「報われる」とは?意味や読み方、類語、英語訳など徹底解説!

言葉

「報われる」とは「努力や苦労に見合った成果が得られること」という意味です。

ニュースや新聞、さらにはメールなどでも使われる表現のため、意味や読み方が気になった方も多いのではないでしょうか。

また、なんとなく単語としては知っていても、どういう状況で使って良いのかわからなかったり、似ている他の単語との違いがわからなかったりしますよね。

この記事では、「報われる」の意味や使い方から、類義語、似ている単語との違いなども解説します。

☆「報われる」をざっくり言うと……

読み方報われる(むくわれる)
意味努力や苦労に見合った成果が得られること
類義語実を結ぶ
雨垂れ石を穿つ
一労永逸 など
対義語浮かばれない
水の泡
甲斐がない
英語訳pay off(実る)など

「報われる」の意味

むくわれる

努力や苦労に見合った成果が得られること

例:仕事が成功して、苦労が報われたよ。

「報われる」は、「むくわれる」と読み、これまでの努力や苦労に見合った、期待通りの成功や成果が得られたときに使います。

「報われる」の単語を分解すると、以下のようになります。

「報われる」を構成する単語
  • 報わ
    ワ行五段活用動詞「報う」の未然形
    受けたことに見合う行動を相手に行うこと
  • れる
    受身の助動詞「れる」の終止形
「報う」の意味は「報いる」と全く同じです。こちらはもともと、その中身の良し悪しに関わらず、自分のされたことに見合うだけのことを相手にやり返すという意味の単語です。

そこに受身の助動詞「れる」がつくことによって、「自分のしたことに見合うだけのことを受け取る」という意味になりました。

「報われる」の方にはネガティブなニュアンスはなく、良い事柄にだけ使います。

 

なお、「酬(むく)われる」と表記することもありますが、ほとんどの場合は報われるという漢字を使います。

「報」「酬」は2つ合わせて「報酬」という二字熟語になります。報酬は労力に対する対価として与えられるものであり、「報われる」もそのようなイメージで捉(とら)えると良いでしょう。

送り仮名に注意

「報われる」の送り仮名を「報れる」にしないよう、注意が必要です。

「報われる」の使い方

「報われる」は、以下のようなフレーズでよく使われます。

  1. 努力が報われる
  2. 苦労が報われる
  3. 頑張れば報われる
  4. 報われる気持ち
  5. 好きな気持ちが報われる
  6. 報われない恋
  7. 報われる(単体)

それぞれ詳しく見ていきましょう。

使い方①:努力が報われる

1つめの使い方は「努力が報われる」です。「これまでの努力に見合った成果が得られる」という意味です。

大変ポピュラーな使い方です。報われるという言葉がそもそも「努力や苦労に見合う成果を得る」という意味であるため、「努力」という単語と結びついて使われることが非常に多いです。

逆に、「努力が報われない」という風に否定形にした場合は、「これまでの努力に見合った成果が得られない」という意味になります。

「努力」と「報われる」を使った表現としては、他にも「報われるまで努力する」などがあります。こちらは「成果が得られるまで努力する」という意味です。

例文
第一志望に合格したことで、努力が報われた

使い方②:苦労が報われる

2つめの使い方は「苦労が報われる」です。「これまでの苦労に見合った成果が得られる」という意味です。

こちらも①の「努力が報われる」とほぼ同じ意味で、非常によく使われる使い方です。

「努力が報われる」よりも「苦しかった」というニュアンスが強まります。

例文
子どもが成人を迎えた。親としては本当に苦労が報われた気がする。

使い方③:頑張れば報われる

3つめの使い方は「頑張れば報われる」です。「頑張ればそれに見合う成果を得られる」という意味です。

相手を勇気づける際によく使います。スポーツに関する作品などで、このフレーズを見かけた方も多いのではないでしょうか。

「頑張れば必ず報われる」など、「絶対」や「必ず」と言った言葉を一緒に使うことも多いです。

例文
それくらいのことで諦めるな!頑張れば絶対報われるから!
「頑張れば報われる」は逆効果になる場合もある

励ます言葉として有名な「頑張れば報われる」ですが、状況によっては相手を傷つける場合もあります。

「頑張れば報われる」は暗に「頑張らないと報われない」というようなニュアンスを含むため、すでに頑張り疲れた相手に対して投げかけると、逆に彼らの悪い未来を暗示してしまうからです。

