今回ご紹介する言葉は、故事成語の「人事を尽くして天命を待つ」です。
言葉の意味・由来・例文・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「人事を尽くして天命を待つ」をざっくり言うと……
読み方 | 人事を尽くして天命を待つ(じんじをつくしててんめいをまつ) |
---|---|
意味 | 自分の全力をかけて努力したら、その後は運命を天に任せること |
由来 | 『読史管見』の中にあるフレーズから |
類義語 | 人事を尽くして天命に聴いて可なり、天は自ら助くる者を助く、我が事終わる、など |
英語訳 | Do the likeliest, and God will do the best. |
このページの目次
「人事を尽くして天命を待つ」の意味をスッキリ理解!
「人事を尽くして天命を待つ」の意味を詳しく
「人事を尽くして天命を待つ」とは、自分の全力をかけて努力したら、その後は運命を天に任せることです。
- 人事:人間の力でできる事柄のこと
- 天命:天が人間に与える運命のこと
「人事を尽くして天命を待つ」は、日本語の四字熟語では「人事天命」と書くことがあります。
また、中国語のことわざとしての原文(漢文)は「盡人事而待天命」または「盡人事待天命」と書きます。
「天命」と「運命」の違い
「天命」と似ている言葉に、「運命」があります。「運命」は「人間の意志を超えためぐり合わせ」を意味します。
同じ意味だと思われやすいですが、「天命」と「運命」には以下のような違いがあります。
- 天命:人間の力で変えることができない
- 運命:人間の力で変えることができる
- ✕ 天命を左右する出会い
- ◯ 運命を左右する出会い
天から与えられた「天命」は何かによって変わることはありません。
一方、「運命」はどのような出会いかによって、めぐり合わせが変わります。
- ◯ 人事を尽くして天命を待つ
- ✕ 人事を尽くして運命を待つ
「人事を尽くして運命を待つ」と表記するのは誤りなので注意が必要です。
「天命」と「運命」はこのように意味が大きく異なります。意味の違いを理解して使い分けましょう。
「人事を尽くして天命を待つ」の由来
「人事を尽くして天命を待つ」の出典は『読史管見(どくしかんけん)』という本です。
この本は南宋初期の中国の儒学者である、胡寅(こいん)によって書かれました。
この本には「人事を尽くして天命に聴(まか)す」という表現が出てくるのですが、これが「人事を尽くして天命を待つ」の由来になっています。
儒学者とは、儒教を学んだり、研究したりする人のことです。
ちなみに、儒教は孔子が創始したと言われており、上下関係をとても大切にする宗教です。
「人事を尽くして天命を待つ」の例文
- 大学受験では最善を尽くした。今は人事を尽くして天命を待っている状態だ。
- もはや人事を尽くして天命を待つのみだが、体調には気を付けていきたい。
- 人事を尽くして天命を待つのが正しい姿勢だ。
「人事を尽くして天命を待つ」の類義語
「人事を尽くして天命を待つ」には以下のような類義語があります。
- 人事を尽くして天命を聴いて可なり:自分の全力をかけて努力したら、その後は運命を天に任せること
- 天は自ら助くる者を助く:自立して努力する人には天の助けがあり必ず幸福になる
- 我が事終わる:自分に関わることのすべてが終わること
- 能事(のうじ)終われり:自分がなすべきことはすべて終わった
- 運を天に任せる:うまくいくかどうか天に任せる
- 果報は寝て待て:運は人の力ではどうにもならないから焦らず時機を待つべきだということ
- 待てば海路の日和あり:今は状況が悪くても気長に待っていればそのうち幸運がやってくるということ
- 待てば甘露の日和あり:今は状況が悪くても気長に待っていればそのうち幸運がやってくるということ
「人事を尽くして天命を待つ」の英語訳
「人事を尽くして天命を待つ」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- Do the likeliest, and God will do the best.
(最も適切な行為をすれば、神が最善な結果をもたらしてくれる) - Do your best and leave the rest to Providence.
(最善を尽くしたら、あとは神の導きに任せよ) - Do your best and let the heavens do the rest.
(最善を尽くしたら、あとは天に任せる) - Man proposes; God disposes.
(計画は人にあり、決裁は神にあり) - Heaven helps those who help themselves.
(天は自ら助くる者を助く)
まとめ
以上、この記事では「人事を尽くして天命を待つ」について解説しました。
読み方 | 人事を尽くして天命を待つ(じんじをつくしててんめいをまつ) |
---|---|
意味 | 自分の全力をかけて努力したら、その後は運命を天に任せること |
由来 | 『読史管見』の中にあるフレーズから |
類義語 | 人事を尽くして天命に聴いて可なり、天は自ら助くる者を助く、我が事終わる、など |
英語訳 | Do the likeliest, and God will do the best. |
「人事を尽くして天命を待つ」という状況は、結構身の回りにもあるのではないでしょうか。
ピッタリな状況を見つけた時には、積極的にこの故事成語を使っていきたいですね。