも、「2つのものを手に入れようとして、最終的にはどちらも得られない」という意味で「虻蜂取らず」を使っています。
「虻蜂取らず」の由来
「虻蜂取らず」の由来は2つあります。
1つ目の由来は、虻と蜂を同時に退治しようとしたエピソードです。2つ目の由来は、虻と蜂の両方を食べたいクモのエピソードです。
虻と蜂を同時に駆除しようとした人の失敗
ある人が、虻と蜂を駆除しようとしました。しかし、欲張って、両方を一度に退治しようとしました。その人は、虻か蜂のどちらを先に退治するかを決めなかったのです。その結果、どっちつかずになってしまい、虻と蜂の両方を取り逃がしました。
このことから、「虻蜂取らず」は「2つのものを同時に手に入れようとして、結局どちらも得られない」という意味になりました。
クモの失敗
ある日、クモが巣を作って獲物を待っていました。まず最初に虻が捕まったので、クモは見に行こうとしました。その時、蜂も捕まりました。どちらを先に食べようか迷ったクモは、虻を見に行くのをやめて、蜂の様子を見に行くことにしました。
クモが蜂を見に行っている間、虻はクモの巣から逃げようともがいています。虻に逃げられては困るので、クモは考えを変えます。そして、虻を先に食べることにしました。すると、さっきまで捕まっていた虻が、巣から逃げました。
虻に逃げられたクモは、蜂を食べることにしました。しかし、蜂もまた巣から逃げようと必死になっています。そして、偶然にも、蜂もクモの巣から逃げました。どちらを先に食べるか迷ったクモは、最終的に虻と蜂の両方に逃げられました。
この話では、どっちつかずな行動をしたために、両方の獲物に逃げられることを表しています。このことから、「虻蜂取らず」は「2つのものを同時に手に入れようとして、結局どちらも得られない」という意味になりました。
「虻蜂取らず」の類義語
「虻蜂取らず」には以下のような類義語があります。
- 二兎(にと)を追う者は一兎(いっと)をも得ず:「虻蜂取らず」と同じ意味
- 大欲(たいよく)は無欲に似たり:欲張りな人は損をしやすく、結局無欲と同じになるということ
- 欲の熊(くま)鷹(たか)股(また)裂(さ)くる:欲張りだと損をしやすいということ
- 欲は身を失う:欲が深いと身を滅ぼす可能性があるということ
- 心は二つ身は一つ:同時に2つのことを手に入れることはできないということ
「虻蜂取らず」の対義語
「虻蜂取らず」には以下のような対義語があります。
「虻蜂取らず」の英語訳
「虻蜂取らず」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- Between two stools you fall to the ground.
(2つの椅子に座ろうとして尻餅をつく。) - If you run after two hares, you will catch neither.
(二兎追うものは一兎をも得ず。)
まとめ
以上、この記事では「虻蜂取らず」について解説しました。
読み方 | 虻(あぶ)蜂(はち)取らず |
---|---|
意味 | 2つのものを同時に手に入れようとして、結局どちらも得られないこと |
由来 | 虻と蜂の両方を退治しようとして、どちらも取り逃がすこと |
類義語 | 二兎を追う者は一兎をも得ず、大欲は無欲に似たり、欲の熊鷹股裂くるなど |
対義語 | 一石二鳥、一挙両得、一箭双雕 |
英語訳 | Between two stools you fall to the ground.(2つの椅子に座ろうとして尻餅をつく。) |
やりたいことが多いことは素晴らしいですが、あれこれ手を出し中途半端になると、いい結果を生みません。
順番を決めて1つずつ確実に進めていけば、損をすることはないでしょう。