使うタイミングと相手に注意しましょう。

使い方④:報われる気持ち

4つめの使い方は、「報われる気持ち」です。「これまでの努力や苦労に見合う成果が出てうれしい」という意味です。

多くの場合、「〜になり、報われる気持ちだ」「〜で報われる気持ちがする」というようなフレーズで使われます。

成果が出て、ほっとしているようなニュアンスも含みます。

例文
自分が責任者となって進めていた大口の商談が成功し、報われる気持ちだ。

使い方⑤:好きな気持ちが報われる

5つめの使い方は、「好きな気持ちが報われる」です。「好きな相手と両思いになる」という意味です。

④の「報われる気持ちだ」と字面としては似ていますが、意味は大きく違います。

「好きな気持ちが報われる」というフレーズで「報われる」を使う場合、「苦労に見合った成果を得る」という意味合いよりも「自分の傾けている好意と同じだけのものが返ってくる」という意味合いが強くなります。

例文
彼女と付き合えることになり、好きな気持ちが報われた

使い方⑥:報われない恋

6つめの使い方は、「報われない恋」です。「叶わない恋」という意味です。

こちらも⑤の「好きな気持ちが報われる」と同じで、「自分の向けている好意と同じものが返ってくる」という意味で「報われる」を使っています。

そのため、「報われない恋」は「叶わない恋」という意味になります。ただし、両思いにもかかわらず社会的な障害に阻まれて恋が成就しない場合でも「報われない恋」と言うことが多いです。

もちろん、叶った恋のことを「報われる恋」と表現することもできます。

例文
報われない恋に枕を濡らすのは、これで何度目だろうか。

使い方⑦:報われる(単体)

7つめの使い方は、「報われる(単体)」です。

「努力」や「苦労」、「気持ち」などの言葉をあえて省き、「報われる」を単体で使うこともあります。

「報われる」という言葉そのものにも「努力や苦労をしてきた」というニュアンスが含まれるため、一語だけで使った場合にも努力や苦労の上での成果であることを感じさせることができます。

自分がしてきた経験が「努力」や「苦労」などの枠に単純に当てはめられない場合などには特に有効な言い回しです。

例文
僕の10年が、やっと報われるような気がするよ。

「報われる」の類義語

「報われる」には以下のような類義語があります。

「報われる」の類義語
  • 実を結ぶ
    努力などが成功という形になって現れること
  • 実る
    努力などが成功という形になって現れること
  • 結実する
    努力などが成功という形になって現れること
  • 開花する
    物事の成果が現れること
  • 花開く
    物事の成果が現れること
  • 成果を出す
    自分の行動によって良い結果が生まれること
  • 成果をもたらす
    自分の行動によって良い結果が生まれること
  • 日の目を見る
    長い間恵まれなかった人が成功すること
  • 恩返しされる
    助けた相手が自分の利益になることをしてくれること
  • 甲斐がある
    労力を傾ける意味が見出せるようなことが起こること
  • 結果に結びつく
    努力などの成果が現れる
  • 浮かばれる
    苦労などに見合った成果が得られること
  • 収穫を得る
    成果を得ること
また、「報われる」と同じ意味のことわざは以下の通りです。
「報われる」と同じ意味のことわざ
  • 雨垂れ石を穿(うが)つ
    小さな雨粒でも、降り続ければ石に穴を開けることができること
    転じて、努力は実ること
  • 蟻(あり)の思いも天に届く
    アリのように小さく弱い者でも、一心に願えば天に届くこと
    転じて、願い続ければ叶うこと
  • 一念天に通ず
    一心になって物事を成し遂げようとすれば、それが天に通じて必ず成功すること
  • 石の上にも三年
    冷たい石の上でも3年間座っていれば暖かくなること
    転じて、がまん強く辛抱すれば必ず成功すること
  • 若いときの苦労は買ってでもしろ
    若いうちの苦労には価値があること
  • 継続は力なり
    根気強く続けることは自分のためになること
そして、「報われる」と同じ意味の四字熟語は以下の通りです。
「報われる」と同じ意味の四字熟語
  • 一労永逸(いちろうえいいつ)
    一度苦労すれば、その後長く安らかな生活を送れること
  • 愚公移山(ぐこういざん)
    努力を続ければ成功できるということ
  • 一念通天(いちねんつうてん)
    一心に努力すれば何事も成功するということ
  • 精神一到(せいしんいっとう)
    集中して立ち向かえば、できないことはないということ
  • 積土成山(せきどせいざん)
    わずかな土でも積もれば山になるということ

さまざまな類義語があるため、状況に応じて言い換えると効果的です。

「報われる」の対義語

「報われる」には以下のような対義語があります。

  • 浮かばれない
    苦労や努力に見合った成果が得られないこと
  • 水の泡
    努力などが無駄になること
  • 甲斐がない
    何かをした意味がないこと

「浮かばれない」は、もともと「死者の無念が解消されない」という意味の言葉でした。

暗い水の底で漂い、水面に浮かんでこれない、というイメージから、「無念が解消されず霊が成仏できない」ことを表すようになりました。

現在ではもう少しライトに、「苦労や努力に見合った成果が得られない」という意味でも使うことができます。

「報われる」と間違えやすい言葉


「報われる」と間違えやすい言葉には、以下のようなものがあります。

  • 報い(を受ける)
    (善悪は関係なく)自分の行いに応じた結果が返ってくること
  • 報いられる
    良い行為や出来事により努力が実を結ぶこと
  • 救われる
    (本人の努力は関係なく)良い状態に向かうこと
それぞれ詳しく見ていきましょう。

「報われる」と「報い(を受ける)」の違い

「報われる」と「報い(を受ける)」には、以下の違いがあります。

  • 報われる
    主に良い行いや結果について使われる
  • 報い(を受ける)
    主に悪い行いや結果について使われる
この2つは特に間違えて使うと失礼な言葉になってしまうため、注意が必要です。

「報われる」と「報いられる」の違い

「報われる」と「報いられる」には、以下の違いがあります。

  • 報われる
    対象が人であることが多い
  • 報いられる
    対象が出来事であることが多い
この2つの違いは、例文を見比べるとわかりやすいです。
例文
  • 大学受験に合格したことで、私の長年の努力は報われた
  • 私の長年の努力は、大学受験の合格により報いられた
このように、「報われた」は「私(の努力など)は報われた」というような形をとるのに対し、「報いられた」は「(出来事)により報いられた」という形をとります。

「報われる」と「救われる」の違い

「報われる」と「救われる」には、以下の違いがあります。

  • 報われる
    本人の苦労や努力などにより成果が出たと考える
  • 救われる
    本人の苦労や努力と成果は関係ないというニュアンスを含む
「救われる」の元になっている動詞は「救う」です。

「救う」は、「困っている人に力を貸して助け出す」という意味の動詞です。

「救われる」は、「救う」に受動の助動詞「れる」がついた形であるため、「力を貸してもらって助け出してもらった」という意味合いがあります。

そのため、「救われる」を相手に使ってしまうと、「相手の成功は相手の努力とは関係ない」という意味を言外に含んでしまうことになります。使い分けには注意が必要です。

「報われる」の英語訳

「報われる」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • pay off
    (実る)
  • be awarded
    (報酬として与えられる)
  • be rewarded
    (報われる)

“pay off” には「精算する」といった意味合いもありますが、もっと軽く口語的に「努力が実る」くらいのニュアンスで使うこともできます。

なお、 “pay 人 off” の形だと「人にワイロを渡す」という意味になってしまうため、注意が必要です。

「報われる」のまとめ

以上、この記事では「報われる」について解説しました。

読み方報われる(むくわれる)
意味努力や苦労に見合った成果が得られること
類義語実を結ぶ
雨垂れ石を穿つ
一労永逸 など
対義語浮かばれない
水の泡
甲斐がない
英語訳pay off(実る)など

「報われる」には、似たような言葉が多くあります。間違えると場合によっては失礼な表現になってしまうため、間違えやすい言葉も合わせて覚えておきましょう。

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Rie
日英バイリンガル東大生。 10年間小説を書き続けているため、文章力には自信があります。 いくつかの小説投稿サイトで掲載/連載している他、教育系NPOでもライターをしています。